9月20日、土地取引の目安となる『基準地価』が発表されました。大阪ではニシに注目です。

 【京都府】
 京都府内の商業地地価は1.4%アップを記録。京都市では商業地地価が11区全てで上昇に転じ、平均変動率2.5%アップを記録したということです。全ての区で上昇するのは3年ぶりです。「国内からの観光客が回復傾向にある」ことが要因とのことですが、地元の人は次のように話します。

 (和菓子店の人)
 「観光客(の大幅回復は)あまり見られないですね。これからかもしれないけど。少しぐらいはお客さんがちょこちょことありますけれども、ものすごく悪い時もありますから、安定しないです」

 そんな中、京都府内の商業地でトップの上昇率を記録したのは,、嵐電四条大宮駅近くの「マルヨシビル」で12.9%上昇を記録(140万円/平方メートル)。マンション需要の好調が要因だということです。確かにマンション開発が活発に行われていて、周辺の人口増などを見込んでの上昇なのでしょうか。

 【大阪府】
 大阪府内の商業地地価は1.6%アップと2年ぶりに上昇。トップは梅田のグランフロント大阪南館で、去年より少しだけ下落しましたが、3年連続の1位です(去年:2250万円/平方メートル、今年:2200万円/平方メートル)。

 一方、大阪府内の商業地で下落率が最も大きかったのは、大阪メトロなんば駅近くの「ECS第32ビル」の2.9%ダウンで、今年もミナミでした(去年:442万円/平方メートル、今年:429万円/平方メートル)。インバウンドが消滅した影響で不動産価値が大きく下落したミナミ。下げ止まりつつあるものの、コロナ禍前の水準に戻るにはかなり時間がかかりそうです。

 そうした中でちょっとした異変が起きています。

 大阪府内の商業地の上昇率1位は、北大阪急行の延伸を控える「箕面市船場東3丁目1番1」の7.3%アップでした。これは何となく想定内ですが、2位に大阪の弁天町の下町の地点「大阪市港区弁天4丁目12番27」が5.9%アップでランクインしたのです。弁天町がある大阪市港区全体では商業地が5.0%アップしていて、市区町村別で大阪府内トップ。かつて大阪市の負の遺産を抱える町というイメージもあった弁天町でいったい何が起きているのでしょうか。

 バブル期にはキタやミナミに次ぐ副都心にすることを目指して弁天町エリアの開発を模索していた大阪市は『公有地信託』という手法に目を付けます。自治体が所有している土地を金融機関に信託。その金融機関が開発・運用を行うことによって自治体は配当を受け取るという仕組みです。家族連れで楽しめる屋内プールができたほか、1993年には「ORC200(現:大阪ベイタワー)」という超高層複合ビルが誕生。大きな注目を集めましたが、マンションの分譲やオフィス入居は思うように進まず。赤字だけが膨れ上がった結果、金融機関と大阪市の法廷闘争になります。そして裁判に敗れた大阪市は結局300億円近くと見込まれていた配当は1円も受け取れず、637億円を逆に金融機関に支払うことになったのです。

 ややマイナスイメージが付いたように見えますが、現場を歩いてみると確かに新たなマンション建設などが進んでいます。専門家は次のように話します。

 (大和不動産鑑定 山内正己不動産鑑定士)
 「(魅力は)JR大阪環状線・大阪メトロ中央線が交差するようなところで都心部へも行ける。本町へも繋がる。そして夢洲まで繋がる」

 梅田や本町などへのアクセスの良さだけではなく、中央線が延伸することで3年後の万博会場でもある夢洲の玄関口となることが地価押し上げの一因のようです。 

 (大和不動産鑑定 山内正己不動産鑑定士)
 「用地にしてもかなり今は中心部からすると割安感がありますので、まだ伸びしろがあるかなと思います。ウォーターフロントへの入口みたいな拠点になりますので、今のところは弁天町がキーになるかなという感はありますね」