アメリカを起源とする宗教団体「エホバの証人」の元2世信者が自らの体験を語り始めました。2歳~3歳の幼少期から母親から手製のムチで叩かれたり、13歳で「バプテスマ」という洗礼儀式を受けたりといった体験。かつては「輸血拒否」で社会問題になったエホバの証人をめぐって、今また宗教2世が自らの虐待体験を告白。支援団体の弁護士が2月28日に、宗教団体を所管する厚労省にエホバの証人による虐待への対応を求めるなど、旧統一教会に続いて再び宗教2世の問題が噴出し始めています。(2023年2月28日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

鼻をつまんでプールに浸される。上がってきた瞬間に信者になる、という儀式「バプテスマ」

---エホバの証人の元日生信者の小松猛さんに詳しいお話を伺っていきます。エホバの証人の正式名称は、「ものみの塔聖書冊子協会」といいます。1870年代、アメリカの聖書の研究者らを中心に発足しました。キリスト教系の宗教団体です。全てのものを創造した、聖書にある神エホバを賛美しています。信者は世界でおよそ870万人。日本にはおよそ21万人の信者がいるとホームページが記載されています。では一体、エホバの証人に入るとどういう生活が待っているのかという話ですが、実際に小松さん自身の体験です。母親が信者だったため、幼少期から野外奉仕活動に参加した。小松さん具体的にはこの奉仕活動というのはどういう内容なんでしょうか?

 もう本当に幼いときから母親に連れて行かれまして、家から家、普通に営業活動のように協会の出版物を読んでくださいという形で家から家へいくというスタイルです。

---いわゆる布教活動というようなものですか。

そうです。まさしくそうです。

---そこにはどれだけ信者を増やしなさいというノルマという言葉があるんですか。

ノルマはないですけれども、教団内における立場によって、ひと月に要求される奉仕時間というものが変わっています。

---小松さんご自身も子供のころは、ご近所ですとか、もしかしたら友達のお家も訪問するというような経験もあったわけですか。

 ございました。それは非常に後ろめたいというか、羞恥心で、こういう格好で、やはり子供であっても出て行かれますので友達にあったりしますと、後に学校で茶化されたりとか、何でそんな格好してたんだということで、非常にからかわれたりした経験がたくさんあります。

---13歳で儀式「バプテスマ」を受けて正式に信者になると。お水に浸かっているように見えますけども、この儀式はどういうものなんでしょうか?

 これに関しては、信者になるという決意をしますと、その前に聖書に対する知識、正しい知識をたくさん勉強するんですけれども、その中で信仰を持って私はこれからエホバの証人になりますという宣言をするんです。その宣言の証として、真礼の儀式がありまして。そのプールは教団が信者たちによって建てられた大きな施設があるんですけれども、そこで大会と呼ばれるイベントがありまして、その中で、儀式があります。そこでプールに入って鼻をつまんでプールに浸されるんですね。はい。それで水に浸ってて、上がってきた瞬間に入れて信者になるという、そういう儀式です。

---幼いころからエホバの証人に非常に近いところにいらっしゃったということですけども、信者になる、ならないという選択はできたのですか、ご自身で?

 選択は基本的にはできるんですけれども、幼少期の頃から、私の場合は物心ついたときからエホバの証人の教えに反するような言動をすると、必ずムチによる懲らしめが待っておりました。そうなっていくうちに自分の選択肢というものが非常に狭められていきていて、エホバが言っているというよりも、私にとってはもう母親が言っていること以外は全部正しくないというような教えを刷り込まれてきていましたので、自然と信者になる選択をせざるを得なくなってきたという感じです。

子供を愛しているから懲らしめる、ムチで叩くという教え

---小松さんの場合は2歳から3歳の頃から、母が作った母手製の鞭で何度も叩かれると。集会で落ち着きのない子供はトイレに連れて行かれてムチで叩かれるという行為があったんだそうです。エホバの証人のホームページには、ムチを控える人は子供を憎んでいる。子供を愛する人は懲らしめを怠らないというふうに記されているということです。これは小松さんも幼い頃からこういったことが続いていたということなんですね?

 私の場合は物心がついたときから母親によってムチによる懲らしめ行われていました。正確に申し上げますと、本当に幼い頃は平手でお尻をたたいていたんですけれども、あるときを境に、正確なちょっと時期は言えないんですけれども。お手製のムチに変わりました。その家はビニール革製のベルトがあると思うんですけれども。それを20とか30に折ってさらにガムテープでぐるぐる巻きにしたものを、あのムチとして使われていました。

---それは2歳から3歳の頃から何歳の頃まで続いたんでしょうか?

