新型コロナウイルスによる全国の死者が最多という状況で岸田総理が打ち出した「入国制限の緩和」。感染拡大の恐れはないのでしょうか?関西福祉大学・勝田吉彰教授は、感染者が多い日本の現状に照らすと「大きな影響は考えにくい」という答え。聞くと、感染拡大している状態で入国者による感染の影響は小さいということです。むしろ感染した外国人観光客の医療的措置や食事の問題などの受け入れ体制の見直しが必要とのこと。
(2022年8月24日MBSテレビ「よんチャンTV」より)

―――政府はウィズコロナにさらに大きく舵を切ることになりました。水際対策では、入国制限1日上限2万人から段階的に緩和することになり、72時間以内の検査で陰性証明が必要だったんですが、ワクチン接種3回で免除に。当然海外旅行に行く日本人にも当てはまるということになります。制限緩和について勝田教授は「日本は現在流行している国なので、大きな影響は考えにくい。ただし、訪日外国人の入院には医療のパワーが通常より必要、対応ベッドの事前準備を」とあります。

(勝田教授)
そうですね。日本は感染者数が多く、むしろ来る国の方が少ないということは、水は低いところから高いところへはなかなか流れないので、緩和することは構わないと思います。ただ緩和とは別の議論ですけども、外国人が日本に来て発症したとき、どういうふうに取り扱うかという準備があまり十分じゃない。例えば市中病院に言葉が通じない人が来たらどうするのか。例えばお食事、ハラルはどうするの、ユダヤ教徒、ヒンズー教徒はどうするの、少なくとも機内食で用意があるものぐらいはすぐにできるような施設まで作っておいてしかるべきだと思うんですけれども。やっぱそういうことが限られているようです。

対応する医療へのパワー、対応する人々がとても大変な思いで保健所も大変だっていうこともあって、そして例えば私が産業医で行っている理化学研究所でも、実際に外国人に感染したらどうなるのと地元の保健所に聞いたら「それはそちらの施設の中にいてください」って、そんな話まであるぐらいです。

―――また、次の変異株に備えてフレキシブルに開けたり閉めたりできるようにしておくことが重要とあります。

やっぱり変異株ですね、今のオミクロンと全く違うものができたときにどう対応するのか、必要に応じて閉める、開ける、を考えておかなければいけません。

全数把握の見直し 専門家の意見は?

―――続いて全国の新型コロナの死者の数が過去最多の343人となりました。亡くなった方の傾向について大阪府のデータを見てみようと思います。昨日までの1週間で、大阪では212人が亡くなったと発表がありました。ちなみに、発表日と死亡した日は一致しません。
の内訳を年代別で見たら100歳代から60代までが、全体の96%を占めている。そして、死亡した210人のうち74%の人が基礎疾患がある。

これでもワクチン4回接種の効果がある程度ありますので、数としては比較的抑えられている方だけれども、やはりこの年代はリスクがあるんだということは、改めて注意する必要があります。

―――全数把握について岸田総理から発表があった「高齢者・重症リスクの高い人に限定する」ことは理にかなっているということですか。

理にかなっています。ただ、リスクが高くない人も病棟には入ってくる。全数把握をしなければ、全くわからない間に入ってくるっていうことが、あらかじめ知っておく必要があると思うんですよね。これから全数把握がなくなれば、例えば私達が入院したとき、隣にいる人が感染者かもしれない、あるいは外来の処置室や、救急の処置室。そういうことも、リスクとして私達は受け入れる必要がある。緩和されて自由になった後で、病院でそういうことがあった際に「けしからんじゃないか」とクレームになると、もう医療現場はますます潰れてしまいますので、そういうことがあっても特にクレームにしないとか、免責ですね、それが必要ではないかなと思います。