新型コロナウイルスの感染は収束状態にありますが、今後のマスク着用をめぐって交通機関や百貨店が「アナウンスをどうするか」などの方針を探っています。関西医科大学附属病院・宮下修行教授は「換気ができている」「距離が保てている」を条件に「マスクなくてもいい」との見解を示します。また、モデルナ製の従来株用ワクチン4610万回分が廃棄されることについて厚労省は「薬事承認前で複数社と契約したため」として当時は緊急避難的な措置だったとみられ「海外でも同じことが起きている」との声も上がっています。(2023年2月14日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

宮下修行氏:関西医科大学附属病院教授 呼吸器・感染症内科 感染症が専門で、肺炎などの診療を担当。

「電車の中のマスクはもう必要ない、換気できていれば」

---関西医科大学付属病院の宮下先生です。
3月13日からマスク着用は個人の判断が基本となります。ただし厚生労働省は一定の場合の着用を推奨。例えば周りに感染を広げないために、病院や高齢者施設に行くとき。そして通勤ラッシュなど混雑した電車、バスに乗るとき。そしてマスク着用が効果的な場面も挙げています。
自分の身を守るためにこんなとこときは効果的ですよ。こういった重症化リスクの高い人が感染拡大時に
混雑した場所に行くときは効果的ですよ。個人の判断と言いながらも、やっぱり感染を広げないため。あと自分を守るために、ちゃんとケースバイケース着用してくださいっていうことですよね。
 
もう第8波で誰が重症化して誰が亡くなられるかっていうのが大体もう特定されてまいりました。やっぱり高齢の方で、特にやっぱり日常生活動作の悪い方ですよね。この方はやっぱりお亡くなりになられてるケースが多いです。それからワクチンを打てなかった方、こういう方もやっぱり明らかに亡くなられてる方が多いですから、そういうことをやっぱり守ってあげるということが一番重要。
"---あとは室内なんかでここは外してもいいかなって考える基準は一つ、どういったことが考えられますか。
"
 
一番やっぱり換気だと思います。換気がきちっとできていれば、それと距離が取れていればこれも外しても問題ないと思います。

---続いて気になるのが、鉄道各社ですね。多くの人が利用する電車などで、マスク着用の車内アナウンスどうするかという問題です。JR西日本や近鉄は現在、適宜必要なときは車内アナウンスでマスクの着用協力を呼びかけてるんですが、変更について現在検討中。
大阪メトロ、阪急、南海、京阪などは現在アナウンスはしていないんですが、掲示などで呼びかけをしている。今後どうするかというところは、国土交通省のガイドライン、現在は掲示などでマスクの着用を呼びかけようということなんですが、今後は新しい内容に変更すべく、現在検討中。車内のアナウンスに関しては現在も記載事実はないということなんです。とはいえ我々もよく聞くアナウンスこちらですよね。車内などでのマスク着用にご協力ください。これを今後アナウンスしていこうとするのであれば、どう変えていくのか。例えば混雑時にはマスク着用にご協力くださいという文言に変えるのか。すいている車内ではマスクを外してご乗車いただけます。そういった状況をアナウンスするのか。いやいや混んでるとか開いてるとか判断は誰がするのかということになってくるのであれば、マスクに関するアナウンス自体をやめるのはどうかというところですよね。
 
 感染症というのは例えば空気感染、飛沫感染それから接触感染。接触感染においてはやっぱり手洗い、これは非常に重要になってまいりますけれども、やっぱりコロナの主体はあくまでも飛沫感染ですから、やっぱりマスクしたいという考え方というのが一番正しいかなとは思いますね。

---私も通勤で電車に乗るんですけども、朝は結構乗客多いんだけども、朝の通勤電車って非常に静かなんですよね。みんなスマホ見てたり新聞読んでたり、黙ってる人がほとんどなんですけども。それでもやっぱり注意しておくべきなんでしょうか。
 
 いや、正直言いまして僕も電車乗っておりますけれども、これは必要ないと思います。私も必ず各駅停車に乗って窓際っていうか、ドアのところで喚起できますよね。そこに座るようには必ずしてますので、そこも心がけていただければなというふうに。

---喚起ができていて、あまり言葉を発しない状況であれば電車だったとしても外してもいいということですか。
 周りに咳をしている人がいないという状況なら。

そうなると怖いのが「逆マスク警察」!!!

