ラグビーワールドカップが盛り上がりを見せている中、全国高校ラグビー大会の予選も始まっています。今回、部活と勉強の文武両道に励む北野高校ラグビー部のキャプテンを取材。他校との合同チームで夢の舞台・花園を目指す姿に密着しました。

文武両道!北野高校ラグビー部キャプテン『両立は学生の間しかできない』

 (北川英史くん)「少ない人数でやることになるけど、個人個人で絶対にできることはあるし、一人でもレベルアップできるから、集中して練習頑張っていこう」

 北野高校でキャプテンとしてチームを引っ張る3年生の北川英史くん。2023年の夏に行われた選抜チームの全国大会「コベルコカップ」にも近畿代表で選ばれ、スタメンとしてチームを引っ張った実力者です。
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 通っている高校は大阪有数の進学校・北野高校。生徒のほとんどが最難関の国公立大学へ入学する超名門校で、2022年の京都大学への合格者数は全国トップの81人!北川くんが目指しているのも…
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 (北川英史くん)「京都大学です。(Q将来の夢は?)弁護士です。ドラマか何かで弁護士が出ているのを見てなりたいなと思って、そこからずっと夢は変わっていないですね」

 将来の夢は弁護士。部活と勉強の文武両道に励んでいます。

 (北川英史くん)「今から塾に行きます。多かったら週6とかです。部活か学校がある時はついでに塾にも行こうかなという感じです」
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 選抜チームの合宿の時にも、もちろん勉強道具を持参。

 (北川くん)「三平方の定理でCベクトルを5分の1倍にするだけ」
 (チームメイト)「じゃあ5分の1Cベクトルでいい?」
 (北川くん)「そう、それでいい」
 (チームメイト)「(Q教えてもらってわかった?)はい、めちゃくちゃわかりやすいです」
 (北川くん)「同じ部屋って決まった時、めちゃめちゃ喜んでいました」
 (チームメイト)「抱きつきに行きました。勉強合宿頑張ろうって」
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 (北川英史くん)「(Q両立が大変と思ったことは?)あります、正直。でも両立をするっていうのも学生の間にしかできないことなので、後々になって頑張っていてよかったなって絶対思えるはずなので。(Qどちらか一つに絞ろうと思ったことは?)ないですね」

部員不足の北野ラグビー部「合同チーム」で夢の花園を目指す

 そんな文武両道を貫く北川くんに思わぬ出来事が…。北野高校ラグビー部といえば、元大阪市長の橋下徹さんも花園で活躍。全国大会に出場したこともある伝統校でした。
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 しかし、今年の部員数は8人。1チームの人数である15人は集まりませんでした。
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 そんな中で届いた一つの吉報。2023年1月、全国高等学校体育連盟が少子化で加速する部員不足に対応するため、複数の学校の部員で構成する「合同チーム」の出場を2023年から認めると発表。部員数が足りない北野高校の生徒でも、夢の舞台・花園を目指せる事になったのです。
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 (北野高校 橋爪宏和先生)「(部員数は)ラグビーに関しては確実に減ってきています。やっぱり少子化で生徒数がいないので集めようがないという部分があるし。部活動自体がなくならざるを得ない状況にこれからなっていくと考えたら、合同チームでやるというのも意義はすごくあると思っています」
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 現在は合計11校(北野・茨木西・北かわち皐が丘・金光大阪・開明・山田・長尾・北摂つばさ・太成学院・大阪学院・高槻北)のラグビー部員が集まり合同チームを組んでいます。そのチームでキャプテンを務める北川くん。

 (北川英史くん)「合同チームだからこその良さはあると思っていて。色んな学校の人と一緒になって練習をしたり試合をしたりするのもモチベーションになるかなと思います」

『自分がラグビーも勉強もできているのは親のおかげ』

 そんな北川くんが花園を目指す大きな理由、それは両親へ感謝を伝えるためです。12歳の頃に中学受験に挑戦した北川くん。しかし、行きたい学校には入学できず、小学生ながらショックで中々立ち直ることができませんでした。そんな時に支えてくれたのが両親の存在でした。
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 (北川英史くん)「(中学受験の失敗は)すごくショックでどうしようかと思ったんですけど、他の学校受けるか?とかいろいろ調べてもらったり、気持ちの面でも支えてもらったりしたので。自分がラグビーも勉強もできているのは親のおかげでしかないので」
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 両親が道しるべとなったのは勉強だけではありません。ラグビーを始めたきっかけも、ラグビー部だった父・裕光さんの影響でした。

 (父・裕光さん)「(Q試合は見に行かれる?)欠かさず。行っていない試合はないな。全部行っています。合宿も行っています。プロの選手になれば別ですけど学生の間だけなので、その間は親として自分の子どもの成長を見たい」
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 家ではなんと筋トレにも付き合ってくれるお父さん。

 (英史くん)「(Q筋トレを始めたのはお父さんを見て?)絶対にそうですね」
 (裕光さん)「ただね、頭の良さだけは誰に似たんやろうって」

 いつも支えてくれる両親のために。

 (北川英史くん)「もうこれで高校のラグビーは泣いても笑っても終わりなので。(両親に)良いところを見せて終わらないと感謝を伝えられないと思うので、良いところを見せたいと思います」

迎えた初戦…体を張ったプレーでチームを引っ張る!

 そして9月24日、迎えた花園への初戦。両親もその雄姿を目に焼き付けます。

 (父・裕光さん)「いつになく気合が入っていましたね」

 全国高校ラグビー大会大阪府予選、対戦相手は淀川工科です。

 (北川くん)「俺らが今までやってきたことなら絶対に勝てるよな!それを全員共通して認識しよう。俺らが100%出したら絶対に勝てんねんから!」
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 そしてキックオフ。すると青の8番・北川くんがいきなりするどいタックル!先制を許すも、合同チームもすぐさま反撃!

 キッカーは北川くん。ゴールを決めて必死に食らいつきます。
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 (北川くん)「頑張れるところは頑張ろうや。(失点が)ほんまにもったいないわ。アタックのミスはしょうがないけど、ディフェンスは絶対に止められるから。それをちゃんとしよう!」

 檄を飛ばす北川くん。後半も体を張ったプレーでチームを鼓舞。さらに相手のスキを突いた見事なトライ! 

 しかし徐々に離れていく点差。それでも最後まで諦める事はありませんでした。その姿を目を離すことなくずっと見つめていた両親。

 (北川くん)「(点を)取りにいくぞ!」
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 そして試合終了。結果は『合同チームC14-62淀川工科』となりました。北川くんは最後まで諦めなかったその姿で両親に感謝の気持ちを伝えました。
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 (北川くん)「今までの合宿もそうやし練習試合もそうやけど、みんなでできて俺はほんまにうれしかった。みんなで公式戦最後まで戦えて俺はうれしかった。ほんまにありがとう」
 (チームメイト)「ありがとうキャプテン」
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 試合後、両親のもとへ。

 (父・裕光さん)「本当によく成長しました」
 (母・和代さん)「感動する試合をチーム全体で作り上げてくれたので本当にありがたい。こっちのほうが感謝しています」

 (北川英史くん)「力の差が大きい相手じゃないと思っていたからこそ悔しいというのが大きいです。でも、こういう思いが最後の試合でできたのも、どちらも両立して頑張ってきたからこそなのかなと思うので、よかったと思います」