5月8日に新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行しました。これまでゴールデンウィークもお盆も正月も診察するなど、コロナ禍で闘い続けてきた医師の3年を振り返ります。
3年間で約5500人の発熱患者を診察
大阪・心斎橋の小畠クリニック。5月7日、小畠昭重院長は、感染拡大を防ぐための陰圧テントを撤去しはじめていました。コロナが2類相当から5類に引き下げられ、発熱患者と一般患者を完全に分離する必要がなくなったからです。
(小畠クリニック 小畠昭重院長)
「あのころ(設置当初)は甘く考えていたけど、大活躍したもんな、このテント。そのあとすごかったもんね、3年にわたって。(Qコロナの3年は長かった?)なんかあっという間やね、結局。振り返ったら短いね、過去は。やっぱり忙しかったから。感慨深いね…」
3年間、コロナと闘ってきた小畠院長。この間の出来事をノートにまとめていました。
(小畠クリニック 小畠昭重院長)
「最初が1月やね。2020年に武漢で。2月24日に尾身さんがテレビで言っていたんやね、『これからが大事』だと。緊急事態宣言が4月7日、このころは本当に暗かったね…」
小畠院長が初めて患者を診たのは、ちょうどこの頃でした。
(小畠クリニック 小畠昭重院長)
「2020年4月4日に来たんかな。その人がコロナで、結局亡くなりはったんや」
コロナ禍で初めて迎えた正月には、元日から病院を開けて診察しました。
【診察の様子 2021年1月1日】
(小畠院長)「陽性ですね、間違いないです」
(男性)「スーパー銭湯とか行ったらだめですか?」
(小畠院長)「絶対だめ、絶対だめ。もう絶対だめよ」
(男性)「サウナは?」
(小畠院長)「あかん!人と接触したらだめやから、家から出たらだめ」
(男性)「あ、そうなんですね」
2年前のゴールデンウィークも休日返上で診察。
【診察の様子 2021年5月】
(小畠院長)「陽性反応が出てるわ。どこでうつったんや」
(女性)「私コロナじゃないですよ!」
このころは、大阪を中心に感染者が急増し、保健所もパンクしていました。
3年間で約5500人の発熱患者を診察。正月も、ゴールデンウィークも、まとまった休みは取りませんでした。
2類相当として迎えたゴールデンウィーク最終日の今年5月7日も休日返上で診察。発熱外来としての診察はこれが最後です。
やってきたのは、ミナミの飲食店に勤務する20代の男性。
【診察の様子 今年5月7日】
(小畠院長)「熱は何度あった?」
(男性)「39度7分。喉の右側が痛い」
抗原検査で調べてみると…。
(小畠院長)「扁桃腺の炎症が原因だと思いますから。コロナは関係ないね」
今年のゴールデンウィークも患者は殺到したのでしょうか?
(小畠クリニック 小畠昭重院長)
「発熱患者は約30人。去年は忙しかったな、ゴールデンウィーク期間だけで70~80人は来てるよね。今年は格段に減ってますよ。(Q休日の診療は?)きょう(7日)で最後ですね。日曜日何しようかな。たまにゴルフとか行っていたんだけどね。またUSJへ遊びに行きますわ。もう長いこと行っていないから」
5類に移行して…コロナの診察は一般患者の診察とともに
5類に引き下げられて初めての診察日となった5月8日。コロナの診察は、いわゆる発熱外来ではなく、一般の患者の診察とともに続けられていました。ただ、エレベーターでは発熱患者とその他の患者が一緒にならないよう配慮しています。
(来院した患者 79歳)
「先生がそこはちゃんと誘導してくれていますので、安心して来ています」
クリニックの対応も変わりますが、「これで楽になるわけではない」と懸念しています。
(小畠クリニック 小畠昭重院長)
「入院しないといけない人が来たときは大変ですよね。今までは保健所から入院先を手配してくれたけど、今度はクリニックが自分で病院に電話して、病院を探さないといけない」