18年前のいじめを巡り、神戸市教育委員会が調査記録を隠ぺいしていたとされる問題。教育長らが被害者と面会しました。市教委はいじめ調査記録の隠ぺいを認めるのか、教育長が語ったことは。
第三者委が「隠ぺい」認定…市教委は「公文書として扱っていなかった」
(神戸市教育委員会 長田淳教育長)
「誠に申し訳ございませんでした」
6月12日午後2時、神戸市教育委員会のトップ・長田淳教育長らが、いじめ被害者のAさんらに頭を下げました。
いじめがあったのは18年前の2005年。当時、神戸市立の小学5年生だったAさんは、同級生13人から暴行を受けたり50万円以上を脅し取られたりしました。いじめを巡っては、裁判所が加害児童全員のいじめを認め、加害児童の1人は謝罪文を送っています。しかし、神戸市教育委員会は…。
(当時の指導部長 2010年の神戸市議会)
「双方の児童から聞き取りが十分に行えなくなった」
(神戸市教育委員会 長田淳教育長 2019年2月の神戸市議会)
「当時十分な調査が行えず、いじめ・恐喝があったかどうか当該校も教育委員会事務局も判断できなかった」
これまで一貫して「Aさんから聞き取り調査ができなかった」としていじめを認めてきませんでした。
(Aさんの父親)
「教育委員会以外は全員がいじめだと言っているんですよ。なぜ教育委員会はそこまでそれを否定したかったのかな。ずっと知りたかったし、今も知りたいですね」
実はAさんが通っていた学校側は当初いじめを認めていました。
(当時の校長)「本当にすごかったでしょ。いじめの回数とか。本当に私まとめながら涙出てきました」
しかし、この1か月後に態度が一変します。
(当時の校長)「これ僕の口から聞いたって言わんとって。ひょっとしたらね、操作されてるかもしれん。いじめはなかったってことに」
こうした中で去年になってある文書の存在が明らかになりました。これまで教育委員会が『ない』と主張してきた学校作成のいじめ調査記録が内部で保管されていたことが発覚したのです。今回の教育委員会の対応を巡って第三者委員会が調査して今年5月に調査結果をまとめました。
(第三者委員会)
「教育委員会がその事実に向き合おうとしなかった姿勢は非常に不誠実であったと考えております」
教育委員会が調査記録を「隠ぺいして虚偽を重ねた非常に悪質な行為」と認定しました。この結果を受けても教育委員会は「調査記録はメモや備忘録の域を出るものではない」として“公文書として扱っていなかった”と主張していました。
被害者の父親が直接質問 教育長や当時の教頭の答えは
そして6月12日教育長や当時の担任らがAさんらに直接面会。調査記録の隠ぺいについて…。
(Aさんの父親)「あなた方は隠ぺいしたのかしていないのかどちら?」
(長田教育長)「結果を見ますと隠ぺいと言われても仕方がない」
(Aさんの父親)「どっちなの?」
(長田教育長)「故意かどうかは別にしまして、結果として出すべきものを出していないということですから、それは世間でいう隠ぺいと」
しかし、故意によるものだったかについては明確な答えはありませんでした。
学校側はなぜ主張を変えたのか。Aさんの父親が当時の教頭に尋ねますが…。
(Aさんの父親)「いじめがなかったことになってしまったんですが、誰の指示で変えたんですか?」
(当時の教頭)「誰かに言われたという認識はないです。私の認識そのものがそんなに変わったと私自身は思っていないです」
不適切な対応だったとは認めましたが、誰からの指示があったのかなどについては結局明らかにしませんでした。