京都市に「完成したのに閉ざされたままの道路」があります。4車線あるうちの外側2車線がガードレールでふさがれていて通れなくなっているのです。なぜこのような道路になってしまったのか。理由は京都市が陥っている“財政難”にありました。
4車線のうち2車線が使えない道路
(京都市 門川大作市長 今年2月)
「京都市の財政が破綻してしまったかのような論調もあり、一昨年来、市民の皆さまに大変な御心配をおかけしましたが、安心してください」
今年2月、京都市が陥っている財政難について、こう述べた門川大作市長。京都市では実質8000億円以上の借金を抱え、将来の返済に備えて積み立てた基金を取り崩すなど、深刻な財政難が続いていました。一時の危機を脱する道筋がついたという京都市ですが、財政難の余波は市民の身近なところに及んでいました。
京都市には『完成したのに閉ざされたままの道路がある』というのです。情報をもとにやってきたのは京都市西京区にある洛西ニュータウン。取材班が実際にその道路に行ってみると、ガードレールでふさがれた車線がありました。4車線もあるのに、外側の2車線が使えなくなっていて、中央の2車線しか使われていません。
この道路に近隣住民は怒っています。
(京都市民)
「無駄!とりあえず無駄!え、これができあがり?っていう」
「うっとうしいもん。ほんまにこんなガードレール必要あらへん。何のために道路を作ったんやという感じやから」
せっかく完成したのに使えない。一体なにが起きているのでしょうか?
この不可思議な状態はすでに半年以上続いているといいます。この道路は「中山石見線」という都市計画道路で、京都市によりますと、当初は車1台分ほどの幅でしたが、洛西ニュータウンなどから国道9号などへのアクセスをよくするため、4車線の直線道路を作る計画が決まっていたのです。2020年11月から工事が始まり、洛西ニュータウン近くは完成したのですが、実は完成しているのは全体のわずか3割で、残り7割の工事が進んでいないためガードレールで閉ざしているというのです。
財政難で『12の道路整備事業のうち7つの予算計上が見送り』に
なぜ工事が完了しないのでしょうか。その理由が京都市の財政難なのです。京都市は深刻な財政難を受けて行財政改革を行っていますが、計画した12の道路整備事業のうち7つの予算計上が見送られることになりました。この道路も今年度の工事の予定は一切なく、完成予定は最短で5年後だといいます。
『金欠』が原因だと知った住民らは次のように話します。
(京都市民)
「ちょっと残念やなと。京都市はもうちょっとしっかりしてほしいなって思いますね」
「できますできますということで待っていたんだけど。腹立っていますよ、やっぱり」
「お金がないやったらないでね、そんな無駄なことしないで、見栄張らないで。見栄張るのが京都人ですかね」
京都市はどう対応するつもりなのでしょうか。京都市建設局道路建設課に話を聞きました。
(京都市建設局道路建設課 村田昌寛事業促進第一担当課長)
「(Q財政難がなければもっと早く完成していた?)仮定の話になりますけれども、今年度も予算がついていれば工事を今年度もしていたと思います。今後、予算を計上できるように努力していきたいと思っております」
市民が利用する生活道路にまで財政難の影が及んでいます。