冬は温かい飲み物を…、というのは人間だけではなくキリンさんもみたいです。
去年10月、海外の学術誌にある論文が掲載されました。そのタイトルはというと「キリンはお熱いのがお好き?」。いったい、どういうことなのでしょうか?
論文を書いた飼育員がいる「京都市動物園」に行ってみると、去年生まれた2頭の子どもを含む6頭のキリンが、底冷えする京都盆地の寒さにも負けず元気に過ごしています。キリンが元気なのはお好きな「お熱いもの」があるからというのですが…。
(記者リポート)
「こちらキリンたちが飲んでいる水なんですけれども、手をつけてみますと、あたたかいです」
そう!キリンたちがおいしそうにゴクゴク飲んでいるのは、37℃とちょっとぬるめの「お湯」なんです。京都市動物園でキリンにお湯を飲ませるようになったのは3年前で、飼育員が冬場のキリンの変化に気付いたのがきっかけでした。
(京都市動物園・キリン飼育担当 岡部光太さん)
「一番年上のキリンがまったく水を日中飲んでいないことに気付いたんですね。やっぱり水がないと反芻するための胃の環境など健康状態にも影響が出ることがあるので」
岡部さんは「寒い冬に冷たい水ではなくお湯ならば飲んでくれるのでは?」と考えたといいます。しかし、キリンが飲む水は1頭あたり1日40リットル以上で、大量のお湯をどう用意するのかが問題でした。
(京都市動物園・キリン飼育担当 岡部光太さん)
「実はキリン舎の横にカバ舎がありまして。たまたま大量にお湯が隣にあったので、本当にラッキーというか、よかったなと思いましたね」
熱帯に生息するカバが冬を過ごすために、カバ舎の池にはお湯が出る蛇口があります。ここからお湯をもらいキリンに与えることでカバーしたのです。
冬場に水を飲まなかったキリンが、お湯なら飲むようになり、お湯があるときはエサを食べる量が増えることが確認されるなど、お湯がキリンの強い味方になる可能性が示されたのです。
(京都市動物園・キリン飼育担当 岡部光太さん)
「(Qキリンはお湯の方が?)そうですね、好きなんだなと思いますね」
「お酒はぬるめの燗がいい」だけでなく、「キリンはぬるめのお湯がいい」も冬の新定番になるかもしれません。