1月9日は成人の日。動物園の人気者・ホッキョクグマも大人への1歩を踏み出しました。
新成人たちがあべのハルカス展望台まで階段で!
成人の日の1月9日、大阪市阿倍野区のあべのハルカスでは、新成人が「成人の抱負」を掲げて、地上60階にある展望台まで階段を歩いてのぼるイベントが行われました。
(振り袖を着て階段をのぼる新成人)
「兄が3年前にのぼっていて、せっかくのぼるなら振り袖で行きたいなと」
約1時間10分かけて38人全員が展望台に到着。
(新成人)
「300mのぼり切ったぞ!ブラボー!」
ホッキョクグマも大人への1歩…母親が横浜の動物園へ引っ越し
そんなあべのハルカスのすぐ近くにある天王寺動物園の人気者も大人へのステップを踏み出していました。去年12月25日、来園者の熱い視線を集めていたのは、ホッキョクグマのイッちゃんと、2020年生まれの娘のホウちゃんの親子。
(記者リポート)
「かなり多くの人が集まっていまして、後ろからだとなかなか見ることも難しそうです」
この日、これだけの人が集まったのには理由がありました。実は母親のイッちゃんが横浜市の動物園に引っ越すことになり、天王寺動物園で親子一緒の姿を見られるのは最後だったのです。
(東京から来た人)
「きのうと、きょうと、連続で(来園)。親子水入らずが最終日なので、この目に収めたくて来ました」
10年ほど前からホッキョクグマを見るために通っているという人もいました。
(京都から来た人)
「素敵な親子の姿をいっぱい見せていただいてありがとうという気持ちもありましたし、それぞれ離れるけれどもそれぞれの場所で頑張ってほしいなという気持ち」
ホッキョクグマの「頭数減少」と「簡単ではない繁殖」が背景に
イッちゃんが引っ越す背景には、全国の動物園が抱える“繁殖”の問題があります。ホッキョクグマは世界的にも頭数が減っていて、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでも「絶滅の危険が増大している種」に位置づけられています。
(天王寺動物園 向井猛園長)
「(Qホッキョクグマの展示の状況は?)かなり難しい状況だと思います。各国の国内法でかなり厳しく制限されたりしていますので、海外からホッキョクグマを移動させるというのはかなり難しい状況です」
さらに繁殖自体も簡単ではないといいます。
(天王寺動物園 向井猛園長)
「繁殖は元々、暗闇と静寂が必要だというふうに言われていて、オスとメスの相性も必要ですので。繁殖ができている場所は限られた場所になってしまっているんですよね」
こうした状況から全国の動物園などで構成される日本動物園水族館協会ではホッキョクグマの繁殖計画を立てています。横浜市の動物園では今、イッちゃんと繁殖が成功したゴーゴが暮らしています。そして娘のホウちゃんも野生のホッキョクグマだと親離れする時期に。そこで繁殖のためにイッちゃんが横浜に引っ越すことになったのです。
(天王寺動物園 向井猛園長)
「こういう形で個体数が増えることは大変重要なことだと思います。イッちゃんについてはゴーゴのもとに行きますので今後の繁殖を期待したい」
イッちゃんはトラックで横浜へ…別れから2週間後の親子の様子は?
去年12月26日、休園日にもかかわらず集まったファンが見守る中、イッちゃんはトラックに乗り、ゴーゴの待つ横浜へと向かいました。
あれから2週間。1月8日に改めて天王寺動物園を訪れると、お母さんがいない状況にも慣れたようで、元気に過ごすホウちゃんの姿がありました。
(ホウちゃんを見物する人)
「ホウちゃん顔出してー!」
「顔出したよ」
そしてイッちゃんも横浜の動物園に無事到着。親子は日本のホッキョクグマ維持のための新たな道を歩み始めたのです。