「大阪・関西万博」の盛り上げの目玉の1つである「バーチャル大阪」。約1億円をかけて開設するも、来場者が激減しています。

 開催まであと900日に迫った「大阪・関西万博」。開催決定後初の大阪での国際会議が10月25日から開かれていて、10月26日は会場となる大阪市の人工島・夢洲を参加する約100か国の関係者が視察しました。
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 また万博会場内部のイメージ動画が初めて公開されました。リング状の大屋根は木造建築として世界最大規模で、内側の直径が615mもあり、雨・風や日差しを遮る快適で巨大な滞在空間として利用される予定です。

 (ナイジェリアの関係者)
 「オオサカ・イズ・ワンダフル。(今は裸地なので)2025年の万博開催日までに全ての施設が建設されてほしいと思います」
 (パキスタンの関係者)
 「きのうは詳しい説明も聞きました。万博に参加するのが楽しみです」
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 ただ万博機運が盛り上がりを見せる一方で…。

 (記者リポート)
 「誰もいないですね…。戎橋にぽつんと1人だけ」

 スマホの画面上にいるのは記者の分身であるアバターただ1人。最新技術の「メタバース」と呼ばれるネット上の仮想空間に大阪の街を再現したものです。しかし、早くも仮想都市・大阪の過疎化が進行しているというのです。

 「バーチャル大阪」は万博盛り上げの目玉の1つとして大阪府と大阪市が約1億円をかけて去年12月に開設。1970年の大阪万博のシンボル「太陽の塔」や、大阪・ミナミの繁華街などを再現したエリアを散策できます。

 (記者リポート)
 「太陽の塔の前にいるのですが、ほとんど人の姿が見当たりませんね」
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 オープンした去年12月はお笑いライブを開き、1か月で延べ10万人が来場。しかし、そこをピークに現在は約20分の1の5000人程度と激減しています。

 実は1億円を使って開発・運営を委託した通信や広告代理店など共同企業体との契約は今年3月で終了。4月からは金銭のやりとりが発生しない協定に切り替えられました。来場者を増加させるためのテコ入れイベントは1回あたり数百万円がかかるため何度も開催することが難しい状況となったのです。
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 (大阪府 吉村洋文知事 10月21日)
 「役所がどんどん補助金で入っていくのはちょっと違うんじゃないかな。やっぱりおもしろいものを作っていくということが重要だと思います」
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 一方で、東京・渋谷の街を再現した「バーチャル渋谷」は民間主導で大阪よりも一足早く2年半前に開設され、これまでに延べ100万人以上が参加しています。サッカー日本代表のパブリックビューイングなど多彩なイベントで集客を図っていて、事業者によりますと、成功の要因は大阪よりも先に始めた先行者利益があり、コロナ禍の巣ごもり需要にのったのではないかとしています。

 低迷する「バーチャル大阪」に打つ手はあるのでしょうか。

 (大阪府 吉村洋文知事 10月25日)
 「バーチャル大阪の今昔街が、新しいエリアがスタートします。ぜひまた多くの人に遊びに来ていただけたらなと思います」