子ども向けなのに4時間しか眠れない…「ガチすぎる!」と話題の近鉄の『駅のお仕事体験ツアー』。1日目は午後3時に集合して午前0時に就寝。2日目は午前4時に起床して正午に解散、というスケジュールです。仮眠時間は4時間で入浴はできません。この本気の駅長体験に鉄道が大好きな小学5年生の少年が参加しました。
将来の夢は駅員さん…鉄道大好き少年が「本気の駅長体験」
日本アルプスに囲まれた長野県。小学5年生の光くん(10)は筋金入りの鉄道ファン。自慢の鉄道模型を見せてくれました。3歳から集め始めて現在では30個ほど持っているのだとか。
(光くん)
「これは丸ノ内線ですね。開業当時から走っていた電車で、もういないんですけど。ブエノスアイレスっていうアルゼンチンの方に行って、それからまた帰ってきた」
口を開けば鉄道知識がとめどなく溢れ出ます。鉄道にハマるきっかけはなんだったのでしょうか。
(光くん)
「物心つく前から好きだったもんでよくわからないんですよね、自分でも。たくさんの人の足になっているっていうと、すごくかっこよく思えるじゃないですか」
そんな光くんの将来の夢は。
(光くん)
「優しい、緊急事態には臨機応変に対応できる駅員さん」
実際の列車監視に改札業務を体験『すごく緊張…』
迎えた駅長体験の当日。お気に入りの近鉄特急「青の交響曲」に乗って奈良県の下市口駅に到着しました。
(光くん)
「すげえ緊張する。自分のせいでダイヤ遅れたらどうしようかなとか」
さっそく制服に着替えますが、光くんはとにかく緊張しているようです。
(光くん)「ちょっと迷惑かけてしまうかもしれないですが、1日よろしくお願いします」
早速、業務開始です。最初の仕事は電車のドアがしっかり閉まっているかなどを確認する『列車監視』。電車の安全運転には欠かせません。光くんは不安でいっぱいの様子です。
そこへ電車がやってきました。はたして…。
(田中駅員)「(信号の)赤が青になったら出発よしって」
と、そこへ乗客が…。
(光くん)「見えねえ見えねえ!」
(田中駅員)「はい青くなった、よし!」
(光くん)「よし!」
(田中駅員)「扉閉まっているか見てください。車掌さんにもう1回、よし!」
なんとか電車は無事に走り出しました。
(光くん)「すごく緊張した…」
ほっとしたのも束の間、次は『改札業務』です。
(光くん)「こちらで切符を回収させてもらいます…あぁ…」
なかなかお客さんの流れがつかめないようです。
(光くん)「ありがとうございます…」
緊張のせいか声も小さく、うまく声掛けすることができません。
(光くん)「切符回収できなかった…」
このほかにも、駅務室の『機械見学』で機械について教えてもらったり、実際に『切符販売』をしてみたりと、初めてのことばかりで大忙し。汗びっしょりです。
夜空を彩る打ち上げ花火よりも…気になるのはやっぱり電車!
午後7時ごろ、次なる仕事は駅の掃除です。はりついた蜘蛛の巣をほうきで払います。自然に囲まれた駅だけあって、いたるところ蜘蛛の巣だらけ。
(光くん)「く~るく~る…、いやあっ!いやあっ!」
光くん、頑張れ!
夜も更けたころ、近鉄の社員に連れられて橋の上にやってきた光くん。そこで突然始まったのは打ち上げ花火です。夏の夜空に咲く色とりどりの花火に光くんも夢中で見とれる…かと思いきや。
(光くん)「6400系の2両編成だ」
(お父さん)「電車の音聞いていたの?」
花火より電車が気になる光くんでした。
最終電車を見送り1日目が終了
駅長業務はずっと立ちっぱなし。だんだん疲れがたまってきました。
(記者)「疲れました?眠たいですか?」
(光くん)「ちょっと眠たい」
(お父さん)「最後ぴしっと決めてください」
(光くん)「はーい」
本日の業務は0時ちょうどの最終電車を見送るまで。もうひと踏ん張りです。
(光くん)「まもなく六田行きの最終列車が参ります。お乗り遅れのないようご注意ください。お乗り遅れのないようご注意ください。この列車は最終列車です。お乗り遅れのないようご注意ください。」
ようやく最終電車がやってきました。最後にホームに異常がないかを確認したら1日目終了です。
(記者)「ゆっくり休んでください」
(光くん)「おやすみなさい。お疲れ様でした」
疲れ果てた光くん。あすも早いけど大丈夫かな…?
2日間のガチすぎる体験をやり遂げ…光くん『絶対に駅長さんになってやる』
2日目、午前4時半ごろ。
(記者)「寝られました?」
(光くん)「一応…」
起きがけでさっそく業務開始です。光くん、どことなくまぶたが重そうですが、眠気をこらえて頑張ります。
(光くん)「まもなく大阪阿部野橋行き、急行が参ります」
きのうまでは緊張のためにぎこちなかった『列車監視』。いつの間にかこなせるようになっていました。
いよいよ最後の仕事場、吉野駅に到着です。ここで行う最終業務は光くんお気に入りの電車「青の交響曲」のお出迎えです。体力はもう限界ですが最後の力をふりしぼって頑張ります。
(光くん)「ご乗車ありがとうございます」
きのうはうまくできなかった挨拶も、少しだけ大きな声でできるようになっていました。さらに…。
(光くん)「扉が開きます。ご注意ください」
乗務員しか触れないボタンで『ドアの開閉』も実際に体験です。
めまぐるしいスケジュールをなんとかやり遂げ、ようやく…。
(光くん)「お疲れ様でした」
責任重大だった駅長業務。やっと肩の力が抜けました。
(記者)「2日間どうでしたか?」
(光くん)「楽しかったです」
(記者)「楽しかったけど、しんどかった?」
(光くん)「うん、眠いし」
(記者)「駅長になる将来の夢は体験を通して変わりましたか?」
(光くん)「(駅長さんに)絶対になってやるぞって。駅員さんでもいいから絶対になってやる」
大好きな鉄道の世界に全力で飛び込んだ2日間。忘れられない思い出がまたひとつ増えました。