白菜が1玉150円、みかんは1袋200円。和歌山県産の新鮮な野菜や果物をお手ごろ価格で販売している和歌山県紀の川市の「めっけもん広場」。去年の売り上げは24億円と大人気スポットで、店内は連日大にぎわいです。その人気直売所の師走の1日を定点観測しました。

めっけもん広場では農家自身が搬入・陳列・値段決め

 営業開始3時間前の午前6時。まだ日も昇らぬ中、台車を運ぶ人影が。
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 店の裏手にはすでに搬入する商品を持った農家の人たちが集まっていました。

 (集まっていた人)
 「我々午前4時よ。ここで午前4時」
 「ここ(先頭)で午前3時ごろやね」
 「(Q狙っている場所がある?)そういうことや」
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 午前6時17分、搬入開始です。
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 めっけもん広場では、販売委託エリアを設けていて、店が仕入れを行うのではなく、農家自身が搬入・陳列して値段を決めます。その日に売る商品はその日に搬入。新鮮な商品が並ぶ理由です。この時期に一番多いのは和歌山名物の1つであるみかんです。
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 地元のみかん農家の永野英明さん(54)。

 (みかん農家 永野英明さん)
 「(Qいい場所とれました?)はい」

 10年前に脱サラをして父親の農業を継いだといいます。

 (みかん農家 永野英明さん)
 「(Q会社を辞めて実家を継ぐのは勇気が?)いりますね。(Q慣れてきましたか?)いや、まだまだ。まだまだこれからです。(Qこの後の予定は?)子どもの綱引きの試合があって、昼までは行こうかなと思っているんです」

バッグをたくさん持ってきている人も…お目当ては?

 開店10分前の午前8時50分、店の外にはすでにお客さんが並んでいました。そのお目当ては?

 (大阪市内から来た人)
 「みかんを買いに。ここ甘くておいしいので」
 (和歌山県岩出市から来た人)
 「親戚の家に、もうすぐお正月なので、みかんを送ろうと思って。コロナなのでなかなか帰りづらくて、小さい子どももいるし」
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 みかんを目当てに奈良から来たという親子3世代も。

 (奈良県から親子3世代で来た人)
 「(Qバッグをたくさんお持ちですね?)そうです。(Qこれいっぱいに詰める?)詰めるかなと思っているんです。手とか足とか黄色くなるまで食べます」

一番の人だかりはみかんコーナー

 午前9時、開店時間です。扉が開くと同時に走って店内になだれ込むお客さん。カートいっぱいにお目当ての品を載せていきます。その様子はまさに爆買い。

 (客)
 「お正月の分とそれから鍋用の分と。28日くらいからもうずっとゆっくりしようかなと思って」
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 一番の人だかりはやはり旬のみかんコーナー。奈良から来ていた親子3世代も争奪戦に参加していました。

 (親子3世代で来た人)
 「4箱ゲット」
 「ああ落ちちゃう」
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 結局、用意していたバッグに入りきらないほど爆買いしました。

 (親子3世代で来た人)
 「(Q本当に全部家族だけで食べる?)はい。みかんだけでたぶん50kgくらいあります」
 「(Qすごく仲がいいですね?)そうですね。どこ行くのも一緒ですね」
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 買ったみかんは家族6人一緒に年始にかけて食べつくすそうです。
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 午前9時40分、店内に戻ると大量のみかんの箱を運ぶ女性がいました。お歳暮として毎年めっけもん広場からみかんを贈っているのだそうです。

 (大量のみかんを運んでいた人)
 「お歳暮なんです。税理士しているので、そのお客さんとかお世話になっている方に。(Q今年の思い出は?)初めての一人旅をしました今年は。よかったです。最初はドキドキしましたけど、1人で自分のペースで行けるので」
 (夫)
 「お金は出しますのでどんどん行ってください」

キャベツを「50~60玉」爆買い…その理由は?

 キャベツだけを爆買いする男性もいました。

 (キャベツを爆買いする人)
 「きょうは50~60玉。(Qなぜ大量のキャベツを?)お好み焼き屋です」
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 和歌山県岩出市内で30年、お好み焼き店「広島焼 お好み ねごろ」を営む坂本充崇さん(53)。
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 自慢はキャベツをたっぷり使った特製の広島焼です。
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 妻の和子さんとは26年前に結婚して2人で切り盛りしています。

 (坂本充崇さん)
 「(Q妻・和子さんとはどこで出会った?)ここ(店)です。お客さんで来ていて。(Qどちらから口説いた?)僕でしょうね」
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 そんなお店に欠かせないというスタッフが森本茂樹さんです。

 (坂本充崇さん)
 「僕の右腕はこの男の子なんです。この子、耳聞こえないんですけど、手話でもうここに17年います」
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 坂本さんの姪も聴覚障害があり、森本さんが仕事を探していると聞き、一緒に働くことにしたのです。

 (手話で森本さんに話す坂本さん)「話かけてもいいか?って」
 (森本さん)「(うなづく)」
 (記者の言葉を坂本さんが手話で通訳)「右腕と言われていますが、それを聞いてどうですか?」
 (手話で話す森本さん)「よかった」
 (坂本さん)「『よかった』って言っています。無理やり言わせています」

「スーパーだと1個100円」詰め放題でキウイのみ詰める人も

 午前11時50分、店の入り口前に人だかりができていました。野菜や果物が詰め放題で300円という名物イベントです。
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 キウイのみを詰めている女性がいました。

 (キウイを袋詰めする人)
 「スーパーだったら(1個)100円するでしょ」
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 1袋詰め終わると、再び袋詰めをしていました。

 (キウイを袋詰めする人)
 「(Qまたキウイを詰めていますか?)そう。これでキウイ2袋目。キウイは高いからね、スーパーで買ったら。こんなん朝昼晩1個ずつ食べたらすぐなくなる」
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 大盤振る舞いも生産地ならではの魅力です。

 (めっけもん広場 山田秀樹店長)
 「袋超えて詰めている人いるからね。まあまあ年末だからいいんじゃないですか」
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 詰め放題と同じころ、地元の紀の川市民体育館に、みかん農家の永野さんの姿がありました。
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 話していた子どもの綱引き大会の応援に来ていました。実は応援に来たのはこの日が初めてだといいます。

 (みかん農家 永野英明さん)
 「僕も農業をしていたら忙しかったので。やっぱりどうしてもまだ慣れていないんで…。子どもから『友だちが家族旅行に行ったよ』とかって聞くんやけど、『ごめんな』言うて。また沖縄とか北海道に家族で行きたいなとは思っているんやけど」

客足は途絶えず…午後のめっけもん広場

 めっけもん広場は午後になっても客足が途絶える気配はありません。
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 午後4時、聞きなれない言葉で買い物をする女性がいました。話を聞くとミャンマー出身で技能実習生として5年前に日本へ来たといいます。

 (ミャンマー出身の人)
 「野菜を買うために。野菜安いから。(Q今日の晩御飯は?)業務スーパーで買った豚肉もあるから、豚ともやしとにらを炒める」

店長「年末にしてはまずまず好調な販売」

 午後5時、めっけもん広場の長い1日が終わりました。

 (めっけもん広場 山田秀樹店長)
 「疲れましたけど、よかったなと思いますね。年末にしてはまずまず好調な販売ができているかなと思います。この辺の地域の出荷者の方も『また頑張って作ろうか』と思う気になりますからね。そういう相乗効果で頑張っていきたいなと思っています」

 めっけもん広場は年内は12月30日までの営業です。通常の営業時間は午前9時~午後5時ですが、12月24日~30日は午前8時半開店です。年始は1月6日から営業ということです。