入国制限が徐々に緩和され、観光客が戻りつつある日本。今回、京都で活躍するプロの通訳ガイドを取材、約2年半ぶりに舞い込んだ案内の仕事に密着しました。
『何年ぶりやろう…』プロ通訳ガイドに舞い込んだ久しぶりの仕事
今年7月、京都の伝統産業について熱心に見て回る男性がいました。京都市認定通訳ガイドを務める岩田了一さん(63)です。この日に開かれていたのはインバウンド客を案内するために伝統文化などを学ぶ研修会。岩田さんは語学力や観光知識、ホスピタリティなど京都市の厳しい基準を満たしたプロのガイドです。
(京都市認定通訳ガイド 岩田了一さん)
「(Qコロナで通訳ガイドをする場がなくなった?)そうですね、もうピタッと止まりましたので」
かつてはインバウンド客がごった返していた京都。しかし2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で賑わいは消え、岩田さんら通訳ガイドの仕事も無くなってしまいました。
それから2年半、水際対策の段階的な緩和でインバウンド客も少しは戻ってきましたが…。
(岩田さん)「仕事入ってます?」
(研修会に訪れた人)「要望はあるけど、なかなか個人のツアーが来るかどうかですね」
そんな中で岸田文雄総理は10月11日から『入国者数の上限撤廃』『個人旅行の解禁』『ビザなし渡航の解禁』を決定しました。ちょうど同じころ、岩田さんにもうれしい一報が入りました。舞い込んだのはドイツ人から京都を案内してほしいとの依頼です。
(岩田了一さん)
「あぁ久しぶりに来たなぁと。これは何年ぶりやろうと。何でも引き受けてやろうという感じですね」
通訳を依頼したのはドイツからの取材クルー。日本の伝統文化についてのドキュメンタリーを製作するため、京都市内の観光施設を案内してほしいといいます。
(岩田了一さん)「This house is the tea house(ここが茶室です)」
まず向かったのは「茶室」です。撮影の前に手水を体験してもらいます。その後、クルーたちはさっそく撮影を開始。珍しいのか床の間を熱心に撮影していました。
(岩田了一さん)「Let's take a picture together(ここでみんなで写真を撮りましょう)」
ランチはそばを堪能してもらいました。
(ドイツの取材クルー)「Refreshing(さっぱりしている)」
そして、岩田さんらは世界遺産の銀閣寺へ向かいました。
(岩田了一さん)「Sand mountain(砂盛り)」
「砂盛り」を案内するとクルーは興味津々の様子。ですが岩田さん、説明の言葉がなかなか出てきません。
(岩田さん)「Let me explain about this silver pavilion(銀閣寺について説明します)」
やはり2年半のブランクは大きかったものの、インバウンド復活に向けて確かな一歩を踏み出しました。
(ドイツの取材クルー)「It's so nice experience(いい経験でした)」
(岩田了一さん)「ほっとしました。気持ちはあるんだけれども口がついてこないというところが、やっぱりブランクが長かったんだなと思いますけど。これから元に戻していきます」