今年4月26日にリニューアルオープンした神戸ポートタワー。新たに店舗運営を行うことになった民間会社に密着し、オリジナルグッズの開発や内装・演出のプロデュースなど、リニューアル準備の様子を取材しました。

「ポートタワーをより好きになってもらえるように」

 神戸ポートタワーでは、今回のリニューアルを機に店舗運営を行う新たな民間事業者を公募しました。そこに手を挙げたのが、タワーのそばに本社を構える、通信販売大手「フェリシモ」です。
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 (フェリシモ 矢崎和彦社長)「神戸の人々にとって、神戸を訪れる人にとって、神戸ポートタワーは特別な場所だと思うんです。特別な場所をもっともっともっと我々の手で輝かせてあげたいという思いですね」
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 こうして約1年半前に本格始動したプロジェクト。神戸の新たな歴史を刻むだけに、プロジェクトチームをまとめる富田浩幸さんは期待の重さをひしひしと感じていました。

 (フェリシモ 神戸ポートタワー事業部 富田浩幸部長)「今までポートタワーを好きだった人たちが、より好きになってもらえるようになったらいいなと思いますが、それが嫌っていうふうになってしまうのが、ちょっと不安ですね」

フィルム越しに夜景を見るとハートが見える!?ワクワク感を散りばめた新オリジナルグッズ

 今回、フェリシモが手がける事業の1つが「オリジナルグッズの開発」。通販事業で培ったノウハウを生かして、タワーの魅力をより引き出せる商品をと、幾度となく検討が重ねられました。その商品1つが、“ある仕掛け”を施したポストカードです。
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 ポストカードにある丸い穴にはフィルムがはられていて、フィルム越しに光を見ると、ハートが浮かび上がる仕掛けになっています。このポストカードを通して夜景を見ることで、タワーにのぼった人しか味わえない一味違った景色を楽しんでもらうことが狙いです。また、ポストカードに印刷されたバーコードを「ポートタワー型」にするなど、細部にまでワクワク感が散りばられています。
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 ほかにも、まだ販売は未定ですが、工事中のポートタワーを覆っていた「幕」を引き取り、捨てるくらいなら再利用してバッグにできないかと考えています。

 (社員)「ポートタワーが工事で2年間ふさがっていたとき、タワーの外部にかかっていた幕です。いい感じに、すでに汚れています。これが味なので。さら(新品)ではないし」

“光”がテーマのミュージアムやフロアが360度回転するカフェ&バー…内装や演出もプロデュース

 手がけるのはグッズだけではありません。タワー上層階の各フロアなどの運営も行うため、内装や演出もプロデュースします。
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 たとえば5階の展望フロアでは、神戸の街中にある映画のロケ地などをタワーから眺めることができるよう、表示板を設けています。
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 また、フォトスポットも用意されました。

 (富田浩幸部長)「昔の写真館みたいな感じで写真を撮っていただいたり、ポートタワー型の花飾りを持って写真を撮っていただければと思います」
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 ほかにも、“光”がテーマのミュージアムや、フロアが360度回転するカフェ&バーなども手掛けます。リニューアルオープンの前週は、各フロアでは急ピッチで工事が進められていました。また、工事と並行してオペレーションを確認するなど、やることは山積みです。
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視察した社長「ベンチを置こうよ」 オープン直前まで検討や試行錯誤を繰り返す

 そうした中で迎えた、オープン1週間前の4月19日。この日は矢崎社長がタワーを視察しました。各フロアを確認していきます。
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 (富田部長)「音に合わせてレーザーが変わるんですよ」
 (矢崎社長)「レーザーって鏡で?」
 (担当者)「反射します。なので、すごく小さい部屋なんですけど、奥行きがあるように」
 (富田部長)「結構ここは人がたまりそう」
 (矢崎社長)「ここは盛りだくさん感があるな」
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 順調に確認が進む中、ある階で矢崎社長の足が止まりました。社長がまず指摘したのは、展望フロアに設けられたフォトスポット。数や設置場所などが気になったようです。

 (矢崎社長)「これは寂しいわ。写真撮影のフレームがいっぱい並んでるんやったらいいけど、これだけがなんか微妙に唐突感が…。これ重いの?」
 (社員)「2人か3人で持てば…」
 (矢崎社長)「移動させてみる?」
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 「タワーを訪れた人たちに存分に楽しんでもらいたい」と、妥協を許さない社長からは他にも指摘が。

 (矢崎社長)「うーん…何ができるか考えよう。ベンチとかは?」
 (社員)「ないです」
 (矢崎社長)「置こうよ」

 この後も、内装の変更について、検討や試行錯誤が繰り返されました。

 (富田浩幸部長)「社長の客観的な意見は結構大事だと思います。スケジュール的に厳しいかなというところはあるが、あと1週間ちょっとあるので、やります」

「日本だけではなく、世界のお客さまに来ていただける場所として輝いていきたい」

 そして迎えた、リニューアルオープンの4月26日。多くの人が営業再開を待ち望んでいました。
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 (訪れた人)「朝の6時くらいから並びました。中を見るのが楽しみです」
 (訪れた人)「きのうの夜からワクワクして、この日を待っていました」
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 1週間前に社長が「寂しい」と指摘した展望フロアのフォトスポットは、芝生をイメージしたラグを敷き、植物を増やすなどして、緑が多い印象にしました。

 (富田浩幸部長)「(フォトスポットの)いすは結構こだわっています。さっき到着したばかりです」
 
 ぎりぎりまで準備に追われましたが、訪れた人が景色を見ながらここでしか撮れない写真を楽しめるスポットに変わっていました。

 (フォトスポットを訪れた人)「ええ遊び場やなって思って。いすも上品だし。異人館の感じ。神戸っていう感じ」
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 訪れた人たちの姿に、富田さんも胸をなでおろした様子です。

 (富田浩幸部長)「全部入れ替えてつくり直したので、今は盛り上がっている感じで、お客さまの反応を見ていると『うれしい』という言葉がすごく多くて、僕自身としてはすごく満足です。日本だけじゃなくて、世界のお客さまに来ていただける場所として輝いていきたいです」