兵庫県の人口の推移を見てみると、1995年に発生した阪神・淡路大震災の影響で1996年に約12万人減少して以降は、人口が増え続け、2010年には559万人と過去最多を記録しています。しかし、その後は10年連続で人口は減少。特に若年層の流出が深刻で大きな課題となっています。そんな中、兵庫県では7月18日(日)に新たな知事を決める選挙の投開票が行われます。県民は一体誰に未来を託すのでしょうか。
5期20年 井戸県政の『改革と課題』
(兵庫県 井戸敏三知事 2020年12月)
「新しい時代をつくる。これは新しいリーダーの元でつくりあげるべきです」
5期20年の長期政権だった井戸敏三知事。
(兵庫県 井戸敏三知事 2008年)
「あれ、被災者の方をなんかあれですか、傷つけたことになりますか?なんで謝んないといけないんですか」
時には歯に衣着せぬ発言で批判を浴びたり。
(兵庫県 井戸敏三知事)
「大阪はいつも大げさですよね」
「感染の源になったのはきっと大阪なんですけれども」
コロナ対策を巡っては大阪を意識した発言が注目を集めたり。公用車・センチュリーも物議をかもしました。
(兵庫県 井戸敏三知事)
「(Q5000ccの車である必然性は?)乗ってみてください。やはり排気量の大きいほうが、走行能力も高いし安全性も高いし環境性能も高いし、というようなことは言えるのではないでしょうか」
一方で、その手腕が評価されているのが「震災後の復興」です。復旧・復興で1兆円を超える県債(負債)を抱える中、職員削減などの行政改革に取り組み、県民へのサービスを低下させることなく負債を減らしてきました。
では、兵庫県民の評価は?
(南あわじ市民)「それなりに井戸さんは県政に歴史をつくったと思いますよ」
(宝塚市民)「安定していたとは思いますけれど」
(姫路市民)「産まれてからずっとその人(井戸知事)だったので、違う人になることに違和感を感じますね」
一方、都市部を離れるとこんな意見も。
(丹波篠山市民)「都会ばっかりじゃなくて、こういう田舎のところも目を向けていただけたらいいなと思っています」
(丹波篠山市民)「人口が増えるように、なんとか考えてほしいなと」
兵庫県の課題「人口減少」
震災からの復興を遂げた一方で、兵庫県には様々な課題があります。鳥取県との県境に位置する兵庫県宍粟市波賀町の戸倉集落には「戸倉スキー場」がありました。
(戸倉集落の住民 山根進さん)
「見てもうたらわかると思いますけれども、もう民宿していた時代の名残というか、でっかい家ばっかりなんですよ。ここはもう空き家です。おそらくここら全部民宿だったと思います」
「戸倉集落」は7世帯16人しか住んでいません。50代以下は3人だけ。最後に生まれた子どもは今24歳と、まさに限界集落です。
1980年代は各地でスキー場に観光客が集まり、戸倉集落もひと冬に17万人以上が訪れ、住民らが民宿を経営するなど賑わっていました。
しかし戸倉スキー場の利用客の減少と共に人口も減少。2020年には市がスキー場の指定管理者から撤退して閉鎖の危機に直面しましたが、住民らの協力のもとでゲレンデにキャンプ場「TokuraCampBase」ができ、再び町に人がやってくるようになりました。
(戸倉集落の住民 山根進さん)
「渋滞ができるんですよ、ここに。テントが張ってあって。びっくりしまたね。一番端っこなんですよ、ここは。宍粟市の端っこであり、兵庫県の一番端っこ。だからここが弱ったら(宍粟市の)中心部も弱ってくる。市の中心部が弱ったら、県の中心部まで弱ってくる」
兵庫県では都市部も含めて“人口の減少”は深刻です。2020年度、他府県への流出した転出超過数は7523人(外国人除く)で全国ワースト。
特に20代では、毎年2万人ほどいる県内の大卒者のうち、地元に就職する人は3割を下回っています。
