11連休の人もいる今年のGW。日の並びや物価高などの影響で遠方に出かける人が少ないようですが、旅の目的地として人気を集めているのが「道の駅」です。現在、全国に1230か所登録されている「道の駅」の最新事情を取材しました。

「道の駅 よかわ」名物・温泉・観光名所が一度に楽しめる!

 穏やかな田園風景が広がる兵庫県三木市吉川町。4月22日にオープンしたのが「道の駅 よかわ」です。大阪から車で約1時間、神戸から約40分という新たな道の駅は、初日から他府県ナンバーの車で駐車場は満車状態。地元の野菜や特産品を販売する直売所も大賑わい。オープン初日で2000人以上が訪れました。

 (訪れた人)「道の駅になるっていうことで、行ってみようかなと思いました」

2.jpg

 実は、この道の駅にある直売所と公共の温泉施設「吉川温泉よかたん」は、もともと多くの人が訪れる町営の人気スポットでした。

 (道の駅よかわ 荒田幸夫駅長)「2年ほど前は、年間で直売所には40万人、お風呂には16万人(来ていた)」

 すでに人気だった施設を、なぜ道の駅にしたのか?それは、国交省が登録する公的な施設となるため、道路標識で表示されるなど宣伝効果が格段に上がるからだといいます。

3.jpg

 (荒田幸夫駅長)「『道の駅』というイメージが大きいので、(全国の)お客さんや行楽客の(旅行の)ルートにここが1つ入ってくる。この吉川町も高齢化が進みまして、少子高齢化で、何とかこれから(全国へ)盛り上げていかないと」

 オープンから年間60万人を見込んでいて、直売所で力を入れているのが地元が誇る酒米「山田錦」を使った100種類以上の日本酒や、新鮮でおいしいと評判の朝採れ野菜。今の時期はタケノコやイチゴが人気です。

 (荒田幸夫駅長)「売り場面積をだいたい1.7倍ぐらいに増設していますので、ゆったりして(他の地域からの)お客さんにお買い物していただく」 

 歩いて約10分の場所には吉川町の名所「黒滝」もあり、地域の既存施設から吉川町の「名物」「温泉」「観光名所」が一度に楽しめる道の駅へ。さらに、地元の人たちにとって貴重な就労の場になっているといいます。

4.jpg

 (山菜や餅を納品する人)「吉川町を活性化できるし、私たちが働ける場所があることはすごくいいと思う」
 (イチゴを納品する人)「道の駅になって、いろんな人に知ってもらえるということで、ここで作っているみんなの野菜がいろんな人にもっと知ってもらえたらいい」

 専門家は、今や道の駅は過疎などで悩む自治体にとって集客につながるブランドだといいます。

 (道の駅キュレーター 守屋之克さん)「地元の方は『あそこに温泉あるね』って知っていても、全国目線で見ると意外と知らないことが多い。なので、道の駅という名前を付けることで、より集客力を高める効果もある」

「道の駅 くるくるなると」食でアピール!地元農家は販路拡大

 次に、関西の人たちからも人気で、地元経済にも大きく貢献している「道の駅」2か所を紹介。まずは、お昼時は渋滞ができるほど人気の、2022年にオープンした「道の駅 くるくるなると」。大阪市内から車で約1時間40分、徳島県鳴門市にある道の駅です。

 並んでも食べたいここだけの名物が、総重量2kgの「くるくる大渦 海鮮絶景丼」(4~5人前で税込み5800円)。量よし・味よし・見た目よし、そのインパクトからSNSで多くの人が宣伝してくれるため、多い時には1日10個が出るという人気メニューです。

 (客)「いっぱい(SNSで)オススメに上がってきたので、ここは絶対行きたいみたいな」

 もちろん、特産のサツマイモ・鳴門金時を使ったスイーツもあります。サクサクのメレンゲの上に、鳴門金時のクリームがたっぷりのった「絞りたて鳴門金時のモンブラン」は税込み680円です。
 
 (記者リポート)「鳴門金時の優しい甘さと、クリームがなめらかですごくおいしいです」

 鳴門金時自体も土産物としてよく売れていて、農家にとって販路の拡大、売り上げアップにつながっているといいます。

7.jpg

 (鳴門金時の生産者 福井隆生さん)「昔は農協100%だったんですけど、今は農協と(地元の)産直とお土産店で3・3・3みたいな感じでうまく分散できている。これからも末永く、今みたいに繁栄している道の駅を続けてもらいたい」

 道の駅の多くは地元自治体が運営していますが、ここは土産物の開発などを手がける民間企業がプロデュースしていて、そのノウハウをフル活用して鳴門金時を加工した限定商品も充実。

8.jpg

 (道の駅を運営 シンカ 藤井沙都さん)「私たちの強みである『食』を一緒にかけあわせることで、今までにない道の駅を作り上げることができているのではないかなと感じています」

「道の駅 紀宝町ウミガメ公園」日本で唯一ウミガメと触れ合える!

 貴重な生き物に無料で会えるという道の駅も。大阪から車で約3時間半。道の駅制度が始まった32年前からあるという老舗、三重県紀宝町の「道の駅 紀宝町ウミガメ公園」です。砂浜へ産卵にやってくることがあるウミガメは、紀宝町にとって大切な町の財産。こちらは日本で唯一、ウミガメを無料で見ることできる道の駅で、「エサやり」(1回 税込み500円 )や「子ガメ磨き」(1匹 税込み2000円 ※1日5匹限定・土日祝のみ・事前予約可)の体験もできます。

10.jpg

 観光客のほとんどはウミガメを目当てにこの道の駅を訪れるということで、関連商品や食事も人気を集めています。

 (道の駅 紀宝町ウミガメ公園 川原田彩さん)「紀宝町の人口が約1万人くらいでして、去年のウミガメ公園の来園者数は19万4000人ほど。地域自体がどんどんもっと盛り上がっていくように我々も力を尽くしていきたい」

 また、最近、津波避難タワーも建てられました。1番上に上がると海抜18m以上だそうです。買い物など生活に寄り添う役割に加え、地域の大切な防災拠点も担う地域密着型の道の駅に進化しました。

11.jpg

12.jpg

 (川原田彩さん)「(Q30年以上の間に道の駅の役割は変わってきた?)一番初めは道の駅は休憩施設としての役割が大きかったのかなと思うんですけど、時がたつにつれて、地域との連携とか、(暮らしや)経済を一緒に地域の方たちと盛り上げていくっていうのが、私たちの背骨になっているかなって今は感じますね」

 行って楽しい、地域にとってはあるとうれしい道の駅。近くにある道の駅の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか?