シンディ・ローパーが認めた日本人の13歳の天才ドラマーがアメリカにいます。今年北海道から家族で移住してアメリカで夢を追う中学1年生のYOYOKAさん。今どんな環境でドラムを叩いているのかを取材しました。天才を産んだ両親の思いについても聞いています。

13歳のドラマーYOYOKAさん

 13歳のドラマーYOYOKAさん。北海道石狩市出身の中学1年生です。

 (YOYOKAさん)
 「曲を叩くというのがウォーミングアップのひとつになっていて、最近はそうやって叩くのが好きです」
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 8歳のときに「Led Zeppelin」の「Good Times Bad Times」を演奏すると、YouTubeでなんと275万回も再生され、ダウンタウン浜田さんの長男で音楽グループOKAMOTO’Sのハマ・オカモトさんらプロも絶賛。
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 さらにあのシンディ・ローパーが2019年に来日公演した際に本人からオファーがあり、当時10歳で共演したほどなのです。瞬く間にその存在を世界が知るところとなりました。

今年9月に家族全員でアメリカに移住

 小学校を卒業すると、今年9月に家族でアメリカに移住。ロックの本場で音楽を極める道を選びました。現在は北カリフォルニアに一時滞在中で、家が見つかるまでの間、ホームステイをしながらオークランドにある芸術学校に通っています。

 (YOYOKAさん)
 「(Q授業の英語はどれくらい理解できている?)30%くらい。きつくない。名前は覚えられないんですけど、顔はいろいろ知っているので、たぶん友だちだと思います」

 現在、中学1年生ですが、音楽や楽器については高校の授業をいわゆる飛び級で受けています。
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 (YOYOKAさん)
 「同じ音楽のクラスの人たちに初めて聞いてもらったときは、オーバーリアクションなのかなって思うくらいにリアクションがでかいので、こっちの人たちは。それは楽しいですね。こっちがやっていて、わーみたいな」

 今年10月に入ったばかりですが、少しずつ学校にも溶け込んできました。先生にも学校の友人たちにもYOYOKAさんの存在は一目置かれています。

 (オークランド芸術学校 オズ校長)
 「周りの人たちはYOYOKAがどれだけ才能あるドラマーなのか気づき始めている。彼女は社交的で親切ないい子だ」

 YOYOKAさんにとっても学校はのびのびと過ごせる場所です。

 (YOYOKAさん)
 「こっちの学校に行きたくないと思ったことはほとんどないです。1日がはやいです。いつもすがすがしいから、そんなに嫌なことがほとんどない」

0歳1歳でハイハイで毎回必ずドラムのところに

 音楽好きの両親の下で物心つく前にドラムと出会ったYOYOKAさん。1歳ですでにドラムを叩いている写真が残っています。
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 (YOYOKAさんの父・章文さん)
 「0歳とか1歳のときのYOYOKAが、ハイハイとかしながらドラムのところに毎回必ず寄っていって、ドラムの椅子に座らせてあげたら、楽しく叩き始めた。そういうところから本当に自然発生的に始まった」

 両親と10歳の弟と北海道を飛び出してロックの本場にやってくるまでには意外な経験もあったようです。

 (YOYOKAさんの母・梨絵さん)
 「小さいころから成功しているんでしょ、みたいに見られるんですけど、いろんなお祭りでも全然評価もされなかったし。逆に怒られたりとかすごく笑われたりとか、彼女の中では私のドラムって評価してもらえないものなんだって」
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 アメリカのドラムコンテストでチャンピオンになったのをきっかけにYOYOKAさんのドラムが周囲から評価されるようになります。

 (YOYOKAさんの父・章文さん)
 「こんな才能を持った子どもを持ってしまった親としては、もうそれ以外の選択肢がないんですよ。公務員のままでは世界に挑戦できないので、辞めて、アメリカに来るための準備を始めたっていうかたちです」

 YOYOKAさんの父・章文さんは仕事を辞めて移住。現在は、これまでの貯金や、スポンサーからの収入で生計を立てています。ただこのタイミングゆえの悩みもあるようです。

 (YOYOKAさんの父・章文さん)
 「僕らが必死に貯めてきたお金とかが円安で3割くらい少なくなったみたいなイメージで。結局住居も土地も高騰もしているし、円安にもなっているし、ダブルパンチで。そういうこと言われたんですけど、それでも覚悟を持ってきたので」

 一家を応援して家を無償で貸し出しているホストファミリーは、地下室をYOYOKAさんのために改造。防音シートを一枚ずつ貼った手作りの音楽室でドラムを練習しています。
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 (YOYOKAさん)
 「(ドラムのスティックが)すごく折れるんですよ。私の場合、2日に1回折ることがほとんどで。結構買わないといけなくて。それの消費量がすごいと思います」

アメリカの学校主催パーティーでも大トリでオリジナル曲を披露

 取材した日、YOYOKAさんが通う学校が主催するパーティーが開かれ、ドラム演奏で会の大トリを任されました。アメリカに来て3回目の人前での演奏。最後の曲の前に英語で自ら観客に挨拶をします。

 (YOYOKAさん)
 「Next song is my original called sparkring. I hope you enjoy. Thank you so much.(次の曲は私のオリジナルで『スパークリング』といいます。楽しんでくれることを願っています)」
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 (YOYOKAさん)
 「少女とか天才とかいらないからドラマーって言ってほしいなっていうのはあります、自分の中で。ミュージシャンとかドラマーっていうところで何か自分のことを紹介してほしいなってすごく思います。日本にいるときは、若いときにこんなことしていて将来私何やっているんだろうってすごく疑問に思っていて、すごく不安だったんですけど、なんかこっちに来ると、それがどうでもいい感じ」

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 演奏が終わると観客が次々とYOYOKAさんに話しかけます。この夜も多くの人が魅了されていました。
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 (YOYOKAさん)
 「(楽器を)壊さないっていうのはできたんですけど。無事終わったからよかったと思っています。ほかにも生徒ですごい人もいて、そんな中、私を最後にしてくれて、すごくうれしくて。ちょっとドキドキしたんですけど、みんな喜んでくれたからよかったなって」

 国境を越えてドラムを叩くYOYOKAさん。家族との暮らしの中で、自らの道を切り拓いていきます。