新型コロナウイルス関連の公的融資をめぐり、手数料名目で計約2億9000万円を騙し取った罪などに問われている大阪府寝屋川市の市議会議員。12月20日に初公判が行われました。

詐欺罪に問われている市議会議員

 今年8月に詐欺の疑いで逮捕された寝屋川市議会議員・吉羽美華被告(42)。起訴状によりますと、吉羽被告らは福岡県や大阪府の医療法人などに対して、新型コロナウイルス関連の公的融資をめぐり「融資の決定権限がある」などとうそをつき、計7億2000万円の融資を受けさせ、その後、手数料名目で計約2億9000万円を騙し取った罪などに問われています。

 1980年、大阪府寝屋川市生まれの吉羽被告。これまでに何度も選挙に出馬してきました。

 2007年、26歳のときに寝屋川市議に初当選。自費で写真集を出版する人気ぶりでした。そして、2012年から立て続けに2回、国政選挙に出馬するものの落選。2017年、3度目の挑戦でも落選。2019年に再び地元の寝屋川市議選に当選して議員活動を続けてきました。

「すべて争います」初公判では無罪主張

 今年12月20日に福岡地裁で行われた初公判で吉羽被告は「すべて争います。詐欺を企てたことはありません」と無罪を主張。裁判で吉羽被告は「誤解されるのは無念で恥ずかしい。冤罪とはいえ、申し訳ない」と話しました。

 検察側は冒頭陳述で「吉羽被告が議員の名刺を渡し『市議である自分がいるため安心するように』と被害者に近づいた」と指摘しましたが、弁護側は「なんらやましい気持ちがなかった証拠」だと主張しました。

 今年9月には辞職勧告が決議されていますが、12月20日に法廷で職業を聞かれた吉羽被告は「市議会議員です」とひと際大きな声で答えました。

 (寝屋川市民)
 「(市議を)辞めていない。それはいかんね。やっぱりそういった問題がある人はいてたらいかんわね」
 「議員さんが何か不祥事を起こしたら、すぐに辞退させるとか、そういうのを決めないと」
 「恥ずかしいね。寝屋川市からそんな人が出はったら。あまりよい感じはしないね」

 一方、共謀したとされる渡部被告の裁判は今年11月に行われ、吉羽被告と共謀したことも含めて罪を認めていますが、吉羽被告は「渡部被告に騙された。何かおかしいと思ってからは渡部被告と距離を置いた」と完全に共謀を否定していました。

 証拠の量が多く、それらをすべて揃えてから次回の裁判になるということで、日程は未定だということです。