満開の時期のはずが枯れてしまっている桜…その原因は桜の木を食い荒らす外来種「クビアカツヤカミキリ」です。一体どのようにして食い荒らすのか。対策はできないのでしょうか。

1300本が並ぶ桜の名所…しかし花を咲かせていない木も

 大阪狭山市の狭山池公園は、池のまわりに約1300本の桜の木が並び、桜の名所と言われています。3月27日に大阪で桜の満開が発表され、取材した28日にも多くの人が花見に訪れていました。

 (花見に来た人)
 「せっかく桜が咲いているので、子どもが4月から1年生になるので写真を撮りにきました」
 (ランドセルを背負った子ども)
 「(Qランドセルはどうですか?)うれしい」

 (花見に来た人)
 「(Qコロナ期間中はできなかった?)そうですね。今年はいつもよりも色が鮮やかな気がします」

 1年のうちわずか数日だけ花を開き、人々を魅了する桜。ところが…。

 (記者リポート)
 「こちらの木は半分枯れてしまっていますね。一部分には花が咲いていますけれども、それ以外の部分は花が咲いていません」

 園内には他にも花を咲かせていない桜の木がちらほら。幹にはネットが張られています。

桜を枯らす外来種…どうやって食い荒らす?

 桜を枯らした犯人はクビアカツヤカミキリ。中国由来と言われ、2012年に愛知県で国内初確認。2018年に特定外来生物に指定されています。

 (自宅で発見した人)
 「自宅の外なんですけど、出たんですよ、庭に。なかなか殺虫剤でも3分の1くらい使いきるまで死ななくて、なかなか強力やなと思って」

 大阪狭山市では2015年に初めて被害が確認され、年間200本ほどの桜が枯れているとみられます。

 ナラ枯れなど木の被害について研究している京都府森林技術センターの小林正秀先生に話を聞きました。

 (京都府森林技術センター 小林正秀主任研究員)
 「このへんからおかしいじゃないですか。これなんかは全部枯れているんですよ。個体として死んでいます」

 なぜ桜が枯れてしまうのか、市の許可を得て、木の内部を見てみました。

 (京都府森林技術センター 小林正秀主任研究員)
 「ここを食べたんです。めちゃくちゃ食べられている」

 クビアカツヤカミキリは木の幹の表面に一度に約300個の卵を産みつけます。かえった幼虫が木の中に侵入すると、2~3年は幹の中で過ごし、樹皮のすぐ内側の栄養や水を運ぶ道管を食い荒らすのです。
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 (京都府森林技術センター 小林正秀主任研究員)
 「フラスというものです。木くずと虫のふんが混ざったものと捉えてもらったらいいです。(Q木に何匹くらい入る?)1匹で十分ですよ。1匹が来て卵を300も産んだら、そのうちの何十匹か育ったらもう終わりじゃないですか。1匹2匹でも枯れる可能性があると思いますよ」

すでに全国に被害が拡大した今…対策は困難

 大阪府での被害は、2015年に大阪狭山市で確認されて以降、毎年約半径3kmずつ広がり、大阪府内ですでに19の市町村に拡大しています。全国各地でも被害の拡大が確認され、去年には兵庫県でも初めて目撃されました。予防や駆除のための薬剤も開発されていますが、木の中にいる幼虫の駆除は困難で、対策は難しいと話します。

 (京都府森林技術センター 小林正秀主任研究員)
 「ドイツとかは被害が見つかったらその周辺の元気な木も含めて燃やすということをやっているんです。日本に入ってきたときだったら当然、全部燃やすのが正解。こういうふうに広がってしまったら、もう今から燃やすというのは難しいと思います」