能登半島地震の発生から1か月です。被災地のいまを取材しました。

 1月30日、石川県輪島市内の小学校では校舎に元気な声が響きました。学校は避難所となり休校していましたが30日に再開し、全校児童44人のうち約10人が登校しました。

 (小学4年生)「(Q友達と会ってどう?)うれしいなと思いました」

 (輪島市立町野小学校 小向敦子校長)「子どもたちの学びの場と集いの場を早く再開したいという思い。心を癒す場所であってほしい」

仮設住宅が18戸完成 入居申し込みは4000件以上

 さらに1月31日、新たな動きがありました。輪島市の中心部に完成した18戸の仮設住宅。間取りは2DKが14戸、4DKが4戸。原則2年間住むことが可能で、輪島市は年代や家族構成を考慮しながら入居者の選定を進めています。

 (仮設住宅を見に来た被災者)「希望しています。申請もしています。いつになるかはわかりませんが、早く決まればいいなと思います」

 石川県によりますと、輪島市では548戸の仮設住宅を着工予定ということですが、入居申し込みは1月30日までに4140件で、約7.5倍に上っています。

建設場所は「津波に対するリスクはある」

 また仮設住宅をどこに建てるのかということも問題の一つではないでしょうか。仮設住宅が建てられた場所は津波浸水域に指定されていて、輪島市は「津波に対するリスクはある」としています。

 (輪島市災害対策本部 一本松泰明さん)「なかなか広い土地がないというのがありました。(被災者の)負担を少なくしたいという思いがありますので、市の土地を優先して探した結果です」

 こうした危険性について被災者はどう思っているのでしょうか。

 (被災者)「あんな怖いところは嫌。だって下が海やろ、向こうも海やろ」
 (被災者)「(Q津波は心配?)それより優先することがある。とにかく落ち着きたいという当事者の気持ち。その先のことを考える余裕なんかないだろうね」

 石川県は3月末までに約1万3000戸の住宅を提供するとしていますが、8000戸は県外になる見通しです。

専門家は『地域単位』での避難生活を推奨

 被災地の復興に詳しい専門家は、避難生活は地域単位で行うべきだと指摘します。

 (神戸大学 室崎益輝名誉教授)「大規模な仮設住宅を造って、そこに『申し訳ないですけど2年間は頑張ってください』と。ライフラインも整備をするし、それまでに災害公営住宅を造りますと。『コミュニティー単位で県外にいてください』という方針をつくらないといけない」

 地震発生から2月1日で1か月。避難生活が長期化する中、被災者が少しでも安心できる取り組みが求められています。