9月8日、国会では岸田文雄総理が出席し、野党などの質問を受ける形で安倍晋三元総理の国葬について説明しました。

 安倍晋三元総理が遊説中に銃撃されて死亡した事件から2か月。警察は9月8日、改めて容疑者の位置関係などの確認を行いました。
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 そして奇しくも同じ日に、その安倍元総理の国葬について岸田文雄総理が国会の場で初めて説明しました。

 (岸田文雄総理 9月8日)
 「憲政史上最長の8年8か月にわたり内閣総理大臣の重責を担ったこと。国として葬儀を執り行うことで安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります」

 冒頭、国葬の意義について改めて説明した岸田総理。そもそも国会閉会中に行われる「閉会中審査」に総理が出席して質問に答えるのは異例のことです。国葬の国会説明をめぐっては、立憲民主党などの6党1会派が総理の説明を求めていたものの、岸田総理は明言を避けてきました。

 しかし8月31日、コロナ療養復帰後の会見で「国葬実施を判断した総理として説明する責任がある」として、国会出席の意向を明言しました。

 (岸田文雄総理 8月31日)
 「国会の場で国葬儀に関する私の決断について質疑にお答えするという機会をいただきたい」
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 そして迎えた9月8日。やはり争点になったのが国葬とする「理由」と「基準」についてです。

 【国会で行われた国葬についての答弁の様子】
 (立憲民主党 泉健太衆院議員)
 「この国葬決定は誤りです。強引です。検討しないといけないことを放置しています。だから国葬反対の世論が増えている」

 (岸田文雄総理)
 「説明が不十分だったということについては謙虚に受け止めながら、ぜひ、この決定とあわせて国民の皆さんの理解を得るために引き続き丁寧な説明を続けていきたいと考えております」

 (立憲民主党 泉健太衆院議員)
 「(内閣法制局は)『一定の条件に該当する人を国葬とすると定めることについては法律を要する』と言っています。総理、今そういう法律はありますか?」

 (岸田文雄総理)
 「ご指摘のような法律はありません」
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 (日本維新の会 遠藤敬衆院議員)
 「(問題点は)基準がないままに内閣が閣議決定をして実施を決めたことにあると言わざるを得ないんですけれども、今後、国民の理解を得るためにも一定の基準を設ける必要があるのではないか」

 (岸田文雄総理)
 「具体的に基準を定めるということになると、様々な状況の変化によって同じことをやっても評価は変わるというのが現実でもあります。その時々の内閣においてその都度ふさわしい形は何なのかを判断する、こうしたことになると考えております。海外からの弔意を見ますと、多くが日本国民全体に対する哀悼の意を表する趣旨であるということからも、葬儀を国の儀式として実施することで日本国として海外からの多くの敬意や弔意に礼節をもって応える、こうした必要もあると考えた次第であります」
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 一方、費用について政府は当初、約2億5000万円を会場設営費などとして予備費から支出することを閣議決定していました。しかし9月6日、警備費などを含めると現時点で見込まれる総額は16億6000万円程度になることを明らかにしました。その総額についても質問が出ました。

 (立憲民主党 泉健太衆院議員)
 「もし額が膨らめば、やはり国民の不信は募ると思います。今回は自民党は負担をしないのですか?全額税金ですか?」

 (岸田文雄総理)
 「合同葬についてももちろん国の税金は支出することになるわけです。国の行事として葬儀を行うことが適切であると判断したことによって今回の決定を示させていただいた」

 世論の賛否が分かれる国葬。9月27日に行われるまでに国民の納得は得られるのでしょうか。