4月10日、静岡県の川勝平太知事が辞表を提出しました。川勝知事の姿勢に大きな影響を受けたと言われるのが『リニア中央新幹線』の開業。そもそもリニア中央新幹線はなんのために通そうとしているのか、どんないいことがあるのか。東京や名古屋の話、未来の話と思いきや、実は関西でもすでに動きがあるんです。

川勝知事の辞表提出でどうなる?注目『リニア中央新幹線』の今後

 (静岡県 川勝平太知事 4月10日)「私の発言等によりまして県民の皆さま方に大変なご迷惑がかかっているという自覚がありましたので、きょう(辞表を)提出しました。以上です」

 新人職員への訓示の中で、職業差別とも受け取れる発言をしたことなどから辞意を表明していた静岡県の川勝知事。当初は6月の県議会をもって辞職する意向を示していましたが、4月10日に辞表を提出しました。

 (静岡県 川勝平太知事)「リニアの問題の道筋が皆さんにわかる形にならないといけないと思っておりましたが、これから最低10年以上、きょう(工事を)始めてもかかるということがわかったので、これでひとつメドが見えたなと思いました」

 川勝知事の辞職でにわかに注目が集まっているのがリニア中央新幹線です。川勝知事は水資源や生態系への悪影響が懸念されるとして静岡県内での工事着工を認めてきませんでした。そのためJR東海は今年3月、目標としていた2027年の開業を断念。工事期間は10年かかるとしていて、早くとも2034年以降の開業となる計算です。

 しかし川勝知事の辞職で、リニア沿線の自治体からは早期開業への期待の声があがり始めました。

 (長野県 阿部守一知事)「静岡県としての取り組みのあり方、方向性が変わってくる可能性も確かにある。リニア中央新幹線の整備事業が前進するように取り組んでいただきたいと思っています」
 (愛知県 大村秀章知事)「一日も早い静岡工区の着工と、東京-名古屋間の早期整備実現開業に結びつけてほしい」

沿線各地で進む開業に向けた工事 関西でも動きが

 そもそもリニア中央新幹線とはどのようなものなのでしょうか?

 (記者リポート 山梨県都留市・2022年)「いま車内の音がガタガタからゴーっという音に変わりました。車輪から浮上走行に切り替わっています。…いま最高時速500kmに到達しました。振動や騒音が少なく会話に支障はなさそうです」

 最高時速500km、東京-大阪間を67分で結ぶ夢の超特急・リニア中央新幹線。東京-名古屋間では2014年から建設工事が始まり、沿線各地では着々と開業に向けた工事が進められています。

 (記者リポート 岐阜県中津川市・3月3日)「リニアの中間駅となる岐阜県駅の建設予定地では開業に向けて今も工事が行われています」

 神奈川県川崎市で進められていたのは巨大な地下トンネル。地下約90mに掘られたこのトンネル内を時速500kmでリニアが走り抜けるのです。

 名古屋より東側だけではありません。関西でも開業に向け新たな動きが。JR東海は去年12月から、奈良県と三重県のそれぞれ3か所で、駅の設置やルートを絞り込むために必要な調査に着手。名古屋-大阪間の着工に向けて具体的な段階に入ったことになります。

「リニア来てほしい」奈良県民からも期待の声

 取材班が奈良県大和郡山市を訪れると…。

 (山中真アナウンサーリポート)「リニア中央新幹線の名古屋-新大阪間は奈良県を通すという構想もありまして、リニアの新駅を奈良県に通してほしい、つくってほしいという看板が掲げられています」

 奈良県民はどのように思っているのでしょうか。

 「もちろんリニアは来てもらったら。活気が出ると思うし便利にもなるし、いいことはいっぱいあるかなと思います。子どもたちが大きくなるころには実現してほしいなと思います」
 「個人的にはリニア来てほしいですけどね。活性化になるじゃないですか。観光客の方がばーっと来られて行列ができるくらいね」
 「どっちでもいい。そんな速いこと行けるのが来ても、私たちの年齢になったらそんなに遠くまで飛んで行かなあかん用事はあんまりない。(Qリニアが通るとしたら10年後か20年後かと言われているが?)いてないもん」

鉄道アナリスト「のぞみがストップしたときに第2ルートがあるのは良い」

 リニア開業について、リニアに関する著書もある鉄道アナリストの川島令三さんは次のように話します。

 (鉄道アナリスト 川島令三さん)「(Qリニアは絶対つくるべき?)限界ですからね、東海道新幹線は。のぞみが1時間に12本というのは異常なぐらい多いですよね。ちょっと何かあったら全線ストップになるわけです。そのときに第2ルートとしてリニアがあるのは良いわけですよね」