7月8日午前11時半ごろ、奈良県奈良市の近鉄「大和西大寺駅」付近の演説会場で、安倍晋三元総理大臣が撃たれました。消防によりますと、男が銃のようなもので2発撃ち、2発目が背後から安倍元総理の左胸や首にあたったということです。安倍元総理は8日の夕方、死亡が確認されました。元警視庁特殊部(SAT)隊員の伊藤鋼一さんはMBSの取材に、今回の犯行の特徴と警備上の問題点を指摘しました。

 まず、使用された銃器については「模造銃」の可能性があると指摘。銃身が長い銃であれば、当然不審に思われて察知されるが、模造銃なら隠して持ち運ぶことも可能で、過去にも過激派が使用したこともあり、丈夫な「撃針」と「撃鉄」があれば、銃弾を発射することができるということです。目撃されている10mまでの距離なら、容易に命中させることが可能だと指摘しています。

 次に警備態勢については、要人が演説をする際には、通常、周辺にはSP(要人警護専門の警察官)所轄警察の要員・機動隊員・公安警察らが配置されるといいます。今回の奈良県警の警備についてはテレビの映像などを見る限り手薄であったことも考えられるということです。

 また、演説場所の後ろは道路で自民党関係者によりますと、安倍元総理は背後から狙撃されたとみられますが、伊藤さんはその車道を規制することもできたはずだと指摘します。通常は警護対象の後ろの左右に2人SPが立ち、1人は前面、1人は背面を見るのが基本です。
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 7月7日に安倍元総理は神戸・三宮で街宣車に乗り演説していますが、現場の映像を確認すると、安倍氏の後ろには前面と背面を警戒するSP(要人警護専門の警察官)の姿が見てとれます。

 伊藤さんによると、直選的な動きをしている人物(ターゲットに向かう動き)は警察が不審に思い、絶対に声をかけるといいます。また、犯人はおそらく現場を事前に見ていたはずで、その際に「職務質問」はできなかったのでしょうか。現場では2回の銃声が確認されており、警備計画や警備態勢そのものの検証が必要です。