園児がバスに置き去りされる事故が相次いだことから、今年4月から送迎バスへの安全装置の設置が義務付けられます。義務化を前に、子どもを守る実証実験が行われました。

天井のセンサーが車内をスキャン 幼稚園で実証実験

 京都市右京区の「佛教大学附属幼稚園」で2月16日に行われた実証実験。通園バスの中に園児が1人取り残された設定です。

 バスのエンジンが切れてしばらくすると、バスのクラクションが鳴り、職員の携帯電話に“車内に子どもがいることを知らせるメッセージ”が届きました。クラクションは、車内の後ろにあるボタンを押すまで鳴り続けます。

 バスに残された女の子を検知したのは、バスの中にあるセンサー。園児が隠れていても、レーダーで検知できるということです。
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 すでにアメリカのスクールバスには搭載されているというこの装置。海外メーカーが開発した子ども置き去り検知システム「LiDAS」です。エンジンが切れて5分たつと、天井のセンサーが車内のスキャンを開始します。レーダーは座席や毛布などを透り抜け、呼吸によるわずかな胸の動きなどを検知。子どもが椅子の陰に隠れていたり寝ていたりしても検知できるといいます。

 (佛教大学附属幼稚園 村上真理子副園長)
 「人の目で確認するといったところは、これからもしっかりと続けていきたいと思いますし、その上で万が一の時のために対応する機械があるのは、安心して保育という仕事にまい進できるかなと」

エンジン停止でメロディーが流れる…後方のボタン押して止める→座席の確認を促す

 おととしの福岡、そして去年の静岡と、バスに置き去りにされて幼い子どもの命が失われる事故が相次いだことから、国は今年4月から、送迎バスに安全装置の設置を義務付けることを決めました。この安全装置には国が定めた基準があり、現在6社の製品が国の認定を受けていますが、その認定を受けた会社が兵庫県姫路市にありました。

 姫路市の「コアテックシステム」が開発した装置が取り付けられたバスは、エンジンを止めるとメロディーが流れ、止めるには後ろの席まで行ってボタンを押す必要があります。この作業で、全ての座席の確認を促します。

 さらに、万が一園児が車内に取り残されても、車内に設置されたマットを踏むとクラクションが鳴り響きます。

 クラクションは、先ほどのボタンを押すかエンジンをかけないと止まらない仕組みで、子どもにとっては、自分でクラクションを鳴らすよりも簡単に外に知らせることができます。この装置、その名も「ココール」。関西弁の「ここおる」が由来です。

 (コアテックシステム 服部憲由社長)
 「こだわった部分は、まずわかりやすいということと、園児に負担をかけない、それと誤作動がない」

 4月の義務化を前に、全国の保育所や幼稚園などから1日に50件ほど問い合わせがあるということです。

 (コアテックシステム 服部憲由社長)
 「幼い子の命がなくなるということで非常に痛ましい思いで、なんとかできないかなと。とにかく早く普及させたいという気持ちがかなりあります」