兵庫県の課題「コロナ後」
さらに神戸市も含めて兵庫全体で大きな課題とされているのが「コロナ後を見据えた問題」です。コロナ前の2019年には、外国人訪問率は大阪が全国2位、京都は4位でしたが、兵庫は11位と差を開けられていました。どうすれば外国人旅行客を呼び込めるのか。神戸市内のホテルなどを取りまとめる津田喜代子さんは、旅行客が滞在するためには県全体で魅力を発信していく必要があると話します。
(「神戸のホテルを取りまとめる」会の代表 津田喜代子さん)
「神戸の方にお客さんがたくさん来てくれないと話にならないから。関空についても、そのまま神戸に入って来られて、200円のアイスクリームを食べて帰ってしまうという現状だったんですよ。異人館だ、海だ、六甲山だというだけだったら、日帰りできてしまう。(阪神・淡路大震災からの)復興は本当に早かったと思うし、そういう部分では一生懸命人を集めたいと思っているとは思うんですけれど。それだけの魅力を観光に関して作らないといけないと思うんです」
5人の立候補者たちの声
20年ぶりにかじ取り役が変わる兵庫県。こうした課題にどう向き合っていくのか?兵庫県知事選には5人の新人が立候補しています。
(金澤和夫さん)
「写真より若いって言われます。写真より男前だと」
井戸知事などから支援を受ける金澤和夫さん(65)は、11年間副知事を務めた経験を生かして、「どの地域もどの人も輝く兵庫」をモットーに、問題に取り組むと意気込みます。
(金澤和夫さん)
「他の人と比べものにならないくらい人も地域も知っているはずです。(Q井戸知事の後継者と言われることもある?)誰が言っているんでしょうね。選挙に出た以上は『金澤県政』で勝負するので、継承ってありえないです」
(斎藤元彦さん)
「新しい、そして変革の時代、やっぱり新しい発想、新しい手法で、この兵庫県政をかじ取りすべきではないか」
大阪府の前財政課長の斎藤元彦さん(43)。自民党と日本維新の会から推薦を受け、若さと大物たちの応援を武器に「大阪との連携」を訴えます。
(斎藤元彦さん)
「兵庫県と大阪府がしっかり連携して、この関西を兵庫県から盛り上げていく。ベイエリアの再生、企業の誘致であったりとか、若い人たちが自分でビジネスを挑戦したい、やってみたい、そういう人たちをもっともっと応援する」
(金田峰生さん)
「この冷たい兵庫県政、その姿勢を根本的に転換し、はやくコロナを抑え込む」
共産党が推薦する元兵庫県議の金田峰生さん(55)は、医療・教育・就職体制を整え、「住み続けたくなる兵庫をつくる」と主張します。
(金田峰生さん)
「兵庫っていろいろ魅力がありますので、一度来ていただいたらリピートしていただけるように。大阪や京都と比べる、あるいは競うのではなくて、兵庫らしさを改めて皆さんと一緒に発見して、それをプレゼンするという、そういう手法にしたいなと思っています」
元加西市長の中川暢三さん(65)は、唯一の民間出身として、「経営手腕と能力を県政に生かす」と主張しています。
(中川暢三さん)
「他の自治体でよくあるような横並びの自治体経営をされてきているように思いますから、兵庫県内の企業の持っている力を結集して、県民の力を結集して、新たな兵庫づくりをしていきたいと思います」
音楽塾経営の服部修さん(47)は、何よりも優先して、「コロナを収束させることに力を尽くしたい」と意気込みます。
(服部修さん)
「去年今年だけを考えても、人口流出も人口減少もコロナのせいなので、まずはこのコロナ騒動を終わらせないと次の政策は打てないんじゃないかなと思っています」
兵庫県知事選挙は7月18日(日)に投開票です。
(7月16日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『コダワリ』より)