大阪府泉南市で今年3月、中学1年の生徒が自殺しました。しかし4か月が経った今も泉南市は調査していないということです。いったい何が起きているのでしょうか。

 今年3月、大阪府泉南市の中学1年生の男子生徒が自ら命を絶ちました。

 (男子生徒の母親)
 「夜は真っ暗で隣を見たら寝てるはずの子が寝てない。つらくて、それ見てつらくて、また寝られなくて」

 小学校の時から不登校だった男子生徒。中学校に進学後は登校を再開しましたが、去年10月から再び不登校となりました。「同級生にからかわれ、教師に相談したものの対応してくれない」と母親に漏らしていたといいます。母親らは「転校させてほしい」と市の教育委員会に要望しましたが、聞き入れてもらうことはできなかったといいます。

 (男子生徒の母親)
 「学校を変われていたら、この子も気分が変わってもう1回頑張れたと思うんですよ。『無理無理』の一点張りで結局何も変えてくれなかったんですよね」

 自殺の原因は何だったのか。母親は真相究明を求めていますが、教育委員会では報告や審議は何も行われていません。クラスメイトたちにも男子生徒が亡くなったことはいまだに伝えられていないといいます。

 (男子生徒の母親)
 「うちの子がそもそも存在していなかったように扱われているんですよ。死で抗議をした子に対してのこの結果というのは、無駄死になっちゃうじゃないですか」

 泉南市では、全国でも珍しく子どもの権利に関する条例が定められていて、「子どもにやさしいまち」の実現を掲げています。
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 この条例に基づいて設置された第三者機関は「条例が制定されているにもかかわらず自死を防げなかったのは極めて重大事態だ」として改善を促す報告書を作成しましたが、泉南市長は報告書の受け取りを拒否。具体的な対応が取られないまま死亡から4か月が経っても放置されている状態です。

 これについて泉南市の山本優真市長は7月14日、次のように話しました。

 (泉南市 山本優真市長)
 「なかなかスピード感がないというのは私の実感としてあります。ですから、そこは対応としてどうなのかというところの検証も含めて、今後は市としてもやっていくべきではないのかなと考えています」

 報告書の受け取りを拒否した理由について尋ねると…。

 (泉南市 山本優真市長)
 「(第三者機関の検証の)進め方について課題があると。よって報告書の受け取りというのはなかなか難しいという旨の話が(教育委員会事務局から)私の方にございまして」

 教育委員会事務局は「条例で設置された第三者機関は今回のような個別事案を検証する機関ではないため報告書を受け取ることはできない」としています。

 泉南市は男子生徒の死に真正面から向き合っているのか。第三者機関の報告書は次のように述べています。

 【第三者機関の報告書の内容】
 「『子どもの権利の尊重』を条例で定めておいて、しかしそれは建前だけだったのかと透けて見えるような現実。子どもたちから見れば、おとなの身勝手な振る舞いです」