元TBSアナウンサー・久保田智子さんが4月1日、兵庫・姫路市の教育行政のトップである教育長に就任しました。なぜ姫路に?どうして教育長の仕事を?話を聞きました。
元TBSアナウンサー…なぜ教育長に?
久保田智子さん、47歳。4月1日に姫路市の教育長に就任しました。久保田さんは2000年にアナウンサーとしてTBSに入社。「ニュース23」などの報道番組からバラエティーまで幅広く担当して、ニューヨークの特派員や政治部記者としても活躍してきました。
とはいえ行政経験はゼロ!しかも出身は広島。どうして姫路へ?
(久保田さん)「最初に来たときにですね、こういう“けんか祭り”というのがありましてねといわれて、はあぁ~って感じで。いろんな人からアドバイスを受けて、私がやることで子どものためになるっていうふうに思えたということが大きかったですね」
ではなぜテレビ局を辞めて教育長になったのでしょうか?
(久保田さん)「どうしても子どもに直接支援するというのはメディアにいるとなかなかできないなと思っていたんですね。直接、公教育だと必ずそこに子どもたちが集まってきていて、子どもたちのことを知ることができるので、仕事としてとても魅力があるなと」
久保田さんの子どもへの想いは自身の経験と深く関わっています。5年前、久保田さん夫妻は、生後7日の女の子の赤ちゃんを引き取り、特別養子縁組をしました。自身が監督を務めたドキュメンタリー映画「私の家族」では、手作りのアルバムを見せて娘に生みの親の存在を伝える“真実告知”の様子を発信して話題に。こうした経験が人生観を大きく変えたといいます。
(久保田さん 4月8日の就任会見)「ご縁が少しずれていたとしたら、自分の娘は他の家庭にいっていただろうし。そう考えますと、自分の娘だけじゃなくて、周りにいる子どもたち全てのことがとっても大切な存在で。必ず幸せでいてほしいなというふうに強く思うんです」
姫路市内の高校で講師を務めた経験から市長の目に止まり抜擢。最初に取り組みたいのは、働き過ぎている先生たちに少し余裕を持ってもらうこと。
(久保田さん)「スマホで今返信しなきゃいけないっていうときに、子どもが“ママーお菓子!ママー!”ってなったときに、優しくできないんですよ子どもに。おそらく先生がブラックだとか時間がないとか残業が長いっていう状況が続いていることによって、丁寧に子ども1人1人に接するってことができなくなっている可能性はあるんだと思うんですよね。教員の皆さんの働き方改革から着手すべきなのかなって今は思っています」
教育長としてまとめるのは600人近くの教職員ら
600人近い教職員らをまとめて明確な方針を示していく教育長の仕事。不登校の問題や、学校の統廃合など、今は現状を理解して話を聞くところから始めています。この日も各課からの説明がみっちり3時間。
(職員)「デジタルドリルが入ってきているのですが、どうしても問題数が少ないので、繰り返し学習になると紙のプリントも学校ではまだまだたくさん使っています」
(久保田さん)「印刷費って結構かかるし、紙はなくなっていくと…。(今も)こんなに紙を抱えて言うのもアレなんですけど、出さなくていいんだろうなという気はしますよね」
その後も次から次へと報告にくる職員たち‥
(職員)「資料があった方がいいですか?」
(久保田さん)「作るの大変だと思うので大丈夫ですよ」
姫路市役所に吹く新しい風を職員たちも感じているようです。
(姫路市 平山教育次長)「教員の世界の常識で動いているところがあったんですけれども、どのような教育長が我々にいろんなことを発信されるのかなっていうことは、ある意味、不安なところもありますし、興味のあるところもあります」
一方、市民は…?
(姫路市民)「いろんな取材やニュースを取り扱っていろいろ見てこられているので、違った視点で改革されていくんじゃないかなというふうには思います」
(姫路市民)「(教育行政を)したことないような方がされるというのは、市民の声をよく聞いていただけるのかなっていう感じがしますけどね」
「闊達な議論のためにも明るくいたい」
期待も不安も入り混じる中、走り出した久保田新教育長。自分の色をどう出していくのでしょうか?
(久保田さん)「話をしている時に、闊達な議論ができるためにも、明るくいたいなと思います。行政でどういう苦労があるのかということを知って、なんでうまくいかないのかという現場の声をきちんと聞いて、それが市民社会にきちんと伝わるようにしていくというのも自分の役割なのかなというふうに思うんですよね。それでじゃあこれ皆さんどうしましょうか、って話ができたらといいなと思いますね」