隠れた“物価の優等生”と言われているのが「ふりかけ」。日本食糧新聞社によりますと物価高の今、市場はどんどん拡大していて、2021年が364億円でしたが2024年には416億円で過去最高となっています。人気が定着するまでに度重なる進化を遂げていて、物価高で注目が急上昇している今、ふりかけの最前線を取材しました。

市場規模は過去最高の416億円!?一袋960円の高級路線も

 みなさんおなじみの「ふりかけ」食卓の脇役と侮るなかれ!去年、ふりかけの市場規模は過去最高の416億円まで拡大。スーパーでは多種多様なふりかけが並びます。

(スーパーに買い物に来た人)
「おかずとかちょっと品が足りないときふりかけだけでごはん食べれたりする。子どももおかわりする」
「このかつお。しっとりしてておいしいです。めちゃくちゃごはんと相性いいので」

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 ふりかけは1000種類以上あるといわれ定番の商品から、納豆を使ったものなど健康志向の高まりを意識したふりかけも誕生しています。中には高級化路線も。「サムライ贅沢ふりかけ」は一袋960円。去年、ふりかけグランプリで日本一に輝きました。大きめに刻まれた有明のりにあられ、そしてかつおなどが入ったザクザク感が特徴の贅沢ふりかけです。
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(MBS山中アナウンサー)「うまみがすごい。これならおかず一品減らしていいですね。これがごちそう」

ふりかけ担当歴20年の記者「最初の進化は“のりたま”」

白いごはんが豪華な一品に変わる、そんなふりかけの「進化論」を語るのは業界紙、日本食糧新聞の記者です。

(吉岡勇樹記者)「(Q、何の担当記者ですか?)私はふりかけを担当しています。私もこんな仕事があるのかと思いましたけど」

記者歴20年。成長する「ふりかけ」業界を取材するベテラン記者、吉岡勇樹さんです。吉岡さんによりますとふりかけは約10年間隔で進化していると話します。最初の進化は?

(吉岡勇樹記者)「ふりかけといえばのりたま。当時の旅館の朝食を再現したものだった」
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 1960年発売のロングセラー商品、丸美屋の「のりたま」。魚を原料にしたふりかけが 主流だった時代にふりかけで「味を再現する」ことを目指した進化の第一歩でした。のりたまは当時、高価だったたまごの味を再現した画期的な商品だったのです。

 そして、1970年にはごはんに混ぜるタイプの商品が発売。ふりかけはおにぎりやお弁当にも頻繁に使われるようになりました。

 80年代には個包装の商品が続々登場。手軽に外に持ち出すことができる便利さが受け市場が広がりました。

子ども向けのイメージを刷新した「おとなのふりかけ」 

 そして、平成に入った1989年。「ふりかけ界」に大きな進化をもたらしたのが、CMで商品の知名度を一気に高めた永谷園の「おとなのふりかけ」。これまで、ふりかけは子ども向けというイメージでしたが、大人も満足できる商品に進化させたのです。

(吉岡勇樹記者)「『おとなのふりかけ』はネーミングがすごいんですよ。海苔は焼きのりなんです。淡白な焼きのりの味がわかるのは大人好みなのかな」
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 永谷園は将来の少子化を見据え、新たに大人をターゲットに。この戦略がズバリ的中し、目標の2倍の売上を記録しふりかけ市場の大ヒット商品になりました。その後もふりかけは進化を遂げ、菓子メーカーとのコラボやチェーン店の味を再現したものも登場。ポテトチップスのふりかけも。

進化は無限大!「ゆかり」は調味料としても活用

 そして、定番のふりかけも進化しています。それは55年の歴史があるおなじみの商品、「ゆかり」です。広島市まで足を運び製造工場を見せていただきました。

(担当者)
「こちらが、赤しその加工を行っている専用ラインです。実際のゆかりの赤しそ原料がこちらです」
「(1日どれくらい作っている?)15万袋製造しています」

 こちらの会社ではゆかりの製品化にあたり、原料になる赤しその新しい品種を独自に開発したほか色と香りを良くするための研究を重ねたといいます。味付け、そして乾燥などの工程を経て、見慣れたゆかりが完成します。
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 ごはんに合うのはもちろんですが、スーパーでゆかりを野菜や肉などと一緒に販売して、料理の調味料として使ってもらうことを提案。万能調味料として進化していたのです。

(三島食品・佐伯俊彦さん)「日本人はふりかけ=ごはんしか頭に描かないと思うんですが、ふりかけが塩こしょうような調味料として使われ始めている。新しい食べ方のふりかけの時代を作れるかもしれないので進化は無限大だと思います」

ついには宇宙へ!?シート状ふりかけも登場

 さらに、進化するふりかけを求めて向かったのは100年以上の歴史があるふりかけ「旅行の友」を製造している会社です。おしゃれなパッケージに入ったふりかけとは…

(山中アナ)「これがふりかけですか!?」

 なんとふりかけが厚さ1mm以下のシート状に進化。特許も取得している独自の製法を取り入れた今までにない新しいタイプの「巻くふりかけ」なんです。さっそく巻いて食べてみました。

(山中アナ)「鮭おにぎり。塩加減がいいですね。ちゃんと鮭のかおりがするのが不思議ですね」

「巻くふりかけ」はインバウンド客にも人気でふりかけを世界に広めようとしています。そんな「ふりかけを巻く」というアイデアには壮大な夢があるといいます。

(田中食品・平本良太さん)「宇宙で食べることをのコンセプトに考えて、無重力のなかでふりかけだと舞ってしまうで、迷惑なものなので…。そこがシート状であれば舞うこともありませんので」

ふりかけの進化は世界、そして宇宙に飛び出す勢いです。