複数の都市でロシアによる大規模攻撃が続くウクライナ。死者は23人、負傷者は100人以上にのぼっています。そんな中、ウクライナで取材を続ける香港出身のジャーナリストのクレ・カオルさんに現地の様子など話を聞きました。
G7(主要7か国)の首脳は10月11日の夜に緊急会議を開きました。G7はロシアのミサイル攻撃を「罪のない市民への無差別攻撃は戦争犯罪にあたる」と非難し、ウクライナへの支援の維持を改めて確認しました。
(ウクライナ ゼレンスキー大統領)
「ロシアで末期の政権の座にある人物による(軍事行動の)拡大は私たちすべてにとっての脅威です」
再び空襲警報が鳴り響くウクライナ。一方的にロシアに併合された東部・南部では、香港出身のジャーナリストのクレ・カオルさんが取材を続けています。
併合されたルハンシク州の近くにあるハルキウ州東部の街では激しい戦火の爪痕が残されたままです。
(クレ・カオルさん)
「クピャンスクのロシア側の入り口なんですけれども、ここに民間人らしき車が破壊されていて、民間人の死体がここに横たわっています」
ハルキウ中心部に続く道路にも車の残骸がありました。地元住民によりますと、戦火から逃れるため車での脱出を試みたウクライナ人たちがロシア軍の待ち伏せを受け、15人が死亡したということです。
(住民)
「ここは戦争だったよ。ロシアはな、最低な野郎だ!」
10月に入って解放されたばかりのボロバの街では。
(街の人)
「やっとウクライナが戻ってきてうれしい。ここまでの道のりは長かったです。(Qこれから何をしたい?)学校で授業を受けたいのと、戦うためにウクライナ軍に入りたい」
クレ・カオルさんが街で取材をしていると、男性が英語で話しかけてきました。ロシア軍の侵略で仕事を失ったという男性。占領中、ロシア軍によるプロパガンダが行われていたといいます。
(街の男性)
「民主主義の国から来てくれてありがとう。10月にようやくまたウクライナの国旗をあそこの管理棟に掲げることができました。私がやったんですよ、友だちと。『ハルキウZ』というラジオが流れていました。内容はナチスがウクライナを占領しているとかなんとか。でもそれは真実ではないとわかっています。我々を操作しようとしているのです」
10月5日に併合されたウクライナ東部と南部の4州。ロシア側は「住民投票で90%前後が併合に賛成した」と発表していましたが、現地で取材を続けるクレ・カオルさんの印象は違ったと言います。
(クレ・カオルさん)
「併合の話を言っても、そもそも占領されている間にもなかなかネット(電波)が飛んでいない状態で、そのこと(併合)自体を知らない人もいましたね。(Qみなさん住民投票には参加されていないということ?)そうですね。(Qロシアは『クリミア橋をウクライナが爆破した。その報復攻撃だ』と主張しているが?)怒ってはいますけど、『橋を攻撃しなければよかった』という声は全然聞かないです。『(ロシアに)やり返してやった』というのもあると思いますが、戦略的に言ってもかなり大きなことなので、みんな“勝利への第一歩”的な感じになっています」
風雲急を告げるウクライナ情勢。今後プーチン大統領はどう動くのでしょうか。