2月15日、尼崎市は「かんなみ新地」の土地と建物を約2億7000万円で買い取る方針を発表しました。今後は更地にして民間に売却する方針です。尼崎市ではこういった『子育て世代の定住』を目指す街づくりが進んでいます。
大阪から近く交通や生活の利便性が高い街として人気を集めている兵庫県尼崎市。JR尼崎駅周辺は工場跡地が再開発でマンション群になり風景は一変しました。
近代的な街に成長した一方で…。
(記者リポート)
「長屋が立ち並ぶこの一帯では、1年半ほど前まで違法な風俗営業が行われていたとみられています」
ここは阪神尼崎駅から西に約1kmの場所にある通称「かんなみ新地」。約70年にわたって自由恋愛という名目で違法に性風俗営業を行う店が集まっていたとみられ、2021年に市と県警が警告を出した後、一斉に店を閉じました。現在は多くが空き家のままです。
この状況を打開するため、尼崎市は2月15日、かんなみ新地の土地と建物を約2億7000万円で買い取る方針を発表しました。市はこれまでに30人いる地権者の8割と買い取りについて合意。今後、更地にして民間に売却する方針で、ここでも新しい街づくりを進めようとしています。
(尼崎市・都市整備局 田尻和行局長)
「二度とああいう街に戻さないために建物を市が買い取って別の形で土地の利用をしてもらう。マンションなんかを建設していただいて、ファミリー世帯の定住につながるような、市外・県外から選んでもらえるような物件になったらいいなというふうに考えています」
この方針について市民は次のように話します。
(市民)
「大きなスーパーとかができて人が集まるようなところがいいですね」
「子どもの遊び場とか治安のいい場所になったらいいなと」
子育て世代の定住を目指す尼崎市。街のにぎわいづくりにも取り組んでいます。阪神大物駅の南にあるレンガ造りの「ユニチカ記念館」。約120年前に建てられた紡績工場の事務所です。近代産業の遺産として価値が高い建物ですが、一時は解体の危機に瀕したこともありました。
(尼崎市立歴史博物館 桃谷和則学芸員)
「2階建てなのですが屋根は日本瓦がのっています。ここが変わっているところですし、当時のレンガ造りの建物としては大変グレードが高い。工業都市である尼崎の原点ともいえる建物ですし、歴史を伝える展示施設として活用したいですね」
建物は現在は使われていませんが、尼崎市はこの記念館を保存して“工業都市・尼崎”の観光資源にしようと計画。建物はユニチカから無償で譲渡を受け、用地を4億2000万円かけて取得するということです。
さらに、記念館の近くには2025年にタイガースの2軍球場が完成予定。尼崎市は一帯をにぎわいの拠点にしたいと話します。
(尼崎市・都市整備局 田尻和行局長)
「2つのシンボル的な建物を巡っていただけるような。いままでそういう魅力的な施設があまりなかったので、回遊をしていただいて、地域の活性化につながるようにできたらなというふうに考えています」
人口減少が続く中で生き残りをかけた街づくり。尼崎はどんな街になっていくのでしょうか。