8月8日に行われた「びわ湖大花火大会」。今年は『4mの目隠しフェンス』や『有料席以外の人は県外から来ないよう呼びかける』など異例の開催でした。賛否両論ある中で行われた花火大会の様子を取材しました。
コロナ禍のため中止が続いていた「びわ湖大花火大会」。8月8日、4年ぶりに1万発の花火が夜空を彩りました。
「最後がすごかった!」
「めっちゃきれいでした。感動で涙が出ました」
ところが、実行委員会は会場周辺の混雑を防ぐため、高さ4mほどにもなる『目隠しフェンス』を設置。これに対して地元住民らは「高い壁で花火が見えなくなる」と猛反発し、自治会が開催に反対する決議文を出す事態となりました。
さらに、雑踏事故を防ぐためとして有料観覧席を前回の4万席から5万席に拡大する一方で、無料席を縮小。県外の人に対して「有料席以外の人は来ないで」と来場自粛を呼びかけました。
そして花火打ち上げ当日となった8月8日。開演前から有料席は大賑わい。有料席の人たちに話を聞きました。
「(Qこの席はいくらした?)1席2万5000円です」
「(Q花火を見たらどんな気持ちに?)歌を詠みたくなります。(Qちょっと詠んでみる?)えぇ~ちょっと緊張する」
そして県外からの来場自粛が呼びかけられていた無料エリアでも話を聞きました。
(記者リポート)「午後5時20分時点で、すでに満員となっています」
「大阪から来ました。(Q県外の人は来ないでとの呼びかけは?)知らなかったです。楽しく見れないなと。あかんことしているような気分になる」
「和歌山から来ました。今までコロナで花火を全然見られなかったので、せっかくなら呼びかけがあっても見たいなと思いました」
そして無料エリアに入れなかった人たちは…。
(記者リポート)「歩行者天国が始まる前なのですが、歩道からは人が溢れて道路を歩いてるような状況になっています」
警備員が必死に呼びかけますが、マンションの敷地内や路上に座り込んでしまう人もいました。
「(Qここに座るのはダメですが?)あ、どきます」
記者が話しかけると、一旦は立ち上がるものの、移動する気配はなさそうです。
そして午後7時半。きれいな花火が打ち上がると、目隠しフェンスの前には人だかりができました。
(記者リポート)「フェンスの隙間から花火を覗き込んで撮影しようとしている子どもたちがいます」
フェンスにはりついて隙間からスマートフォンで撮影したり、肩車で子どもに見せたりしようとするお父さんの姿がありました。さらにはフェンスによじ登ろうとする人もいました。フェンス越しに花火を見ていた人たちに話を聞きました。
「(Qそこから花火は見えた?)見えますよ、カメラ越しに。ほんまフェンス邪魔やわ…。(Qカメラ越しというのは?)いや、見たいけど…」
「隙間からちょっと見えました。来年は課金(有料席を購入)したいですね」
フェンスのすぐ近くのマンションで花火を見ていた住民は次のように話しました。
「(Qフェンスはどう?)そりゃ嫌や、あってほしくない。だって(花火が)見えにくい。地元の人が見えにくいような花火大会はなくてもいい」
様々な想いが交差した今年の花火大会。花火で「歌を詠みたい」と言っていたあの男の子は…。
「『その花火 花火光りて花火散る その輝きは今も栄えん』。花火が散って、また光って、国がめっちゃ栄えているような雰囲気だと思いました」
福岡から花火を見に来た人は次のように話しました。
「福岡から来たんですけど人生で一番すごかったです。(Q県外の人は来ないでとの呼びかけは知っていた?)本当ですか、関西ならではですね。福岡はもうちょっと優しいですよ。それを言うには有料席の値段が高すぎますね」
実行委員会によりますと、この日の来場者数は30万人。コロナ禍前の2019年から5万人減ったということですが、来年はどんな大会になるのでしょうか。