新型コロナウイルスの第8波、救急搬送の件数が急増しています。搬送先が決まらないコロナ患者を病院へ搬送する「民間救急」を取材しました。
第8波の民間救急…12月の搬送件数は前月の約2倍に
1月16日の正午すぎ。慌ただしく階段を駆け下り、防護服に身を包むのは民間救急の救急救命士・泊菜穂さんです。素早く着替えると搬送車に乗って出て行きました。向かったのは搬送先が決まらないコロナ患者が一時待機している「入院患者待機ステーション」です。
搬送するのは新型コロナウイルスに感染した82歳の女性です。朝、体調が悪くなって救急車を呼びましたが、搬送先の病院が決まらずステーションで待機。その後、近くの病院への搬送が決まり、民間救急が患者を送りました。
(救急救命士 泊菜穂さん)
「酸素1リットルで(酸素飽和度が)96%で、点滴が入っています。しんどいですか?すぐ着くので少しだけ頑張ってくださいね」
移動すること約10分。女性は無事病院へと到着、入院することができました。
搬送を終えて一息つこうとしたその時…。
(指令員)「待機ステーションまでの所要時間をください」
(救急隊員)「20分です」
(指令員)「所要時間20分、了解。スタンバイしてください」
再び待機ステーションにいる患者の搬送要請が入りました。泊さんらはとんぼ返りでコロナ患者のもとへと向かっていきました。
こうしたコロナ患者の搬送を大阪市から委託されている「関西メディカル民間救急」。搬送車を11台所有して24時間の対応をしていますが、2022年12月から搬送依頼の数が急に増えたといいます。
(関西メディカル民間救急 畔元隆彰社長)
「去年11月だと約700~800件くらいだったんですけれども、去年12月に入ってからは約1500件近くになっているので、2倍近くの搬送件数になっています。搬送は特に70代以上というのが7~8割を占めるような状況です」
通常2人1組で行う救急搬送、別の班の搬送をサポートすることもあります。搬送したのは93歳の男性です。足腰が弱っていて体重もあることから、2人での搬送が困難だとの連絡が入り、総勢4人で搬送しました。
日が暮れても患者のもとへ急ぐ泊さん。1月16日は4人を搬送して、泊さんらが事務所に戻ったのは午後8時半でした。
(救急救命士 泊菜穂さん)
「これがもし消防救急で全部運ぶとなれば、本当に必要な消防救急の案件がどうしても拾えなくなってしまうケースが絶対あると思うんです。そこで私たち民間救急が搬送業務をすることによって守られている一般市民の方ももちろんいます」