開港から16年、地元にとって悲願の「神戸空港国際化」が決まりました。2030年に国際定期便を見据えています。神戸の三宮駅周辺で大規模な再開発が進むなど、加えて国際化によるインバウンド増加など期待がふくらんでいます。一方、関西にはすでに3つの空港あり、とくに関西空港の地元泉佐野市は「国際化」に大反対しています。

 そんな中、国際化への扉を開けたのは2018年の台風21号で空港の連絡橋に船が衝突した事故。関西学院大学経済学部の上村敏之教授は「国際空港のリスク分散化が論議されるきっかけとなった」と話しています。この先は「神戸空港を含めて3空港が役割を分担して共食いを防止すべき」といいます。
(2022年9月20日MBSテレビ「よんチャンTV」より)

―――関西3空港懇談会が行われ、神戸空港の国際線化で合意しました。大阪・関西万博へのチャーター便で運用を開始。2030年めどに国際線が就航、1日の発着が最大40回です。「歴史的経緯に十分配慮しつつ、関空・伊丹を補完する空港として、効果的に活用していく必要がある」とありますが?

歴史的経緯というのは、元々、関西国際空港は神戸沖に作る予定だったんです、それを神戸市が蹴ってですね。蹴った後に空港が欲しいとまた言い出して空港ができた。なので国際空港では駄目だと言われちゃったわけです。日本で一番規制されている空港で、時間もそうですし、国際化ができていない空港はないと思います。

―――上村教授によりますと「合意のきっかけは2018年の台風21号」どういうことですか?

この台風は非常に甚大な影響を関空にもたらしたんですね。高潮が空港内に入り、さらに連絡橋が使えなくなったんですね。このときの経験があって、国際空港のリスク分散をしないといけないという議論が出てきます。それによって神戸空港の国際化が進んだという側面もあるんです。

「国際線」神戸からどの国へ?

―――では実際、どういうところに国際線が飛ぶのか?神戸から距離で言うと5000キロくらいではないかと。人気の観光地ですとグアム、シンガポール、バンコク、あたりが含まれます。

神戸空港の滑走路は2500mで、関空は4000mを持っているんですけど、やはり滑走路の長さによって飛べる距離が違うんです。スカイマークの今の機材が満タン積んで2500m走った場合、距離は5000キロまでが限界だとされています。もっと効率性の良い機材はあるので、使えばもう少し行ける可能性はありますが、今のところここが限界です。関西は、兵庫と大阪の戦いみたいなところがあったので、それを打破しないと東京圏に負けてしまうという危機感があって、こういう話になってきたと思います。


―――今後なんですけども、関西空港の総旅客数は2030年は、「基本4000万人、中位4500万人、多くて5000万人」との予測です。関空の国際線処理能力が、2025年には3000万人を上回るということですが、処理しきれない部分、旅客の一部を神戸空港が補完する形になるのではないかと言われています。

複数の空港を運営するのは結構大変なんです。「共食い」が起こる可能性がある。神戸空港を国際化するなら、新しい新規需要を開拓しないといけないです。例えば姫路あたりの方々は、おそらく岡山空港という選択肢があったわけですけど、その方々をどうやって取り込むかという話をしないといけないし、インバウンドの方は「神戸INー関空OUT」とか「関空INー神戸OUT」の人たちを、どうやって増やすのか、やらないといけないと思います。あとは、兵庫エリアの誘客をしないといけない。例えば長距離のバス便で姫路や城崎・有馬にすぐに行けるようにするということです。

―――街ぐるみでお客さんを呼べるようにしなければ、ということですね。