参加平均年齢61歳、『シニアの婚活事情』とは。50歳時点で未婚・離婚により配偶者のいない人の割合は、男性が約32%、女性が約27%です(2020年国勢調査より)。そんな中、大人気なのがシニア婚活バスツアー。2月23日、51歳~70歳の男女29人が参加したツアーを取材しました。一体どんな展開となったのでしょうか?
参加者「ワクワクドキドキ」 梅園を巡るバスツアーがスタート!
2月23日の午前8時、大阪・梅田には29人の参加者が集まっていました。
(参加者)「ワクワクドキドキしています。白馬に乗った王子様見つけられるかなーって」
今回は三重県の美しい梅園を巡る「梅まつり」ツアー。午前8時半、シニア婚活バスツアーのスタートです。
(ツアー婚ダクター 駒井直人さん)「おはようございます!本日、皆さまの旅のお世話、婚活のサポートをさせていただきます、“ツアー婚ダクター”の駒井と申します。どうぞよろしくお願いいたします」
バスツアーの最初はトークタイム。隣り合った異性と会話して相手との相性を探ります。
(男性)「一人暮らしって、住んでいるのはマンションかなにか?」
(女性)「マンションです」
(男性)「北区でっていったら北区のどのあたり?」
(女性)「え?来ます?笑」
(女性)「お酒もたしなむというよりほとんど飲めないです」
(男性)「そうなんですか」
(女性)「その場で(飲むのが)ゼロだったら失礼に当たるから、飲まないといけないときは一杯だけ」
(男性)「そうですね。うーん…」
まだまだ始まったばかりの婚活ツアー、勝負はこれからです。
プロフィールカードを手に一人ひとりと会話
トークを盛り上げるため参加者はそれぞれのプロフィールカードを交換します。記入するのは自身のアピールポイントや喫煙やペットの有無のほか、最近見た映画から、初デートで行きたい場所、などなど。
アピールポイントに「一緒にいると楽しい」と書いた女性。
(女性)「これ私自信あるところ!一緒にいると絶対楽しいと思うから」
トークタイムは1回10分程度。席替えを繰り返し、全員とツーショットになれるチャンスがあります。いつの間にか緊張もほぐれ、シニアの会話は一歩ずつ踏み込んだものに。
(男性)「どのくらいになるんですか?おひとり歴」
(女性)「2回目の旦那さんが亡くなって2年でしょ、私2回結婚してるから。1回ですか?結婚は」
(男性)「一応1回です」
(女性)「男の人1人で子ども2人育てたん!?いくつから?」
(男性)「4年生と6年生」
(女性)「がんばったなー」
(男性)「もういいわって感じ」
(女性)「そりゃ何回もしたないやろ」
シニアたちの会話も盛り上がってきたようです。
盛り上がる2人も…「いい人いない」嘆く人も
今回のツアーの行程は、正午前に昼食、午後2時ごろから梅見物、午後4時からも梅見物をして、午後8時に梅田に戻ります。会話は盛り上がってきましたが、人生経験豊かなシニアたちの本音は?
(女性)「(Q今のところいい人は?)いないですよ。いないと思う」
異性を見る目が厳しいシニアたち。そんな中、2番の小柴由起子さん(65)は、同じ2番の辻本裕和さん(64)と話がはずんでいます。
(辻本さん)「いっても病気とかないでしょ」
(小柴さん)「糖尿病!」
(辻本さん)「え、そうなん?」
(小柴さん)「インシュリンを打つまでではないです。軽い糖尿病」
(辻本さん)「薬飲むくらい?」
(小柴さん)「そう、服薬だけ」
(辻本さん)「だったらまだいい」
(小柴さん)「そう、マシマシ」
小柴さん、ぶっちゃけトークで盛り上げます。
正午すぎ、最初の目的地である磨洞温泉(三重県津市)に到着しました。お待ちかねのお昼ご飯は洞窟で食べる山海賊焼です。シニアたちがエビやアサリ、ブランド牛など山海の幸に舌鼓を打つ間、ツアー婚ダクターは車内で作業をしていました。参加者同士で誰がどの人を気になっているかを1人ずつチェックして表にまとめます。
(ツアー婚ダクター 駒井直人さん)「トークをした後に第一印象で気になる方を書いてもらいました。結構みなさん気になる方が多いみたいです」
この表を参考に次の目的地での班を分けていきます。
「離婚して26年くらい。異性の方は同性の友達と違ってハリが出る」
午後1時半前、三重県鈴鹿市の鈴鹿の森庭園に到着しました。ツアーの目玉はこの日に始まる「梅まつり」。視界いっぱいに咲き誇るしだれ梅にシニアもうっとりです。ここからは男女3人ずつの5班に分かれてグループ行動。ツアー婚ダクターが第一印象の良かった人同士を合わせて作ったグループです。
小柴さん、バスの中で仲の良かった辻本さんに話しかけます。
(小柴さん)「桃と梅ってどう違うの?」
(辻本さん)「桃はもっとピンクが濃いんですよ。和歌山の桃山、あそこはもうすっごい」
(男性)「あの紀の川の」
(辻本さん)「そうそう紀の川の」
(小柴さん)「もも…?ももってなに!?」
(辻本さん)「ももは桃や」
なんとか会話の糸口を探ろうとしますが、なかなかチャンスを掴めません。
ここで小柴さん、少し勇気を出します。
(小柴さん)「2番さんと…」
(1番男性)「2番さんと一緒に写りたいんだって。撮りますよ~いいですか?」
辻本さんとの2ショットをゲットしました。
(小柴由起子さん)「2番さんいいよ、ボランティアで能登とかいろんなところ行ってるみたい。ナントカのナントカという免許を取っていて、優先的に入れるみたい」
このシニア婚活、参加者のほどんどが一度は結婚を経験しています。小柴さんが参加した理由は?
