いま世界各地で社会問題になっている「トコジラミ」。大阪府でも最近は相談件数が増加傾向だということです。

 フランスでは高速鉄道の座席を動き回るトコジラミの動画がSNSに投稿されるなど目撃情報が一時相次ぎました。

 韓国でもトコジラミが急増中で、地下鉄の車両では高熱の水蒸気を吹きかけるなど、トコジラミの予防に余念がありません。ソウルのホテルにはトコジラミの予防作業を実施したことを知らせる市のステッカーが貼られていました。韓国では現在、トコジラミの発生件数が週50件あまりと、11月初めの1週間に比べて約5倍に増加し、現地メディアは韓国語でトコジラミを意味する「ビンデ」と「パンデミック」をかけ合わせて「ビンデミック」と報じています。

 大阪府の年度別のトコジラミ相談件数は、コロナ前の2019年度がピーク(328件)で、コロナ禍に入って少し落ち着きましたが、また増加傾向にあるということです。大阪府の担当者は「海外も含め人の往来が増えて最近は相談件数が増加傾向だ」とコメントしています。

 今年11月22日には、“大阪メトロの谷町線にトコジラミが…”といった内容のSNS投稿が複数ありました。こちらは写真付きの投稿ではなく、本当にトコジラミだったか定かではありませんが、大阪メトロは11月24日から全線・約1380車両を順次、掃除機で清掃しているということです。

「住みつかれたら毎日刺されることも。家の中に連れ込まないのが最重要」

 トコジラミとは体長5mm~8mmほどの害虫で、昼は隙間に潜んでいて、暗くなると這い出して人間や動物を吸血。血を吸われると強いかゆみを引き起こします。そんなトコジラミは熱湯や熱風に弱いということです。繁殖率は高く、一生で500個の卵を産むとも言われています。

 兵庫医科大学の夏秋優教授は「刺された場合のかゆみや腫れは1~2週間ほどでおさまるが、住みつかれたら毎日刺されることもある。家の中に連れ込まないのが最重要」と話します。そして、国内外問わず外泊には注意ということです。トコジラミは「飛ばない」という特性があり、活動は夜間であることから、連れて帰ってしまうのはどこかに泊まって服や荷物に付着した場合が多いそうです。そのため、ホテルなどの宿泊先では「衣類や荷物は袋にまとめて入り口付近に置く」のがよいということです。ベッドや部屋の奥のほう、カーペットの上に置いてしまうとそこからトコジラミが移って繁殖する可能性もあるということです。見つけたら、つぶす、熱などで対処するなどしてください。