 私の場合は中学生ぐらい中学生ぐらいまでですね。

---割と頻繁にそういったことがあるんですか?

 ええ。もう本当に幼いときですと、やはり集会で落ち着けなかったムチされてるいることありますけれども、集会に2時間、3時間聖書についてのお話だけをずっと座って聞いていなきゃいけないんですけれども、2歳とか3歳でその話をずっと聞いていくっていうのは非常に難しいことだと思うんです。足をバタバタしていたとにかく落ち着きがなかった。声を出すのを止めていないか、止めることができなかったという様々な理由でトイレとかその会館内にある宇治入室に連れて行かれてお持ちいただかれるというような感じ私の場合は母親になぜムチで叩かれるのか。事前にこう言われるんです。何が悪くて懲らしめ受けるのか、自分の口から言わされるんです。例えば集会で落ち着きがなかったということで自分の口でそれを言わされるんですけれども。それは誰が悲しむのか、誰に対して悪いことをしたのか。それを言われるんですね。それは私は天のお父さん「エホバ」が悲しむからです。というふうに言わされる。そして、そこからムチが行われるんですけれども。事前に何回叩くということは私の場合は言われなくて本当に母親の気持ちが済むまでというのが、終わりのタイミングだったように思います。

「ムチ打ちは児童動虐待!輸血拒否は虐待!」支援弁護団が発足

---被害支援弁護団は、ムチで叩くということに関しては「もうこれは児童虐待だろう」と。教義とかそういったことではなくてということを訴えています。そしてもう一つは、輸血拒否。虐待なのではないかと。1985年に小学校5年生の男の子がダンプカーにはねられて病院で死亡したときに、両親は宗教上の理由で輸血を拒否しました。5時間後に出血多量で死亡したということです。そしてもう一つは2000年の最高裁。女性信者が信仰上の理由で輸血を拒否したのに、無断で輸血されたこれは無断輸血は人格権の侵害だと逆に女性が訴えました。この女性は肝臓の悪性腫瘍の摘出手術を受けた際ということですから、病院としては医師としては必ず輸血しなければならなかったということなんですけども、この女性は人格権の侵害をされたと訴えました。15歳未満は本人や親が拒否しても生命の危機があれば輸血を行うとしています。エホバの証人は輸血を受け入れないのは宗教上の理由。命を与えてくださった神に敬意を払いたいから。無輸血治療は、血液由来の病気や輸血に伴うリスクを回避できる。拒むと死ぬとか受けるとか生きられるとは誰にも言えませんというふうに記されています。小松さんはこの輸血はしないという考え方に関してはどうでしょう。信者の皆さんにとっては自分の命に関わることだと思いますけども、どういうふうに考えますか?
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 私も信者であった頃は、輸血拒否カードというものを、信者は必ず全員持たさもたらされるんです。はい、いえ、首から下げていなきゃいただきます。肌身離さず365日。…例えばワイシャツと花荒木の間に入れておくということなんですけれども。ずっと輸血カードが更新されるんですけれども。それに自分で署名をして、署名をしたときに必ず代理人が見ていて、代理人もその署名をするということで、結構、重めの書類になると思うんです。その際に、エホバの証人の集会の中ではどうして輸血がいけないのかという説明をされます。そして、無輸血治療が大体治療があるんだというふうに教えられるんですけれども、要はその輸血をしないでも治療を受けるによって、エホバの証人は命を軽視しているわけではんだよという教えがされます。そして無輸血治療がどれだけ体にいいのか。メリットをすごく教えてくださるんです。それによって信者は安心して受付拒否カードにサインするんです。先ほど田中先生が会見されてましたが、田中先生は救急医療にとって無輸血治療というのは非常に難しいものであって非常に意味がないものであるということも証明されていますのでそれもちょっと公にしたいなという、されればいいなというふうにあって。

---「エホバの証人問題支援弁護団」が発足しました。最後にこの弁護団に小松さんは何を望みますか。

 やはり多くの私のような宗教二世の方が、エホバの証人という組織で、非常に傷ついています。ムチによるPTSDも受けていますし、今なお、やはり怖くて、宗教から抜け出せない人が多くいらっしゃいますので、そういった人たちが自由に信じない自由を信じる自由よりも信じない自由を認めてもらえるような機関みたいな、受け皿みたいなものができることを願っています。