新型コロナウイルスの融資制度を悪用して多額の現金をだまし取ったとして大阪府の寝屋川市議の女ら5人が逮捕されました。国政選挙にも何度も挑戦していた市議のこれまでをまとめました。

 詐欺の疑いで逮捕・送検されたのは寝屋川市議会議員・吉羽美華容疑者(42)ら5人です。吉羽容疑者らが悪用したとみられるのは新型コロナに関する公的融資制度でした。警察によりますと、吉羽容疑者らは大阪府堺市の福祉施設に対して公的融資の制度について「特別な条件で融資が可能で返済しなくても民事上の責任を問われない」などと説明して、この施設に1億2000万円の融資を受けさせ、業務委託料などとして約6000万円をだまし取った疑いがもたれています。

 吉羽容疑者は市議会議員の名刺を渡すなどして信用させたということです。逮捕前、任意の聴取に対して吉羽容疑者は「私は巻き込まれただけでだまし取っていない」と説明。しかし警察は、犯行グループが詐欺によって得たとされる多額の現金の一部である1億数千万円を吉羽容疑者が盗んだとみて窃盗の疑いでも捜査しているということです。

 寝屋川市議の吉羽容疑者はこれまでに何度も選挙に出馬してきました。

 1980年に寝屋川市で生まれた吉羽容疑者は、2007年に26歳の時に寝屋川市議に初当選。“美人すぎる市議”として注目され、2012年には大阪1区で民主党から衆議院選挙に出馬しますが落選。

 さらに翌年、大阪選挙区で新党大地から参議院選挙に挑戦して再び落選します。

 そして2017年の衆議院選挙では東京24区で希望の党から出馬しますが結果は落選でした。

 私生活では1人息子を育てるシングルマザー。3度目の国政挑戦となった2017年の衆議院選挙で敗れた後は、地元・寝屋川市に戻り、2019年の寝屋川市議選で当選して議員活動を続けていました。

 吉羽容疑者について寝屋川市議会の議長は次のように話します。

 (寝屋川市議会 北川光昭議長)
 「同じ会派で3年一緒に、議会では積極的に発言して、審議もまじめに対応していた。頑張っていたんじゃないかと思っていましたからね、私としてはこういう報道を受けてびっくりしているような状況。(容疑が)事実であれば、これはもう極めて遺憾で言語道断という思い」

 被害総額10数億円に上るとみられる詐欺事件。警察は吉羽容疑者が議員の立場を利用したとみて調べています。