12月14日、いよいよ打ち上げの日を迎える和歌山の小型ロケット。果たして2度目の挑戦は成功するのでしょうか?
打ち上げから5秒後に空中で爆発 今年3月は失敗に終わったカイロス初号機
宇宙ベンチャー企業「スペースワン」が開発する小型ロケット「カイロス」。衛星を宇宙へ運ぶ「宇宙宅配便」となることを目指しています。衛星の軌道投入に成功すれば民間単独としては国内初の偉業です。
カイロス初号機は今年3月、和歌山県串本町から打ち上げられましたが…わずか5秒後、空中で爆発。失敗に終わり、見物人たちからは落胆の声が上がりました。
そして、12月14日、カイロス2号機の打ち上げを控える串本町。2度目の挑戦に地元は再び活気づいています。
(串本町民)「夢があるじゃないですか。私はすごく楽しみにしています」
(串本町民)「(ロケットは)上がってほしい!上がる!」
前回「ロケット饅頭」が好評だった和菓子店 今回の商品は?
町内に店を構える創業131年の老舗和菓子店「串本儀平」。今年3月の初号機打ち上げのときには、ロケット人気にあやかり「ロケット饅頭」(5個2000円※税込み)を発売!打ち上げは失敗したものの、売り上げは好調で、最大2週間待ちとなりました。
そんな中、今回は、寒天と砂糖を煮詰めて作った琥珀糖という和菓子。青や紫などで宇宙っぽさを表現し、ロケット型の容器に入れて販売します。その名も「ロケッ糖」(1000円※税込み)。
(串本儀平 丸山正雄さん)「(前回は)ロケットの打ち上げがうまくいかなかったので、雰囲気的に沈んでしまったところもあるんですけど、自分たちで盛り上げないといけないと思って。今回は本当に期待しています」
打ち上げの実況配信を行う地元の高校生たち
ロケットの発射場から直線距離で9km離れた紀伊大島にある樫野埼灯台。12月8日、地元・串本古座高校の生徒たちが、打ち上げを実況配信するための下見にやってきました。
前回の打ち上げの時は…
(実況 ※YouTubeより)「リフトオフ。ただいまカイロスロケット…爆発する様子がこちらから捉えられました」
思わぬ結果となった中でも、当時の3年生が落ち着いて状況を伝えました。
前回実況した先輩は既に卒業しているため、今回は1年生が担当。この日はその先輩が見守る中、初の現地リハーサルです。
(リハーサルを行う1年生の清野直人さん)「カイロスが空高く飛翔していく様子はこの樫野埼灯台からしっかりと捉えることができると思っています」
(卒業した先輩)「カメラの向こう側に人がいるんだと思って考えながらしゃべらないと。話しかけるみたいな感じ」
練習を重ねて本番に臨みます。
(清野直人さん)「先輩たちを越えられるように。打ち上げが成功した時の実況をしてみたいです」
高まりをみせる地元の期待。果たして2回目の打ち上げは成功するのか。
開発企業のキーマン「燃焼速度の予測値を見直した」
カイロスを開発する東京の宇宙ベンチャー企業「スペースワン」の担当者がMBSの単独インタビューに応じました。
(スペースワン 遠藤守取締役)「前回の打ち上げ5秒で破壊するという事態になったわけですが、あのような事態はないと思っております」
初号機は打ち上げ後の速度が予測よりも遅く、安全な飛行範囲を外れてしまいました。そのためロケットが異常と感知し、自らを爆発させました。そこで2号機は速度の予測を改良したといいます。
(スペースワン 遠藤守取締役)「燃焼速度を予測するという手順で若干の差異が生じていた。燃焼速度の予測値を見直していますので、打ち上げができるようになったと思います」
仏像を宇宙へ運ぶミッションも!?
カイロス2号機のミッションは前回と同じく「宇宙宅配便」として衛星を軌道投入すること。2号機には前回よりも多い5基の衛星を載せて発射します。
そのうちの一つが、京都のお寺などが打ち上げる衛星。衛星上部には仏像「大日如来」がおさめられ、世界初の宇宙寺院「浄天院劫蘊寺(じょうてんいんごううんじ)」をつくろうというのです。宇宙寺院は約1時間半かけて地球を1周。位置情報をスマホで確認しながら参拝をするというものです。
(浄天院劫蘊寺 仲田順英住職)「日本人のいい祈りの世界が世界に向けて、これによって発信できればいいなと」
多くの人の期待や願いを載せたカイロス2号機。改めて14日への意気込みは…
(スペースワン 遠藤守取締役)「2号機に向けて町の皆さんに頑張れって激励していただいていますので、今度はきちんとこの仕事をやり遂げたいです」