長年、地域の人に愛された大阪の中華食堂。4月25日、惜しまれながら閉店しました。
(客)
「豚肉がやわらかくておいしいです」
「いかにも“天六の味”っていう感じ。これが食べられへんってほんまに残念ですね」
大阪・天神橋筋商店街のすぐ近くにある中華食堂「十八番」。安いのにボリュームがあるのが人気の理由で、メニューは200種類ほどあります。
創業者の父から引継ぎ、いまは2代目の山本かがりさん(63)が切り盛りしています。
(中華食堂十八番 山本かがりさん)
「おいしさであったりとかサービスであったりとか、そういうところをB級よりもうひとつ上のランク、うちは超B級になろうっていうのを目指してやってきたんです」
約半世紀前の1972年に開店。これまで、景気の荒波やコロナ禍も乗り越えてきました。一方で、従業員の高齢化が進み、店の味を守ってくれる若い世代の人を募集していましたが、思うようには集まりません。
(中華食堂十八番 山本かがりさん)
「本当に人がいないんですよ。開けたいんですけれどもクオリティーが維持できなくなるんですよね。そういう理由があって潔くここで閉めようかなと」
働き手不足は小さな店にも影を落とし、やむなく店をたたむことを決めました。
閉店当日の4月25日。先頭に並んだ男性はオープンの30分前、朝4時半にやってきました。
(先頭に並んでいた客)
「いつもこんなに朝早くはないんやけど、早く並んでね。(Qどうして?)最後やし、一番乗りで食いたいなと」
そして、いつもと同じ時間である4時59分、店にとって最後の1日が始まりました。店内は客が一気が入り超満員に。最後を惜しんでなじみの客もやってきました。
(客)「当分会われへんな」
(スタッフ)「当分会われへんな、また!」
(客)「ありがとう」
(スタッフ)「ありがとうございました」
(客)「おいしかった、最後まで。残念やわ~」
(山本さん)「また会えたら」
(客)「ほんまやね」
(山本さん)「ほんまやね。ありがとうね、おおきに」
この日は従業員も総動員で対応。それでも、雨が降る中、店の外には列ができ続けました。
そして、店を閉める時。
(中華食堂十八番 山本かがりさん)
「皆さん、長きにわたるご愛顧、本当にありがとうございました!」
常連客に見守られて地域に愛された食堂は、約50年の歴史に幕を下ろしました。