---マスクについては懸念点がSNSで話題になっています。「逆マスク警察」の登場です。マスク警察、いわゆる今まで着用していない人たちに対して「マスクしなさいよ」という人たちをマスク警察と呼んでいたわけなんですが、その逆、逆マスク警察は、マスクを外していない人たちに話しなさいよということを心配されてる方々もいるよという。まだねこれがいるというわけではないんですが。例えばこんな声です。「マスクを外すのが義務だと思う人もいそう」。「学校とかでの同調圧力が怖い」「マスク警察も逆マスク警察も嫌だどっちも嫌だ」という声ですね。花粉症でね、マスクする人もいるし、風邪気味でする人もいるし、コロナだけじゃないのになというふうにも思ってしまいますよね。ではマスクの議論があると気になるもう一つのポイント、ワクチンの接種状況だと思うんですが新型コロナワクチン、総接種回数の推移のグラフです。14日時点で日本人の総接種回数はおよそ3.8億回ということなんですが、1人何回ぐらい打ったかというところで言うと、2回接種完了は80.3%。3回に関しては68.2%、4回目以降がかなり下がっているということですね。先生今後このワクチン接種に関しては1年に1回というお話もありますけども?

 まずやっぱりオミクロン、第7波に変わってからというのは明らかにやっぱり病原性が落ちましたですよね。そういう観点から全ての人が必ずしも打つ必要はないという考え方。おそらく軽いものであって、デルタまでとは大きく異なる。そういうふうな観点からいたしますと、やっぱり接種はオミクロン対応のものを1年に1回で私は十分ではないかなっていうふうに思いますね。

---タイミングで言うとどういうイメージをしておけばいいですか。1年に1回の接種のタイミング?

 呼吸器系のウイルスというのは流行るのはやっぱり寒いとき、秋から冬ですから、やっぱりインフルエンザと同じタイミングというのが一番いいかと思いますね。

4610万回分廃棄・・・日本は「ワクチン後進国」と言われてきた

---そんな中、先日厚労省がこんな発表を出しました。
モデルナの従来株用のワクチンについて2月11日に日本が買った全てのこのワクチンの有効期限が到来して、供給が終了しました。そもそも日本に供給されたこのモデルナの従来株用のワクチンというのは、およそ1億4300万回分。その中で国内に配送された数が9600万回分くらいなので、廃棄した数で言うとおよそ4610万回分が余って捨てられる事態になっているということ。厚労省の担当者に「この廃棄分について金額にすると幾らぐらいになるんですか」と聞いても答えは「契約上の秘密保持事項なので答えられない」。また、廃棄について予測はできなかったんでしょうか?という質問に対しては薬事承認前に契約交渉していたから、複数社と契約していたんだ、つまり承認されるかどうかわからなかったからいろんなところと契約していた。さらに変異株の出現もあったため予測がなかなか難しかった。最後に海外への譲渡はできなかったのかという質問に対しては、外務省と協力して途上国への譲渡を模索したんですが、諸条件が合わずに断念したという答えが返ってきました。はい宮下先生に伺いますけども、3回目接種以降が伸び悩んだ原因は国民性があるんじゃないかこれ日本独特の国民性というとこですか?

これは日本人というのはやっぱりワクチン後進国とずっと呼ばれてきました。ワクチンに対して治療はものすごくいいんですけれども、予防という面で弱いのがやっぱり日本なんですね。2回ワクチン80%の方が打たれたっていうのは僕はすごい数字だなというふうに実は感じておりまして、ただその後やっぱり伸び悩んでいってしまったのがやっぱり国民性に反映されているなっていうふうに思いますね。

---そしてモデルナワクチンは副反応の強さも接種が伸びなかった一因ではないか。確かにこの話は結構大きく取り上げられましたよね?

これは私の患者さんも皆さんやっぱり同じことをおっしゃられましたね。医療界においてのいわゆる原則といいますか、多くの場合はですね。副反応が強い場合にはよく効く。副反応が少ない場合にはあんまり効かない、これ全部に当てはまりませんけれども、こういう鉄則がありますので私達医療従事者からすると副反応があってもよく効くやつを出したいっていうふうに思うんですが。ここもやっぱり国民性ですよね、副反応が強いからやっぱり嫌だって言われる方が多かったですね。

---確かにみんなと話しての副反応がつらいと次の日の仕事が何とかいう話はよくよく聞きました。今後のパンデミックに向けて国産ワクチンが開発されれば供給が安定し、不透明な部分がなくなるのではないかと。

特に今回得体の知れないウイルスが流行ってしまったので、そして死亡者がたくさん出ました。やっぱ怖かったんですよね。そこでやっぱりワクチンをたくさんお願いするというのはあるんですが、これは我々の国で作れなかった。そして供給が安定しないってなかったというところにもやっぱり廃棄してしまう裏事情あるかと思いますけれども、やっぱり重要なのは国産の薬であって、国産のワクチン。そうすると供給がいかに安定できるかっていうところが今回のパンデミックを通しての一番の重要なポイントと思いますね。実現性はもういくつの会社がきちっと作って承認を承認申請出しておりますので、やっぱり国産ワクチンですね。