東京のベンチャー企業が開発したゴミ拾い共有アプリ。ゴミを“見える化”し、楽しみながら清掃する輪が全国に広がっています。

拾ったゴミの量を投稿して世界中の人たちと共有

 5月13日、神戸市の須磨海岸に地元の親子など約250人が集まりました。一斉に始まったのはゴミ拾いです。海岸に打ち上げられた海藻や砂の中には、さまざまなゴミが放置されていました。

 (ゴミ拾いの参加者)
 「ここあるわ、ほらほら、ゴミ」

 (子ども)
 「おかしの袋や。(Qゴミが捨てられてるのを見てどう?)なんか悲しい」
 「(ゴミが多いと)魚が食べたら死んだり、みんな遊びに来なくなったり」

 このイベントは地元の商店街と企業が企画。1時間ほどでゴミ袋約30個分のゴミが集まりました。活動が終わると集まったゴミを撮影します。

 (商店街とともにイベントを企画したJT兵庫支社 新井健矢さん)
 「ゴミの量の写真を撮りまして、これからピリカのアプリに投稿するところです」

 画像の投稿先は「ピリカ」と呼ばれるアプリです。投稿したゴミの画像がすぐ地図上にアップされ、ゴミの量などを世界中のユーザーと共有。投稿後、わずか5分ほどで「ありがとう」などと反応がありました。

 (JT兵庫支社 新井健矢さん)
 「ゴミ拾いってなかなか可視化されない活動なんですけれども、感謝のコメントとかをいただくと、あぁやってよかったなと感じる」

 東京のベンチャー企業が2011年に開発したゴミ拾い共有アプリ「ピリカ」。個人の利用は無料で、今では118の国と地域で利用され、世界で累計約3億個のゴミを拾ったと投稿されています。

車を走らせて『道路のゴミを検出』も

 そんな「ピリカ」はこんな試みにも活用されています。大阪府高槻市で産業廃棄物を回収している業者の車に設置されたスマートフォン。車を走らせるだけで、道路に落ちているゴミを検出しているといいます。

 (産業廃棄物を回収するドライバー)
 「普段より気にしますね、やっぱり。ゴミ落ちてないかなとか。僕らとしても仕事の量が増えるわけではないですし、付けるだけで社会貢献できるって考えるといいですね」

 スマートフォンで撮影された動画は、東京にある「ピリカ」の事務所で解析が行われます。道路を走る映像からゴミをAIが自動で認識し、どこにゴミがあったかを地図上に表示することができます。

 (ベンチャー企業「ピリカ」 小嶌不二夫さん)
 「走行中の車両から路上を撮影していて、映ったゴミの数をAIで検知しているんですね。森の中とか公園にあるよりも、実は道路上にゴミが落ちているほうが、海へ流れ出してしまうリスクが高いんですね。実は海に行くゴミを減らす意味でもすごく価値があるので、まずはそこからやっていくのが大事なのかなと思っています」

 集めたデータはゴミ拾い活動の場所設定などに活用するということです。見える化することでゴミを減らす。新たな取り組みが広がっています。