“お母さんの味”として行列ができるほど評判になっている兵庫県多可町の巻きずしの人気店。この“お母さんの味”が東京・銀座に進出した。一体どんな店なのか?

全国に知られる“自称・田舎のコンビニ”の巻きずし

 兵庫県のほぼ真ん中にある多可町。ここに全国から客がやってくる自称「田舎のコンビニ」がある。従業員の平均年齢は60歳。全員、地元の女性たちだ。

 田舎のコンビニこと「マイスター工房八千代」の名前が全国に知られるようになったのは、巻きずしだ。地元の食材と女性たちの経験が詰まった一本。

 マイスター工房八千代ができたのは22年前。女性たちが自分たちの働く拠点を作ろうと起業したのが始まりだ。その中心となったのが現在の施設長・藤原たか子さん(75)。巻きずしにかける思いは人一倍だ。

 (マイスター工房八千代・施設長 藤原たか子さん)
 「材料とかいろんなことに対して、絶対に妥協はしたらあかんと言うのだけれど、時々この中にも外れる(守らない)人がいるんです。そのときは目から火が出るほど、口からも火が出ますけど、目から火が出るほど怒ります」

 一番の味のポイントは、地元産の太いきゅうり。ほかの材料もすべて手間をかけて作る。

 まず、きゅうりをドカン!玉子焼きもドカン!そこに高野豆腐、かんぴょう、しいたけを添えてしっかり巻く。

 1本800円。多いときは1日2000本を作るが、今は予約販売でさばけてしまう。

マイスター工房八千代×まねき食品で銀座店をオープン

 藤原さんたちは自分たちの力を試したいと東京への進出を考えはじめた。その夢を後押ししたのが、兵庫・姫路駅で駅弁の製造販売を手がける「まねき食品」だった。店舗運営のノウハウがあるまねき食品はマイスター工房八千代と合同会社を設立。まねき食品の竹田典高社長自らが東京へ行き、物件を探した。

 (まねき食品 竹田典高社長)
 「ここが銀座シックスで、見つけた店舗がこちら、マイスター工房八千代・銀座です。ここしかないなと思いました、本当に」

 かくして今年の1月12日。マイスター工房八千代銀座店がオープンした。

 店長を務めるのはマイスター工房八千代の従業員で藤原施設長の次女・中川奈苗さん(48)。兵庫の多可町から東京へ転勤となった。

 (マイスター工房八千代銀座店・店長 中川奈苗さん)
 「うわぁ銀座!って。ここが新しい職場になるんかという感じですよね」

 食材はすべて兵庫県多可町から送られてくる。米だけはこちらで炊いているが、作りはまったく同じだ。

 多可町では1本800円だが、銀座の一等地では無理だ。パッケージに高級感を出し、価格は1200円とした。

 (すでに常連の客)
 「5回目です。最初は1本です。2本、3本、4本…今日は5本になりました」

 兵庫県多可町で生まれたお母さんの味が銀座の新名物になりつつある。

 (マイスター工房八千代銀座店・店長 中川奈苗さん)
 「本日の『天船巻きずし』は完売しました。ありがとうございます」