中国ではいま、国が定める春節休み(1月21日~27日)に入っています。この時期、コロナ禍前の大阪・ミナミは中国人観光客で大いににぎわっていました。1月20日に取材班がミナミで外国人観光客15組に声をかけたところ、韓国や東南アジアなどからの観光客ばかりで、中国人観光客と出会うことはできませんでした。一方、コロナ禍で中国に帰国できなかった日本在住の中国人をターゲットに発展しているエリアがあります。巷では「ネオ中華街」とも呼ばれているこのエリア。街の様子をリポートします。

看板は漢字ばかり!「売られているものがまるで違う」

 観光客で賑わいを取り戻してきた大阪・ミナミ。MBSの大吉洋平アナウンサーが訪れたのは、その中心エリアから堺筋を渡った東側の「島之内」周辺です。
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 (大吉アナ)「看板が漢字ばかり。ひらがな・カタカナが全然目に入ってこない」
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 (大吉アナ)「飲食店の看板を見ますと、かろうじて『ランチメニュー』の字は読めますが、『羊』…あとどう頼んだらいいんだろう?おすすめも書いてあるんですけど、おすすめの頼み方が日本人はわからないですね。全部漢字」
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 開店準備中の商店「シン福」で、来日15年目だという店主の李徳喜さんに話を聞いてみました。
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 (大吉アナ)「これ何?スッポン?これってスッポンですよね?」
  (李さん)「スッポンです。日本のスッポンです」
 (大吉アナ)「これまだ生きていますよね?」
  (李さん)「はい、生です」
 (大吉アナ)「1匹おいくらなんですか?」
  (李さん)「1匹はだいたい3500円。だいたい1匹は1.1kg。安いね!」
 (大吉アナ)「1匹3500円か。スッポンの相場が全くわからないから、安いのかどうなのかわからないけど」
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 さらに、活きがよすぎるのか、コイが水槽から飛び出して下に落ちてくる場面も。

 (大吉アナ)「いやー、道一本挟んだら観光地の大阪が広がっているんだけど、売られているものがまるで違う」

一帯は『ネオ中華街』とも…「出会う10人のうち6人か7人は中国人」

 (大吉アナ)「初めてこのエリアに来たんですけど、なんか中国みたいですね?」
  (李さん)「15年前はこの店も入れて中国人の店は2軒だった。今ではこの通りだけで数十軒はある」
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 島之内エリアでは、コロナ禍の2年で中国に帰国できなかった大阪在住の中国人向けに飲食店が増えていました。宗右衛門町通りだけでもたくさんの中国関連飲食店・商店が並んでいます。
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 自然発生的に生まれたこの一帯は『ネオ中華街』とも呼ばれているそうです。

 (大吉アナ)「このエリアでお仕事をされていたら、一日のうち日本語と中国語って、どれくらいの割合で使います?」
  (李さん)「ほとんど中国語だよ。日本語の勉強はしていなくて、あまり話せないんだ」
 (大吉アナ)「じゃあ中国語が話せたらここでは成り立つわけだ、生活が」
  (李さん)「この通りを歩いたら出会う10人のうち6人か7人は中国人さ。全然困らないよ」

「ジュワッって煮込んだ出汁が出てくる」

 このエリアに開店して15年、一番の古株だというこのお店にお邪魔すると…。
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 (大吉アナ)「調味料も豊富ですね。あっ、奥見てください、出来立てのお惣菜がたくさん並んでいますよ。楽しいこれ。鶏肉とか豚肉とか牛肉かな?これは皆さん、自由に取って中で食べるということですか?」
  (李さん)「そうです。店内で食べるのも大丈夫。持ち帰りも大丈夫」
 (大吉アナ)「このお店のこの一角を見ているだけでも、本当に中国に旅行に来たような気分になれるというか、日本とはまるで違う空気っていうのが漂っていますよね」
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 店内では、1個60円(税込み)でアヒルの塩漬けたまごが売られていました。

 (大吉アナ)「いわゆる日本のスーパーで売られている鶏卵とは全然色が違います」
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 果たして、そのお味は…。

 (大吉アナ)「塩っ辛い!こんなに塩味強いんですね。食感としては、鶏卵のゆでたまごとは似ているけど、もっと黄身がパサついている感じがしますね。塩の味がかなりきつく染み込んでいます」
  (李さん)「中国ではよく、朝食におかゆや白米と一緒に食べるよ」
 (大吉アナ)「なるほど。これだけ味が強いから、おかゆの味付けになるわけですね」

 李さんが中国のペットボトル茶を差し入れとしてくれました。

 (大吉アナ)「甘っ!甘い、お茶じゃない、ジュースだ。確かにジャスミンティーの香りはするけども」
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 続いて、登場したのはザリガニの身です。小(約210g)は税込み600円、大(約500g)は税込み1200円で売られているということです。

  (店の人)「うまいよ!」
 (大吉アナ)「ザリガニ食べたことない、私。…確かにおいしい!なんかジュワッって煮込んだ出汁が出てきます。殻もやわらかくてソフトシェルな感じですね。これまた辛い味付け」

「1か月で25日は来る」という客も!“ガチ中華”提供の人気店

 ネオ中華街の名物は、日本の中華料理とは味が違う“ガチ中華”。去年5月にオープンしてあっという間に人気となったお店「陳家菜(チンカサイ)」を訪ねました。
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 ランチでにぎわう店内。客の9割は中国人だといいます。日本に住んでいても母国の味を忘れられない人たちが、ガチ中華を求めて日夜やってくるのです。

 
 (大吉アナ)「このお店にはどれくらいの頻度で来ますか?」
    (客)「1か月で25日は来ているね」
    (客)「週4回くらいは来ている。ここの味は中国の故郷の味みたいで」

 (大吉アナ)「一番おすすめのメニューは?」
    (客)「やっぱり豚肉。大きいの」

1番人気だというメニューを実食

 店の1番人気だというお客さんおすすめのメニュー「脆皮肘子(税込み2980円)」を頼んでみることに。

 (大吉アナ)「え!?ものすごくたくさんの豚肉が届きました。量がびっくりですね!ちょっと唐辛子つけて、タレでいただくということなので、(唐辛子とタレをつけて)では、いただきます!」
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 (大吉アナ)「外の皮はパリッパリ!中の肉はものすごくやわらかくて、肉汁がジュワーと出てきますね。結構、唐辛子が辛い!ちょっとでよかったかも。つけダレが、ものすごくたくさんニンニク入っています。めちゃくちゃおいしいですね。1つ1つの味とか香辛料が濃い、強い。初体験、食感も味も風味も初めて」

 このネオ中華街、今後を来日8年目の店長・陳明喜さんに聞きました。

 (大吉アナ)「この辺りのエリア、今後もどんどん中国関連のお店が増えてきて、中国らしい街並みに成長していくと思いますか?」
  (陳さん)「ミナミに観光客が戻ってきたら、この地域が神戸のような中華街になって、よりおいしい中華料理が食べられる場所になると思うよ」