3年ぶりの行動制限のない夏ですが、海のレジャーで気を付けたいのが『うっかり密漁』です。密漁で摘発されるレジャー客が続出しています。その密漁の決定的瞬間をカメラが捉えていました。

京都府京丹後市内で今年8月に撮影された舞鶴海上保安部提供の映像。ひとけのない海でシュノーケルをつけて潜る2人組。岩場に上がると何かを取り出します。男性が取り出した袋の中にはサザエが入っています。今度は辺りを見渡して警戒しているようです。するとズボンの中から貝を取り出しました。密漁です。

(海上保安部の捜査員)
「あ!袋あるわ、袋ある!持っとる持っとる」

すぐさま捜査員が2人のもとへ向かいます。

(捜査員)「すみません。舞鶴海上保安部です。何か海で取ったりしてますか?」
(20代のレジャー客)「潜っていただけです」
(捜査員)「サザエとかアワビ取ったらいけないことをご存じですか?」
(20代のレジャー客)「あぁ知っていますよ」
(捜査員)「何か取ったりとかしてません?」
(20代のレジャー客)「はい」

大阪から訪れたという20代の男性2人。一部始終を見られていたとは知らずシラを切り続けます。

(捜査員)「ちょっと下(青の網袋)見ていいですか?あ、これや。取ってるやんこれ。これ誰のですか?」
(20代のレジャー客)「・・・」
(捜査員)「僕らこれ見とったんですよ。取った?」
(20代のレジャー客)「・・・」
(捜査員)「いや取ったならもう取ったで。取っとったですね?」
(20代のレジャー客)「はい」

2人はその後、密漁をしたとして摘発されました。

舞鶴海上保安部は、今年7月1日~8月19日までにサザエやアワビなどを密漁したとして、大阪や兵庫などから訪れた20代~70代のレジャー客22人を摘発。大半は数個~数十個の密漁でしたが、中には1人でサザエ497個を密漁したケースもあったということです。調べに対して22人全員が容疑を認め、「自分が食べる分くらいは問題ないと思った」などと供述しているということです。

(舞鶴海上保安部・警備救難課 奥川恭平課長)
「数の問題ではなくて、1つであろうとそれは漁業者にとっては大切な水産資源・漁業資源です。(Q1個でもダメ?)ダメです」

レジャー客が遊び感覚で違法行為に手を染めてしまう“うっかり密漁”。同じ日本海の島根県松江市の海水浴場では、海の中にたくさんのウニやワカメ。ついつい取ってしまいそうですが…。

(島根県水産課の担当者)
「レジャーなどで海に来た時にサザエを取ってしまうことや、釣りを海岸から行っている時に偶然タコが釣れてしまってそれを持ち帰ってしまうことなどがあります」

サザエやアワビに限らず、タコ・ワカメ・ナマコを取るのも密漁になってしまいます。知らなかったでは済まされない“うっかり密漁”。

京都の海水浴客に聞きました。

(海水浴客)「ダメなんですか?ごめんなさい、それは何でダメなんですかね。ある程度はちょっと許してほしいなと思うんですけどね」
(海水浴客)「アワビとかサザエとか食べさせてくれるような浜の店もあるので。ちょっと高いですけど、そういうものをどうしても食べたければそういうところに行くべき」

舞鶴海上保安部によりますと、管内で密漁の摘発は2020年・2021年に比べて今年は2倍のペースで増えています。その背景にあるのが『行動制限のない夏』です。3年ぶりに開かれる海水浴場も多いことから、海上保安部はレジャー客が安易な気持ちで密漁に及ぶケースが増えるとみて警戒を強めています。

(舞鶴海上保安部・警備救難課 奥川恭平課長)
「(密漁は)他人の畑の野菜を盗っているのといわば同じような犯罪行為です。密漁者によって取られるというのは漁業者にとっては生活に関わる死活問題になってくる。密漁の根絶に向けて(取り締まりを)徹底的にやっていきたい。啓発活動をやっていきたいと考えております」