10月12日、“モノ言う市長”として知られる兵庫県明石市の泉房穂市長が、暴言問題をめぐり政治家引退を表明しました。
泉房穂市長への問責決議案が可決
(千住啓介市議 10月12日の明石市議会)
「市長、本当にいい加減にしていただきたく思います。何度同じことを繰り返すのでしょうか。パワハラで市長辞任したときと何ら変わらない、パワハラ体制そのままであります」
10月12日に明石市議会で可決された泉房穂市長への問責決議。市長が特定の企業の法人税額を無断でツイートしたり、議会の承認を得ないまま事業を進めたりしたなどとして、一部の市議らが市長の姿勢をただすとして提出したのです。
この問責決議を巡って泉市長は10月8日、式典に同席した明石市議会の榎本和夫議長に対してこんな言葉を発していました。
(明石市議会 榎本和夫議長 10月11日)
「私は『おはようございます』と挨拶をさせていただきました。その返し言葉で『問責なんて出しやがって、ふざけとるんか』と。『お前ら議員なんかみんな落としてやる』と」
泉市長からはその日のうちに電話で謝罪があったといいますが…。
(明石市議会 榎本和夫議長 10月11日)
「ひたすら『すみません』という謝罪がありました。私の問いかけに対して全ての答えが『すみません』『カーッとしてしまって訳がわかりませんでした』と」
泉市長はこの式典会場で別の女性市議もどう喝。女性市議が所属する会派の幹事長に話を聞きました。
(明石市議会 梅田宏希幹事長 10月11日)
「泉市長から『お前、問責決議案に賛成したら許さんぞ』と、そういう発言が3回あったそうです。顔を近づけて低い声でどう喝というか。(女性市議は)涙が出て止まらないような状態だったと」
一度ではない暴言騒動…過去には辞職も
“モノ言う市長”としても知られる泉市長。しかし暴言騒動は今回が初めてではありません。
(泉房穂市長 2017年の音声)
「何もしてないやんか!7年間!立ち退きさせてこい、お前らで。きょう火をつけてこい。きょう火をつけて捕まってこい。燃やしてしまえ!」
3年前には道路工事を進められなかった明石市の職員に対して暴言を吐いた責任で辞職。
(泉房穂市長 2019年)
「ああいった高圧的な態度で人に接することそのものが、市長である前に人として許されない」
出直し選挙で圧勝しましたが、その後も明石市議の男性に対して「議員やめてしまえ」などと、また暴言を浴びせてしまいます。
(泉房穂市長 2020年)
「いわゆるアンガーマネジメントという形で受講したり本を読んだりし続けています。不適切な発言をしてしまったわけですので、そういう意味では正直まだ不十分であった」
MBSの取材では、その後も「お前ら不動産会社に金もらってんのか」など市の職員を侮辱するような発言で、宮脇俊夫前副市長と和田満前副市長が「市長にはついていけない」と同時に退任しています。
任期満了をもって政治家引退の考え「今回の暴言の責任をしっかりとりたい」
暴言報道が出るたびに「今後は言動を慎みたい」と謝罪してきた泉市長。今回は半年後の任期満了をもって政治家を引退する考えを示しました。
(明石市 泉房穂市長 10月12日)
「今回の暴言の責任をしっかりとりたいという思いから、政治家を引退したいと考えております。半年後の任期満了をもって、市長のみならずあらゆる選挙に立候補せず、今後は政治家ではなく違う形で世の中に貢献していきたい。それをもって責任を果たしたいと考えています」
暴言を繰り返してしまったことについてはその後の会見で次のように話しました。
(明石市 泉房穂市長 10月12日)
「腹立たしいことがあると、トイレに立ち上がるとか6秒数えるとか、いろんな形で自分なりにはやってきたつもりではありました。今回につきましては糸が切れたかのような形で完全にキレてしまった。市長としてはあるまじき行為です。今後は政治家・泉ではなくて、心ある政治家をつくっていく方向でしっかり頑張りたい。政治家としてのプレーヤーではなくて、応援団としてしっかりと今の政治、明石もそのほかも含めてしっかりと応援といいますか政治を良くしていきたいというのは変わっていません」