障害基礎年金の支給再開へ。「1型糖尿病」患者らの逆転勝訴です。

“不治の病”とされる1型糖尿病 「障害等級2級」と認定され障害基礎年金を受給していたが…

 大阪府岸和田市に住む滝谷香さん(41)は1型糖尿病を患っています。

 (滝谷香さん)「体に“機器”が付いていて、10日に1回変えます。こちらの別の機器にいま数字が出てて、低血糖か高血糖かを知らせてくれて、音が鳴るようになっています」
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 生活習慣が影響する「2型」と違い、1型糖尿病は、免疫機能の異常で、すい臓の細胞が破壊され発症。“不治の病”とされています。
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 副作用にも苦しめられます。インスリン注射で血糖値が下がりすぎると、神経機能が低下。意識障害などが起こる場合があるのです。

 (滝谷香さん)「日々の生活の状況も違うし、ストレスとか熱出たりとかでも全然違うので、本当に(血糖値の)コントロールは難しいです」

 5歳で1型糖尿病と診断された滝谷さんは、20歳の時に「障害等級2級」と認定され、障害基礎年金を受給していました。乳児院で働いた時期もありますが、勤務中に倒れたこともあり、現在は専業主婦です。

具体的な理由の説明なく支給がストップ 患者らが国を提訴

 しかし2016年、国から突然、障害等級が3級にあたると通知され、具体的な理由の説明もないまま、年金の支給をストップされたのです。
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 滝谷さんは同じく支給を打ち切られた1型糖尿病患者らとともに、処分取り消しを求め国を提訴。一度は勝訴し、判決は確定しました。

 ところが、その直後、国は滝谷さんらに改めて年金を支給しないと通知します。
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 判決は、患者の症状の判断には踏み込まず、あくまで“理由を示さず通知した点が違法”だとして処分取り消しを命じていました。国はそこを突き、少しの理由説明を追加して再度通知を行ったのです。

 (滝谷香さん)「控訴しないのに、障害基礎年金が支給できないってどういうことなんって思ったし、すごくむごいことしてくるなと思いました」

 滝谷さんらは、異例の再提訴に踏み切りましたが、大阪地裁は、2回目の裁判では原告9人の症状を個別に検討。滝谷さんら8人は、過去の就労経験などを踏まえ「3級」にあたると判断し、2021年に訴えを退けました。

「“地道に殺されていく”というか…」お金を切りつめる日々 迎えた2審判決

 障害基礎年金の支給を打ち切られてから7年あまり。滝谷さんは、お金を切りつめる日々が続いています。

 (滝谷香さん)「医療費がかかっちゃうので、注射の針とか血糖測定器の針も、本当はいけないんですが、何回も使っているのがいまの現状です」

 網膜症などの合併症が進行すれば、その治療費ものしかかってくるため、不安は募るばかりです。

 (滝谷香さん)「“地道に殺されていく”というか、命が短くなっているのかなとすごく思う」

 1審判決を不服として控訴した滝谷さんら8人の患者。迎えた今年4月19日の判決は…

 (記者リポート)「完全勝訴です。患者全員が逆転勝訴です」
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 大阪高裁は19日の判決で「8人の血糖コントロールの状態や生活の状況などを詳細に検討すれば、『日常生活が著しい制限を受ける』程度、つまり(障害等級)2級にあたる」と判断。国に対し、8人全員に障害基礎年金の支給を再開するよう命じました。
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 (滝谷香さん)「いままで長い戦いではあったけれど、やっと私たちの病気のことを認めてくれたんだって、すごくうれしくなったし、あきらめずに戦ってこられて、頑張ってこられてよかったなって、まずは思いました」