新スポットが誕生するなど、人気エリアとしてにぎわう神戸・三宮。しかし、このエリアを含む神戸の中心部では、実は新しいタワーマンションを建てることが原則禁止されています。背景にあるのは、都心部の一極集中問題です。神戸市が目指す街づくりはどのようなものなのでしょうか。

再整備が進められる神戸・三宮 「東遊園地」もリニューアルオープン

 4月7日にリニューアルオープンしたのは、神戸・三宮にある「東遊園地」です。毎年1月に阪神・淡路大震災の追悼行事が行われている公園で、神戸市は2021年から改修工事を行っていました。公園には広々とした芝生広場やカフェレストランのほか、建物の壁沿いには自由に読むことができる雑誌や絵本などの本棚をつくりました。

 (神戸市 今西正男副市長)
 「東遊園地は都心とウォーターフロントをつなぐ重要な位置にあるわけでございます。変化する街にも、いつまでもマッチし続けていけますように」

 いま、神戸市などは三宮の再整備を進めていて、都市機能の充実とにぎわいづくりを目指し、2021年11月にはJR三ノ宮駅北側の広場を整備しました。

 さらに去年8月には神戸阪急がリニューアルオープン。JRが三ノ宮駅に新しい駅ビルを建設することを決めるなど、三宮がある中央区は人気エリアとして人口も増加しています。

 神戸市の中心部にはすでにいくつものタワーマンションが建っていますが、実は、神戸市は中心部に新たにタワーマンションを建てることを原則禁止しているのです。一体なぜなのでしょうか?

神戸市が打ち出した“タワマン禁止”ともいえる条例

 神戸市が目指す三宮の未来予想図。オフィスやホテルといった都市機能を集め、国際競争力ある街にしたいとしています。市全体の人口が減少する中、三宮がある中央区は、10年前に比べて人口は約1万8000人増加しました。

 神戸市を中心に新築マンションを分譲する不動産ディベロッパーも…。

 (「ワコーレ」ブランドの和田興産 濱本聡専務取締役)
 「マンション需要としては都心の便利なところへの集中。郊外型よりも都心、特に三宮、元町に関しては非常に人気がございますし、単価価格が高くなってもよく売れることが多いです」

 中央区は職・住が近接する人気エリアということですが、都心部の一極集中という問題も抱えています。そこで神戸市が打ち出したのは、“タワマン禁止”ともいえる条例です。

 タワーマンションは、限られた土地に効率良く多くの人が居住できる利点がある一方、人口の増加で小学校や子育て関連施設の不足、災害時の避難場所の確保などの課題も浮き彫りになっています。このため神戸市は、三宮地区にオフィスや商業施設を誘致して、周辺の区に住宅を増やすことで市全体でバランスのとれた人口配置ができるような街づくりを目指しています。

 3年前から、新神戸駅から神戸駅までの商業地域で、住宅用途での容積率を400%以下とし、事実上タワーマンションの建設を制限。さらにJR三ノ宮駅周辺は住宅そのものの建設を禁止する条例を施行しました。

 神戸市民はどう考えているのか、話を聞きました。

 (神戸市民)
 「神戸の中心が三宮なので、そこにタワーマンションは当たり前のイメージ。あとやっぱり大阪に近い西宮のほうが人気があるので、なおさらこちらにタワーマンションをつくったほうがいいんじゃないかと思うんです」
 「すごくマンションが空いています。空室だらけですね。(Q新たにつくる必要はない?)そう思います」

 都心に暮らすのか、それとも都心を使うのか…。神戸が目指す街と人の最適解はどこにあるのでしょうか。