日本一の小学生力士を決める「わんぱく相撲全国大会」。出場資格は小学4年生~6年生までの3年間で、今年は全国4万人の小学生力士が参加しました。そんな中、今回取材班は京都府代表で小学6年生の力士に密着。過去2年間はコロナ禍で大会は中止となっていたため、彼の『最初で最後の全国大会』への挑戦を取材しました。

身長167cm・体重86kg…日本一を目指す小学6年生のわんぱく力士

 今年9月の取材。鍛え上げられた体を勢いよくぶつけ合う力士たち。武甕大悟(たけみか だいご)くん、小学6年生で12歳です。相手をしているのはなんと中学生。この日は週に1回ある中学生との合同練習の日で、約1時間、中学生に交じって汗を流しました。
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 (武甕大悟くん)
 「僕的には(練習に)ついていけていたかなと思うので、来月の全国大会に向けて頑張っていきたいなと思いました」

 日本一の小学生力士を決めるわんぱく相撲全国大会に京都府代表として出場する大悟くん。大会までの道のりを取材しました。
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 京都市伏見区にある伏見板橋小学校。6年生の教室を覗いてみると、一番後ろの定位置に大悟くんの姿がありました。身長167cm、体重86kgという体格で、学校一大きな児童として知らない人はいません。大悟くんについて友達たちに聞きました。

 (大悟くんの友達)
 「友達とも仲良くて最高な人です」
 「優しいです。俺が悲しくて泣いたときに慰めてくれたり励ましてくれたりして、それがうれしかった」

 休み時間、大悟くんのまわりにはいつも人が集まります。

 (大悟くん)「やばい、掃除やー」
   (友達)「大悟どこなん?」
 (大悟くん)「廊下…」
   (友達)「あはははは!最悪や!」
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 放課後になると体育館に土俵を作って相撲部の稽古です。小学校の練習では男女構わず後輩たちに丁寧に指導をする頼もしいキャプテンです。

 (指導をする大悟くん)
 「最初に『はっけよーい!』って言ったら、相手に思いっきりボーンってぶつかったら一気に押せる」

兄たちが唯一成し遂げられなかった『全国大会での優勝』

 4人兄弟の末っ子の大悟くん。兄は全員幼いころから相撲をやっていて、週末はいつも兄たちの応援に行く日々を過ごしてきました。大悟くんも5歳から相撲を始めました。
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 自宅には兄弟4人で勝ち取ってきた数々のメダルが飾られていました。

 (大悟くんの父 健太さん)
 「(Q大悟くんのメダルもある?)ありますあります、大悟のもいっぱいあります。どれがどれか、もはやわからないね。名前が書いていないので」
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 多くの大会で結果を出してきた兄たちが唯一成し遂げられなかったのが全国大会での優勝です。だからこそ今回の大会にかける思いも強まります。

 (大悟くん)
 「家族とか期待してくれている人がいるので、その期待を背負っていい結果を残して報告したいなと思います。とりあえず3位以上で、そこから上を目指していきたい」

強さの秘訣は『牛乳』と『長年続けている地道なトレーニング』

 そんな大悟くんの食生活ですが、4人兄弟の中で体格は一番大きいのですが、食べる量はというと意外にも一番小食なんだそうです。

 (Qきょうは焼きそば5玉やけど足りる?)
 (大悟くん)「いやー、多分すぐお腹いっぱいになると思う」

 (Q大悟くんがこんなに大きくなったのはなぜ?)
 (父・健太さん)「牛乳やな。牛乳しか考えられない。毎日3パック買わなあかん」
 (母・綾子さん)「まぁでも4本。だいたいそれは常備している感じ」
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 (Q家での大悟くんの様子は?)
 (父・健太さん)「こんなんですよ、ほんまに」
 (母・綾子さん)「変わらないです。外も家もころっと変わることもなく。いつもこんな感じで」
 (父・健太さん)「おとなしいええ子やな」
 (母・綾子さん)「裏表がないといえばないし、いつも穏やかで落ち着いています」
 (父・健太さん)「相撲の土俵に上がったときのモードの切り替えっていうのがあるんでね、大悟の場合は。そこがまたかっこいいところなんですよ」
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 大会1週間前の日曜日。大悟くんは家族と近所の公園に来ていました。なんでも武甕家で長年続けているというトレーニングがあるそうです。

 (父・健太さん)「あと3本いこう、3本」

 階段を上り下りすること10往復。強い足腰をつくるために地道な練習を積み重ねてきました。
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 (父・健太さん)
 「大悟は幼稚園から来ています。最初は兄についてきて、お母さんと一緒に遊んでいる程度だったんですけど。だんだん小学校2年、3年、4年になると本格的にトレーニングとして上らせています。勝っても負けてもいいと思うんでね。それも経験なんで。頑張ってもらいましょう」

全国大会当日

 そして迎えた今年10月の大会当日。両国国技館で行われたわんぱく相撲全国大会。小学4年生~6年生までの力士たちが、それぞれの都道府県を背負ってしのぎを削り、「日本一強い小学生」を決めます。
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 待ちに待った全国の舞台。家族が見守るなか、大悟くんが土俵に立ちます。1回戦、2回戦と自分らしい相撲で順調に駒を進めていき、自分より体格の大きい相手にも動じず果敢に食らいつきます。

 (母・綾子さん)
 「とりあえず残れたので、はい。(Q大悟くんが試合に勝ったときどうでした?)一戦一戦、落ち着いてきているのがわかるので」
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 迎えた準々決勝。相手は柔道でも全国大会に出場する千葉県選抜の二刀流力士です。合図とともに勢いよく相手にぶつかり果敢に攻めた大悟くんでしたが…、惜しくも準々決勝で敗れて、結果はベスト8。目標まであと一歩、力が及びませんでした。
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 (父・健太さん)「惜しかったな。もういっちょやったな」
 (母・綾子さん)「よう頑張ったな」
 (父・健太さん)「また1から頑張ろう」
   (大悟くん)「…。(うなずく)」
 (母・綾子さん)「泣かんでええやん」

 小学生最後の全国大会にかけてきた大悟くん、悔しい思いがあふれます。

 (武甕大悟くん)
 「上へいこうと思っていたので、そこでバタンと負けてしまったのが悔しかったです。まだ人生はこれからなので、相撲人生をめいっぱい楽しめるように頑張りたいです」

 日本一は来年以降にお預け。次のステージでの目標達成を目指し、また練習に励みます。