(小柴由起子さん)「(Qずっとシングルで?)そうです、離婚してもう26年くらい。ないものがありますよね、異性の方は同性の友達とは違って。(相手が異性だと)おしゃれもするし、ちょっとハリが出ますよね」
意中の相手にアピール!写真を撮ってあげたりお団子をごちそうしたり…
小柴さんと同じ班の飛田猛さん(61)。
(飛田さん)「(Qいい感じの人は?)いますいます、大丈夫ですよ。何が大丈夫やねん。番号一緒だったら5番の人です」
と、ここで…。
(飛田さん)「(写真を)撮りましょうか?」
(5番女性)「いいですか?」
(飛田さん)「横と縦で撮ります?」
(5番女性)「ありがとうございます」
飛田さん、5番の女性の写真を撮って好感度アップを狙います。
小腹がすいたところで班員みんなで売店に。ここで飛田さん、漢気を見せます。
(飛田さん)「3パック買います?」
(辻本さん)「3パック買おう」
(飛田さん)「いいですよ、出しますよ。すみません、だんご2本パックを3つください」
飛田さんがメンバーにお団子をごちそう。なんとも太っ腹です。
ツアー開始から約8時間、いなべ市農業公園に到着。次は気になる異性に自由にアタックできるフリータイムの時間です。飛田さん、お団子に続き、ここでも5番の女性にお土産の卵を買っていました。
(飛田猛さん)「決まってきました!話が合いましたし、お昼ご飯も横で食べていたので。(Q何が決め手?)そのときに話してどうかなって。人柄でしょうやっぱり」
飛田さんお気に入りの5番の女性の本音は?
(5番の女性)「何となくしゃべりやすい感じやったので、(お土産の)卵も買ってもらったので笑。(Q物でつられた?)ちょっとあるかもしれません。卵で笑」
飛田さんの太っ腹作戦は功を奏したようです。
カップル成立なるか…!?帰りのバスでいよいよ発表タイム
そろそろ大阪に戻る時間。行きと違って帰りの席は決まっていません。気になる異性と話すのはこれが最後のチャンスです。みな一様に意中の相手の隣を狙います。
そして、楽しかったツアーもいよいよフィナーレ。
(ツアー婚ダクター 駒井直人さん)「気になる異性の第1希望から第3希望まで記入していただいて私にご提出ください」
1日を通じて気になった異性を3人まで選んでカップリングシートに記入します。小柴さんが記入したのは2番の辻本さんだけ。
そして運命のカップル発表です。
(ツアー婚ダクター 駒井直人さん)「本日なんとカップル数…8組!おめでとうございます。8組のカップルができました!女性2番の方、男性2番の方、カップル誕生です!おめでとうございます」
小柴さんと辻本さん。同じ番号同士でカップル成立です。
ちなみに飛田さんと5番の女性も、もちろんカップルに。
(小柴さん)「もう熟年カップルになるから若くないから」
(辻本さん)「カップルになったのでとりあえずよかったです」
(小柴さん)「ありがとうございます」
惜しくも今回はカップルにならなかった人たちは…。
(参加者)「今から終わった後の食事会。(Qコンパ後の反省会?)そうそうそう!離婚してたり離婚してなかったり1回も結婚してないとかいろんな人生があるから、それがここで知り合って仲良しになれるというのがいいんちゃうかなって思います」
酸いも甘いもかみ分けた熟年世代の婚活バスツアー。シニアたちの春を乗せてきょうもどこかを走っています。