「人を殺したかった。」「勤務地の近くで襲う相手を探したが見つからず、京都市の中心部に来た。」「次は女性や子どもを狙うつもりだった。」これは逮捕された陸上自衛官の男の供述の一部だ。約3か月半の鑑定留置を経て、京都地検は男に責任能力があると判断、起訴した。

事件は2023年12月3日夜に発生。JR京都駅から東に1kmほどの住宅街。マンションの階段で住民の岡田好次郎さん(82)が血を流して倒れているのを別の住民が見つけた。

岡田さんは死亡、その背中には複数の刺し傷があったということで、京都府警は殺人事件と断定して捜査本部を設置した。

事件当時、岡田さんの部屋は施錠されていなかったというが、部屋が荒らされた形跡はなく、かばんの中に財布も残されていたという。

東京都内で逮捕されたのは…21歳の自衛官

現場近くの防犯カメラには、犯行時間の約3分後に犯人とみられる人物が北の方角に歩く姿が映っていた。

警察は10日、東京都内の宿泊施設から出ようとしている男を確保して逮捕した。その所持品の中から、刃渡り十数センチの文化包丁が見つかったという。

逮捕されたのは、陸上自衛隊の3等陸曹・水島千翔被告(21)。勤務先は京都府精華町にある「祝園分屯地」だ。

逮捕時の調べに対し、水島被告は容疑を認めていて、マンションの階段をのぼる岡田さんを追いかけて凶行に及んだとみられている。また凶器とみられる刃渡り十数センチの包丁は、「分屯地から持ち出した」という趣旨の供述をしていたという。

「次は女性や子ども」とも供述

その後の調べで、男の供述が次々と明らかになった。

「反撃される可能性があるので大柄な男性以外を狙った」
「被害者と面識はなかった。誰でもよかった」
「逮捕されていなかったらまた人を殺すつもりだった」
「次は女性や子どもを狙うつもりだった」といった趣旨の供述だった。

さらに動機については、「人を殺したかった」と語ったといい、「勤務地の近くで襲う相手を探したが見つからず京都市の中心部に出てきた」という趣旨の供述をしたという。

そして京都地検は去年12月26日、男を2024年3月25日まで鑑定留置すると発表した。

約3か月半の鑑定留置を経て、京都地検は自衛官の男に刑事責任能力があると判断、陸上自衛官の水島千翔被告(21)を殺人などの罪で起訴した。

水島被告はマンションの階段の踊り場付近で、岡田さんの腕を引っ張るなどして転落させ、包丁で背中を複数回刺して殺害した罪などについて、裁判で問われることになる。