旧統一教会と自民党議員の接点を調べた自民党の点検結果をめぐり、鈴木エイト氏が独自取材をもとに自民党の点検結果を検証。旧統一教会の韓鶴子総裁を「マザームーン」と呼んでいた山本朋広衆議院議員は申告書に「関連団体に出席」と記載していましたが、エイト氏は「関連団体ではなく、旧統一教会主催だった」と指摘。取材を受けた山本議員はこの指摘を認めました。

 エイト氏が蓄積してきた独自取材の成果は、自民党議員の“ごまかし記載”をあぶりだし、自己申告の限界を露呈。エイト氏は今後も「まだ名乗り出ていない人(議員の存在)も明らかにしていきたい」と話しています。

(2022年9月12日MBSテレビ「よんチャンTV」より)

【独自】「マザームーン」山本議員は「教団主催」に修正

―――エイトさんの取材に基づき、この議員の書いてることおかしい?という3人について詳しく見ていきましょう。1人目が山本朋広議員です。本人の点検では、質問項目3番の「関連団体の会合に本人出席・挨拶」となります。ところがエイトさんによりますと、韓鶴子総裁を「マザームーン」と呼んだ会合は、旧統一教会が主催した1万人の会合です。本来は、4番の「教団主催の会合出席」じゃないか、ということですよね?

自分が有名になった「マザームーン発言」、こんな形であんまりクローズアップされたくないのかなって穿った見方しちゃいます。山本議員は「実の母親にも渡したことのない特大のカーネーションをマザームーンに贈呈しました」と言って大拍手を受けています。勘違いなのか、あえてそうしているのか、ただ演説の中で教団の会長にちゃんとお礼を述べてるんですよ。当然知っているはずだと思うんです。

―――そのあたりを、山本議員の事務所に問い合わせて、先ほどお返事が届きました。返事には、「その後改めて確認したところ、旧統一教会主催の会合であったことが判明したので、『旧統一教会主催の会合に出席していた』と改めて党本部に点検結果を報告した次第です」と。なんで最初から書かないんですか?

そうですね。後から修正してごまかしているのかな、って印象を持ちました。山本さんの場合、もっと海外に外遊していたり、海外で韓鶴子総裁のイベントに出ていたりするんです。その辺もぜひ自己申告してほしいんですけど、アンケート項目に「統一教会の誘いで外遊に行きましたか?」ってのがないですから、それをよしとしたのかわからないんですけど、あえて自分から公表しないのかな。公表しなくても済むアンケートになっているということですよね。

内部文書には「首相からじきじきに応援依頼」

―――2人目が北村経夫参院議員です。「選挙ボランティアあり」そして「選挙支援依頼・組織的支援はなし」という回答です。支援を要請したのではなく、個人として支援をいただいたということですけれど、エイトさんが入手した内部文書というのがあるんですね、抜粋します。「首相(当時の安倍総理)からじきじきにこの方を応援してほしいとの依頼があり…(中略)…今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の死活問題です」安倍元総理が直接依頼したという内容にみえますね?

教団サイドに北村さんの組織票支援をお願いしたという非常に重大な文書だと思います。

―――7番の「選挙ボランティアあり」となっていたけど本当は、8番の「選挙支援依頼、組織的な支援あり」なんじゃないですかというエイトさんの指摘です。エイトさんによると2019年参院選の演説会には信者100人が動員されていたと。

2013年参院選のときは、3000人の北村さん応援部隊が結成されたのではないかと。教団は否定しているんですが、そういう内部のメールが回っていました。北村さんのロジックで言うと3000人一人一人が個人で応援したと言いたいんじゃないでしょうか。

―――豊田さんはどう見ますか?

北村さんも、井上義行さんも参議院の全国比例区選出の議員です。衆議院と全然違って、どの団体から何票もらうかっていうことが大事で、党の中で、私割り振りを見たことがあります。例えば職業団体(医師会や看護師会や農協や郵便局)がっちりした出身母体がある人は基本的にそこの人が全部やってくれるけれども、そういう出身母体がない方々は、私達から見るとどうやって統制してるんだろうというのは不思議でしたが、党としてはできるだけ多くの人を当選させたいから、「この団体はこの人」みたいな感じですごく機能的に割り当てをしていると思うんです。今回の参院選で、井上義行さんは16万5000票でした。旧統一教会が6~8万票って言われてると思うんですけど、やっぱり参議院全国比例の方にとっては、どの団体から何票もらうかっていうことがある意味選挙の全てという所はあると思います。

―――旧統一教会からの応援が今回は得られませんと言われた議員もいました。

宮島喜文さんですね。2016年に12万2000票ですけれど、その中から8万票がなくなったら当然当選できないじゃないですか。

点検検証3人目 あの元文部科学大臣

―――そして3人目は下村博文衆院議員です。「関連団体からの寄付等あり」のみの報告だったんですけども、エイトさんから写真を提供してもらいました。下村さんがセンターに座り「下村博文先生歓迎」とあります。2021年10月、関連団体から推薦状をもらうとありますが、どういうものですか?

去年の衆院選の前だったんですけども、次期衆院選において世界平和連合は、下村博文先生を支援します、応援します、推薦しますっていう文面が書いてありましたね。

―――回答では6番の「関連団体から寄付等あり」ですが、8番の「選挙支援依頼・組織的支援があったのではないか」というふうに思われます。この推薦状を受け取ってる写真は何ですかということに対して、下村博文事務所によりますと、「推薦状は会場で突然渡された」と。「関連団体に支援や推薦の依頼をしたことはない」という回答でした。このあたりいかがですか?

そうですね、熱心に支援してきた信者の人たちを切り捨てるようなことは、やっぱり人としてまず問題かな、と。

―――この写真は突然渡されたということなんですけど、そんなことはあるんですか?

普通は考えられない、事前に話があるでしょうし。下村さんの場合、また別の項目で2012年に統一教会系の政治団体で講演しているんですよ。それも載っていない。同じ団体で講演した石破さんは載っているんですよ。その差は何なんだろうと思います。"

―――豊田さんはどう思われますか?

推薦状って選挙のときって、私も多分300とか400とか郵送とかで来るので、勝手に送られてくるケースも多いんです。ただ、本当に有力・熱心な支援団体はやっぱり事前に連絡があって、「推薦状を出すので一緒の写真を撮らせてください」と。それを多分ご自身の団体のところで広報誌などに載せると思うんですけど、なので推薦状を依頼せずにもらうことはいっぱいあるんです。

―――点検結果の検証についてエイトさんは「まだ全然書いてないよ」っていう人もいるとおっしゃっていましたが?

そうですね。今後は、まだ名乗っていない人のことも明かしていきたいなと思っています。