9月27日の安倍晋三元総理の国葬について、JNNの世論調査(9月3・4日に実施)では、賛成が38%で反対が51%となっています。反対論も根強い中で執り行われる国葬。その国葬後の政府について、政治ジャーナリストの後藤謙次さんは「山際経済再生担当大臣の辞任もあり得る」と予測しています。また、来年の通常国会前に内閣改造が行われる場合、「国民民主党の政権入りもあるのではないか」と分析しています。(2022年9月26日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

――― 「どうなる国葬後の日本」。政治ジャーナリストの後藤謙次さんに大胆予測をしていただきます。後藤さんによりますと、国葬問題をあえてゴルフで言うならば、「1打目を林に打ち込み、リカバリーミスの連続、ずっと林の中をウロウロしている」と例えました。

まさにそういう状況だと思います。しかもグリーンが間近に迫っているのに、まだ林の中、最後はいちかばちかで打つしかない、っていう状態ではないでしょうか。特に、イギリスのエリザベス女王が亡くなられて、現地映像がどんどん入ってきて、それに対して日本はどうなんだという、『暗黙のうちに皆さんが比較をしてしまった』、それが、加速度的に支持率が落ちてくる状況だと思いますね。

――― 一方で「野党も弱い。内閣支持率はこれ以上下がらないのでは」という見立てですね?

自民党支持率と岸田さんの支持率、多分それを下まわることはないと思いますね。よほど個人的なスキャンダルがある場合、例えば森総理の場合は7%まで落ちたことはありますけど、岸田さん自身に個人的なスキャンダルはないんです。結局、自民党支持率と今後とも並列的にいくだろうと。

さらに、菅総理の場合はもう衆議院の任期満了近くなって、どんどん追い詰められていって、相撲で言えば徳俵に親指ぐらいしかかかってなかったような状態で退陣に追い込まれましたけれども、岸田さんの場合は参院選終わった直後ですから、衆参共にあと3年間は選挙ないんです。という意味では、『岸田降ろし』は、なかなかしにくい状況にあってですね、岸田さんがやると言えば、ぼちぼち続いていくという政権になるんじゃないでしょうか。

―――今後について、10月3日召集予定の臨時国会ですが、後藤さんの予測では「召集前に山際経済再生担当大臣の辞任もありえる」と。党の点検に「全て書いた」と言った後で、また新たにイベント出席を認めるなど、後から後から出てくる印象です。

(豊田真由子元衆議院議員)
私も自民党の元議員ですけれど、やっぱり今回の国葬を巡る経緯にはかなり問題があったのかなと、思うんです。国民が一番問題にしているのは、「きちんと客観的な基準と手続きを踏んでいない、ルールがない、プロセスも定まっていない」ということで、いくら説明をしても納得感を得られない理由です。

旧統一教会の話でいうと、全部先に出してくれた方が多分後から出てくるより良かった、というか、余計不信感が増大してしまうので、みんな何とかしなきゃいけないと思っているんだけど、どんどん悪い方に転がっている。ただ山際大臣を切ると、他にも党の要職に就いている方にも同じ話が出てくるので、際限がなくなっていくこともあるので、なかなか難しいところだと思うんです。

では、政権交代が起こるかっていうと、多分選挙もないし起こらないということになり、党内で岸田さんに代わる人がいるかっていうと多分いないのと、今は「火中の栗を拾いたくない」ってこともあって、ちょっと言い方は悪いんですけど、「嵐が過ぎるのを待とう」みたいな雰囲気が、直接話を聞いてもあります。ただこの問題は、簡単にすぐみんなが忘れて「次頑張りましょう」みたいなことにはならないという深刻さを、それぞれの方が身にしみこませて今後の政権運営や政治活動をしていかないと、大変危ういんじゃないかと思います。

―――後藤さんのお考えはどうでしょう。

10月3日の早期召集って、よく理解できないんです。国葬終わってちょうど1週間ですよ。言ってみれば、まだ湯気がポッポと出ているときに、あえてなぜ国会を開くのか。いろいろ取材してみますと、予算編成も含めた12月10日ぐらいまで国会を開くと、その逆算からやってきてる話であってですね、政治家の判断というよりは、「霞が関の官僚カレンダーに沿ったスケジュール」なんですね。

政権をいかに立て直すかということを軸に考えれば、普通は10月の中~下旬ぐらいの召集で、ちょうどよかったのかなと思うんですが、じゃあなぜそこに早める必要があるのかと。一つは、この旧統一教会問題に早めに決着をつけると、言ってみれば、その渦中の中で一番焦点となっている山際大臣の進退について、一定のけじめをつけるという考えがやっぱり自民党内にもあるわけですね。

岸田さんにそういう考えが本当にあるかとなると、これまたわからなくてですね、一番我々を悩ませるのは、岸田さんは何を軸に政権運営をしていくのかというところが何度取材してもはっきりしてこないところなんですね。この不明朗さが、さらに国民の間にモヤモヤを呼んでいる気がしています。

例えば、高校野球ですと、エースがピンチに立つと、みんなマウンドに集まって、いろいろ激励するんですけども、岸田さんの場合、マウンドに集まるいわゆる幹部クラスの1人もいないんです。この中でやっぱり独断的な決定がされてしまう、そういう脆弱性をこの政権は持っているんじゃないかとそんな気がします。

―――次のスケジュールなんですが、来年の通常国会の前にまた内閣改造があるかもしれない、ここに「国民民主党の政権入りもあるのでは」ということなんですけれど?

これは大いにあるんじゃないかと見ているんです。やや複雑で、今度和歌山県知事選があるんですが、立候補を予定している国民民主党の前衆議院議員を自民党が推薦する方向になっているとですね、初めて、自民と国民民主がともに推すことになります。そこを橋渡しにして、例えば、玉木雄一郎さんが、閣僚として入ってくる。自公政権から「自公国政権」に移るという動きが去年からずっと続いてるわけですね。茂木幹事長はそれを非常に推進をしてますから、そのタイミングを探ると、かつて自自連立ってのがありました。これが自自公に移っていくんですが、これがやはり最初の連立が出来たのが1月だったんですね。その後、自自公に行ったのが10月の改造後ということでしたから、その意味では、ちょうど1月っていうタイミングがそういう時期を迎えてるんじゃないのかなと。さらに150日間の通常国会の長丁場に耐えられるような閣僚がいるのかいないのか。これも見えてくるんだと思いますね。そうなるとやはり改造のタイミングがやってくると、そんな気がしています。

―――2025年夏まで国政選挙がありません。黄金の3年間とも言われています。次の選挙では、旧統一教会問題は不可避、やっぱりここがポイントになってくるということなんですね?

茂木幹事長が作ったリストはそこまでは賞味期限が続くということだと思うんですね。これは自民党の公式文書ですから、メディアは大手を振ってそれを報道できるということになるんだと思います。