今年の本屋大賞に選ばれた『成瀬は天下を取りにいく』。舞台となった滋賀では、いわゆる“聖地”を巡るスタンプラリーが行われるなど、盛り上がりを見せています。そして今回、作者の宮島未奈さんに作品にまつわるお話を聞きました。
滋賀県大津市が舞台『成瀬は天下を取りにいく』
4月18日、滋賀県の三日月大造知事のもとを訪れたのは、今、最も注目されている作家・宮島未奈さんです。
4月10日、宮島さんは2024年本屋大賞を受賞しました。
(宮島未奈さん 10日)「『成瀬』が本屋大賞をとりました~!」
宮島さん、実は滋賀県在住の作家で、受賞作『成瀬は天下を取りにいく』も大津市が舞台となっています。
小説では我が道を行く主人公の中学生・成瀬あかりと周囲の人々の日常を描いた青春物語が描かれています。
【成瀬あかりのセリフ】
『島崎、わたしはこの夏を西武(大津店)に捧げようと思う』
地元・大津市の大垣書店フォレオ大津一里山店では、『成瀬は天下を取りにいく』のコーナーが設けられています。本屋大賞は全国の書店員が「いちばん売りたい本」を投票によって選ぶもので、ドラマやアニメにもなるなど、影響力の大きい賞として注目されています。
(大垣書店フォレオ大津一里山店 辻中瑞保店長)「滋賀県題材のものが本屋大賞になっているのがうれしいというようなお声もあると思いますし、やはりお客さまの期待というのは大きいのかなと思っております」
“聖地”は反響に驚き 作品ゆかりのスポットを巡るスタンプラリー開催
そんな中、本の舞台である大津市内では早くも“聖地巡礼”の「成瀬」ブームが!滋賀県などは4月から、作品ゆかりの地13か所をスマートフォンで巡るスタンプラリーを開催していて、週末には成瀬ファンが全国から訪れていました。JR膳所駅の壁一面には大きな看板が設置されています。聖地巡礼のスタートは膳所からです。
(大阪から来た2人)「小説で描いていたイメージと結構違っていたので、それをちょっとたどれればと」
(鹿児島出身で大津在住の人)「すごくワクワクしながらきました」
巡礼スポットの前半はJR膳所駅前のときめき坂周辺。成瀬いきつけのお店が並びます。
「美容プラージュ膳所店」は成瀬行きつけの美容院。成瀬はいつも「8番席」で髪を切っています。
そして、ひときわ賑わっていたのは、ときめき坂の下のスタンプラリースポット「よりみちぱん」。成瀬の親友・島崎イチオシの「塩パン(税込み151円)」が人気のお店です。
(滋賀県在住のファン)「すっごくおいしそうやから、こんなに買ってしまった」
予想外の反響に、店の人も驚きを隠せません。
(よりみちぱん 前野邦雄さん)「朝イチ東京から来られた方がいた。きょうは5倍くらい焼いている感じですね」
開催されているスタンプラリーのスポットは大津港や近江神宮など本に登場する場所が満載です。
あと1つでゴールという、よりみちぱんで出会ったファンに再び会いました。約7時間かけて13か所をまわりきり、記念品のクリアファイルをゲット!
(滋賀県在住のファン)「やった!長い一日でした。あー良かった!!」
こうした盛り上がりに、滋賀県のスタンプラリー担当者は…
(滋賀県・市町振興課 渡部直子さん)「成瀬を知ってほしいという気持ちも強くて、一緒に盛り上げていけてる気がしてうれしいです」
受賞のお気持ちは?反響は? 作者・宮島未奈さんに聞く!
作者の宮島未奈さんが4月18日、MBSの番組に中継で出演。本屋大賞受賞の反響などについて語りました。
―――大賞発表から1週間ほどたちますけれども、今のお気持ちいかがですか?
「まだ実感がわかなくてふわふわしているんですけれど、こうしてカメラの前でしゃべっていると、本当に(本屋大賞を)取ったんだって思ってます」
―――本屋大賞は20年近くの歴史がありますが、デビュー作で「本屋大賞」取ったのは宮島さんで3人目ということです。反響というのはいかがですか?
「もちろん顔見知りの人は『おめでとう』とか『読んだよ』とか、よく言ってくれるんですけれど、最近、知らない人がですね、自転車で走りながら『おめでとうございます』と」
なぜ作中に「M-1」や「MBSのテレビ番組」が出てくる?
―――主人子・成瀬あかりは親友とコンビを組んでM-1に出場します。なぜM-1を題材にされたのでしょうか?
「私がM-1グランプリが大好きで、第1回から欠かさず見ているんです」
―――大胆でユニークな行動をとる成瀬という女の子は、先生がその等身大なのか、それとも誰か他にモデルがいるのでしょうか?
「特定のモデルはいないんですけれど、こんな子がいたら楽しいかなっていうのを書きながら考えて作りました」
―――作中ではMBSのテレビ番組も出てきます。芸人さんのコンビがやっている深夜番組ですが、なぜ弊社を選んでいただいた?
「当時、私はアインシュタイン出演の『アインシュタインの愛シタイン』を見ていて、それを見て思いついてからです。
―――この作品の舞台は滋賀県大津市です。大津市は宮島さんにとってどんな場所でしょうか?
「今暮らしている生活の場です。なので、すごく身近な存在として書きました」
―――読者らへのメッセージをお願いします。
「まだお読みになってない方はこれから読んでいただければと思うんですけれど、既に読んでいただいた方も、『成瀬は天下を取りにいく』は子どもからお年寄りまで楽しく読んでいただける作品だと思うので、ぜひ周りの方にすすめていただけたらうれしいです」